【別れと出会いの春にオススメの一冊】こそだてまっぷの絵本棚

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【別れと出会いの春にオススメの一冊】こそだてまっぷの絵本棚

3月に入り、ぽかぽか陽気の日が増えて生きものたちが動き出しました。春が実感できる絵本を紹介します。
絵本のセレクトをしてくださったのは、絵本専門士でNPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。

目次

3月号

別れと出会いの春にオススメの一冊

2~3歳向け! 『もういいかい』

作/中野真典 1,430円 BL出版

【あらすじ】
かくれんぼの舞台は春がいっぱいに広がった神社で、女の子が2人でかくれんぼをしています。
「もう、いいかい?」と鬼役の女の子が声を掛けると、「まぁだだよー」の返事。
かくれに行った友だちは、かくれんぼの合間にちょうちょを追いかけ、たんぽぽを見つけていたのです。
やっと、「もういいよー」の返事を聞いて目をあけた女の子のそばにも…。

【オススメポイント】
子どもたちはかくれんぼが大好きです! 「もういいかい」とタイトルを読んだときに、「もういいよー」という声が聞こえてきてほのぼのしました。
女の子2人がかくれんぼをしているのですが、かくれる側の女の子は一向にかくれません! ちょうちょを追いかけたり、たんぽぽに触れたり…。身近な春を楽しんでいるようです。繰り返される、「もう、いいかい」「まぁだだよ」のやり取りに、子どもたちから笑いが起きていました。
鬼の女の子にも力が入り、声も思わず大きくなっている様子が絵から十分に伝わってくるところも魅力のひとつ。
やっと聞こえた「もう、いいよー」。目をあけた女の子のそばにも、すてきな春が広がっていました。すてきな春をいっしょに感じられるお話です♪ カバーの折り込み部分、裏表紙までお話を楽しんでくださいね!


◆3~4歳向け! 『おねぼうさんは だあれ?

文/片山令子 絵/あずみ虫 1,540円 Gakken

【あらすじ】
森に春が来ました。
うさぎのミミナちゃんは、冬ごもりからなかなか起きてこない友だちを起こしに行くのですが…。くまのフワくんも、やまねのクルリくんも、ほかの友だちもまだまだぐっすり眠っています。
「はるになったよ。いっしょにあそぼう。」
ミミナちゃんはみんなの横に、春の花をそっと置いて目を覚ますのを待っていました。待ちに待った春の訪れと、大好きな友だちとの再会。うれしくて幸せな気持ちが広がるお話です。


【オススメポイント】
とにかく春がいっぱいの絵本。てんとうむしやちょうちょ、シロツメクサやつくしなど、子どもたちもよく知っているものがたくさん描かれていますよ。
春が来て、うさぎのミミナちゃんは、冬ごもりから起きてこない友だちを起こしに行きます。
家の中をのぞいて「おねぼうさんは だあれ? それはクマのフワくんよ」と言っているのですが、読み聞かせでは「おねぼうさんは だあれ?」のあとに少し間を取って子どもたちの反応を待ってみました。
すると、子どもたちから「クマさん」と楽しそうな声が出てきました!
1度目は普通に読んで、2度目からはこんな風に子どもたちとのやり取りを楽しみながら読んでもいいかもしれません!
ミミナちゃんの、みんなを無理に起こすことはせず、そっとお花のプレゼントを置いていくところがすてきだなぁと思います。結末までほのぼのとした気持ちで読める1冊です♪


◆4~5歳向け! 『3じの おちゃに きてください』

作/こだま ともこ 絵/なかの ひろたか 990円 福音館書店

【あらすじ】
まりちゃんは、手紙がついたささぶねを拾います。
そこには、「3じのおちゃにきてください。ともだちをつれてきてください。けーきをつくってまってます。」と書いてありました。
差出人は、みどりのみどりさん。
誰だろう? と思いながらも、ケーキに惹かれて向かうことにするのですが…。

【オススメポイント】
みどりのみどりさんの正体が分からないままお話が進むので、子どもたちからもワクワクの感じが伝わってきました。
みどりさんのお家に向かう途中で、砂糖をかついだ あり、クルミを持った りすなどたくさんの友だちに出会って仲間が増えていきます。
みどりさんのお家に到着してみどりさんの正体がわかり、待ちに待ったお茶会が始まると思いきや想像もしなかった展開に!
これには私自身、最初に読んだときは、「えぇ~!」となってしまいました。
ぜひぜひこのあとの展開をお子さんといっしょに楽しんでください♪
れんげやつくし、菜の花など、春を感じられる描写もすてきですよ!


◆大人向け! 『パンちゃんのおさんぽ

作/どい かや 1,210円 BL出版

【あらすじ】
パンダのパンちゃんは、でんぐりがえしが得意‼
でんぐる でんぐる、でんぐりがえしでお散歩です。
進むのは春のみち。花のみちを進んだり、ちょうちょのみちを進んだり…。
友だちにも会って、大好きなりんごも食べて、かわいいお散歩のゴールはどこなのかな?

【オススメポイント】
みんなに愛されているパンダが主人公。ここ数年、話題になっていましたね。直接会うことは叶いませんでしたが、映像を通してまぁるいフォルムと、愛らしい動きに癒されていました。この絵本も、そんな癒しをもらえる大好きな1冊です!
表紙はモノクロ+赤色でかかれていますが、お話はモノクロで進んでいきます。
パンダのパンちゃんがでんぐりがえしで進むのは春のみち。春とモノクロの世界。一見真逆に思えるのですが、読んでいると暖かさや色を感じるような不思議な感覚になります。
3月は何かと落ち着かず、年度の終わりということもあってバタバタしてしまう時期ではないでしょうか。「でんぐる でんぐる」ということばの繰り返しは、読んでいるうちにそんな気持ちを落ち着かせてくれます。また、パンちゃんに追突されたときのおおかみさんの表情もとっても愛らしいですよ! ぜひぜひゆったりとした気持ちで読んでみてください。

次回の「こそだてまっぷ 絵本棚」は、引っ越しにまつわる「別れ」をテーマにした絵本を紹介します。

この記事の監修・執筆者

絵本専門士・保育士  遠藤裕美

絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。

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