【春が待ち遠しい今こそ読みたい!】こそだてまっぷの絵本棚

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まだまだ寒い日が続いています。
こんなときに待ち遠しいのがあたたかな「春」ですね。そんな春が待ち遠しい思いが詰まった絵本を紹介します。
絵本を楽しみながら、いっしょに“春”を楽しみに待ちましょう。
絵本のセレクトは、長野県にある児童書専門店「ちいさいおうち」の広報担当、エッセイストの越高綾乃さんです。

目次

2月号

春が待ち遠しい! オススメ絵本

◆2~3歳向け! 『はなをくんくん』

文/ルース・クラウス 絵/マーク・シーモント 訳/きじまはじめ 1,210円 福音館書店

【あらすじ】
冬の森では、のねずみ、くま、ちっちゃなかたつむり、りす、やまねずみ…小さい動物から大きな動物までが、雪のなかで眠っています。「や、みんながめをさます」と、つぎつぎと動物たちが起き出して、いっせいに鼻をくんくん。みんなが、鼻をくんくんさせながらかけ出していった先にあったものは、雪のなかで咲いていた小さなお花でした。春がそこまでやってくる香りを、みんながかぎつけたのですね。春はもうすぐそこに!

 

【オススメポイント】
寒くて長い冬が終わるころ、さまざまな動物たちが雪のなかで丸まって冬眠をしています。寒くて静かな冬の森の様子が、絵からも伝わってきます。そこから一転、動物たちがつぎつぎに目を覚まして鼻をくんくんさせ始めたとたん、ページのなかが一気ににぎやかに。動物たちがそわそわ・うきうきしている様子がこちらにも伝わってきます。
ほかはすべてモノトーンで描かれた絵のなかで、みんながかけ出していって見つけた小さなお花にだけ黄色が使われているのが、とっても印象的。小さな春の欠片を見つけたような気持ちになり、ますます春が待ち遠しくなります。

 

 

◆3~4歳向け! 『はるにあえたよ』

文/原 京子 絵/はた こうしろう 1,430円  ポプラ社

【あらすじ】
ふたごのこぐまのマークとマータ。初めての長い冬眠から目を覚ましたばかりで、まだ外の世界のことを何も知りません。好奇心から窓をあけてみましたが、外はまだ冬。寒い風がふいています。寒がるふたりにお父さんがもうすぐ春がやってくること、春がどんなすてきなものかを教えてくれました。はやく、「はる」が見たくてたまらなくなったふたりは、次の日に「はる」をさがしに元気に外へかけ出しました。さて、ふたりは無事に「はる」を見つけることはできたのでしょうか。

 

【オススメポイント】
まだ、春を知らないふたごのこぐまといっしょに、春の訪れの喜びを体験できる、まさに春が待ち遠しくなる1冊。
お話の前半は、いかにも寒そうな冬を感じさせるモノクロの世界がページいっぱいに広がっています。冬眠から目が覚めたばかりの、くまの家族が住むまっくらなお家のなかから「はる」に出会うために、外へとびだしたマークとマータ。ふたりが一生懸命に「はる」をさがしている様子が、とってもかわいい。「はる」に近づくにつれ、ページのなかに少しずつ色が増えていくのが、読者にも春の訪れを予感させますし、ページ全体にカラフルな色があふれだしたときの心うきたつ感じは、まさに春が来たうれしさとリンクします。
ずっと「はる」という文字だけが、ピンク色になっているのもすてきなアクセントになっていますので、お見逃しなく。

 

◆4~5歳向け! 『ふゆめがっしょうだん』

写真/冨成忠夫、茂木透  文/長 新太 990円  福音館書店

【あらすじ】
冬の木の芽を見たことがありますか? この絵本には、木の芽の冬の姿をアップで撮影した写真がつぎつぎに出てきます。拡大して見る木の芽の写真は、人の顔や動物の顔みたいでユーモラス。次はどんな木の芽が出てくるのか、ページをめくるのが楽しみ! 寒いなか、元気に息吹いている木の芽を見ていると、春が近づいてきたような気がしてきます。

 

【オススメポイント】
これまで、あまり気に留めたことのない冬の木の芽が「こんなにおもしろい表情を見せてくれるなんて!?」と写真を見てびっくり。また、写真にそえられたリズミカルな文章が朗らかで調子がよくって楽しいのです。特に「パッパッパッパッ」のところを声に出して読むと、春の息吹を感じませんか。
まだまだ寒いですが、庭や公園など木のある所へ行くときには、ぜひ木の芽をチェックしてみてくださいね。おもしろい木の芽が発見できるかもしれません。

 

◆5歳以上向け! 『ねずみのオスカーとはるのおくりもの』

作/リリアン・ホーバン 訳/みはらいずみ 1,430円 のら書店

【あらすじ】
ねずみのオスカーは、切り株の家でお父さんとお母さんと暮らしています。今年の冬はいつもよりずっと寒く、お父さんとオスカーは毎日食べ物集めに苦労しています。それに、春にはお母さんに赤ちゃんが生まれるので、赤ちゃんのベッドにする、わらもいるのです。ねこに追いかけられたり、不思議なイースターバニーに出会ったり。ハラハラ・ドキドキすることがいくつも起こりますが、ようやくあたたかくなり、オスカーの一家にもすばらしい春のプレゼントが届きます。

 

【オススメポイント】
寒い冬、近所の納屋にねこが住みついてしまい、食料を確保するだけでも大変なのに、春に生まれてくる赤ちゃんのためのベッドの用意もしなくてはいけないオスカーとお父さん。どうなっちゃうのかな……と心配になってしまいますが、少しずつ寒さがやわらぎ、春になっていくとともに、事態が好転していく展開に、読みながら、思わずほっと安堵のため息が出ます。
肩を寄せ合って協力しながら生活しているオスカーたち家族の姿に、ふわっとあたたかい気持ちになれるでしょう。リリアン・ホーバンさんの描く愛らしいイラストもたっぷり入っているので、ひとり読みを始めたお子さんにもオススメです。

 

次回、3月の「こそだてまっぷの絵本棚」の絵本セレクトは、遠藤裕美さんです。
お楽しみに!

この記事の監修・執筆者

越高綾乃

長野県松本市にある、児童書専門店「ちいさいおうち書店」の広報担当。エッセイスト。著書に『つぎに、読むのどれにしよ? 私の親愛なる海外児童文学』『絵本のつぎに、なによもう? 幼年童話と過ごした日々』(かもがわ出版)がある。

https://www.chiisaiouchihon.jp/   @chiisaiouchihon

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