【中学受験のお金事情】学習塾代は3年間で250万円! そのほかにいくらかかる? [ファイナンシャルプランナー監修]

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首都圏では、中学受験をする子どもが年々増えています。でも中学受験をするためには、どのくらいお金が必要かご存じですか? ファイナンシャルプランナーで、子育て世代の家計のパートナー 「FPオフィス And Asset」代表の前田菜緒先生にお話をうかがいました。
 

文/こそだてまっぷ編集部

目次

学習塾の費用は小学校4~6年生までの3年間で約250万円

2022年度の首都圏の受験者は、私立中学と国立中学を合わせて5万1,100人(首都圏模試センターの推定)、受験率は17.3%で過去最高だったそうです。中学受験をする子どもの多くは、小学校4年生ごろから受験勉強を始め、受験対策指導を目的とした学習塾に通っています。中学受験対策をしている学習塾の料金は学校教育の補完をするタイプの学習塾より高額です。さらに4年生、5年生、6年生と学年が上がるごとに料金が高くなる傾向があります。

《首都圏にある中学受験をめざす大手学習塾の料金例》

*4年生、5年生の月額授業料は11か月分。6年生は10か月分で計算。
別途、入塾料2万2,000円。端数は四捨五入。

学習塾の受講以外に、家庭教師をつけると、90分月4回で約4~6万円が相場です。

学習塾の受講料以外に、交通費や軽食代…受験料も!

中学受験をするには、学習塾の受講料以外にもさまざまなお金がかかります。たとえば、本人が学習塾へ通う交通費に加え、送り迎えする保護者の交通費や学習塾へ行く前に食べる軽食代もかかります。お弁当を作る保護者もいますが、本人がコンビニエンスストアなどでパンや飲み物など購入するためのお金を渡しているケースもあります。1回の金額は500円程度と少なくても、小学校4年生から3年間分と考えれば、決して少額ではありません。

もちろん実際に受験するとなると、受験料もかかります。東京都内の私立中学校の受験料は平均2万円程度です。同じ学校を複数回受験する場合でも、基本的にその都度受験料がかかるので、その分の費用も考慮しましょう。

私立中学校の年間学校教育費は公立校の約8倍!

憧れの私立中学校の合格通知を手にしたら、子どもは笑顔で入学を楽しみにするでしょう。ですが、保護者は高額の受験対策費を費やしてやっと入学させてもそれで終わりではありません。その後の学校にかかる費用も相当な覚悟が必要な金額です。下の表は「公立」と「私立」の学習費の違いについて、注目したい内訳を一部抜粋しました。

《公立中学生と私立中学生の学習費の違い(年間)》

*文部科学省:「平成30年度子供の学習費調査」より抜粋。
公立中学校は指定都市・特別区のデータを使用。端数は四捨五入。

私立中学校の学校教育費のうち大きな割合を占めるのは授業料で、年間42万9,000円。公立中学校の授業料は0円です。公立中学校の年間学校教育費(教材費、修学旅行費、制服費、クラブ活動費、通学費など含む)は13万4,000円。一方、私立中学校は107万1,000円で、公立中学校の約8倍です。

「私立中学校に入学すれば、学習指導が手厚いので学習塾代は浮くのでは……?」と考えている保護者も多いようですが、実際は、私立中学校へ通っている子どもも学習塾費用をかけていることがわかります。

また公立中学校では入学時に入学金や寄付金がほとんどかかりませんが、私立中学校では学校によってさまざまな名目の初年度納付金がかかります。下にあるのは、その一例です。

《東京都内にある私立の中高一貫校の初年度納付金の例》

※端数は四捨五入。費目は一般的な名称に変更してあります。

関連記事≫【800万~2,000万円!?】子どもひとりにかかる教育費事情とは[ファイナンシャルプランナー監修]

制服一式20万円近くする私立中学校もある

首都圏の私立中学校の制服の価格は、一式15~20万円程度が相場ですが、学校指定の希望購入品をそろえると総額20万円以上する学校もあります。学校指定の制服は、一般的な中学生向けの洋服よりも価格が高い傾向にあり、さらに有名デザイナーのブランド制服を採用している学校もあります。冬服・夏服、リボンやネクタイ、セーターやニットベスト、冬用コート、靴、ソックス、通学カバン、体操服、体育館シューズ、上ばき……などそろえるアイテムが多く、実際にはブラウスやソックスなどは複数枚購入することになるので費用がかさみます。

《私立中学校の制服・体操服の価格の目安》

東京都内にある私立中学校の制服等指定品の価格表をもとに作成。端数は四捨五入。
上記以外に希望者が購入する冬用コート約2万4,000円などがあります。

部活のユニフォームや合宿、遠征などの費用も

中学へ入学したら「部活」を楽しみたいという子どもも多いでしょう。私立中学校で運動系の部活に入部すると、ユニフォームや用具代、遠征費などがかかります。私立校には強豪校が多く、部活動に力を入れている学校が公立校より多いといえます。都内のある私立中高一貫男子校では、アメリカンフットボール部やラグビー部で親子交流が活発に行われ、合宿や遠征などに見学や応援を兼ねて保護者が同行するケースもあります。

《サッカー部に入部した場合にかかる費用の一例》

*FPオフィス And Asset調べ

私立中学校での交際費は想定外の盲点

私立中学校は、公立校に比べると広範囲の地域から通っている子どもが多いため、必然的に行動範囲が広くなります。遊ぶときの交通費、外食費などの交際費として1日で5,000円くらい使ってしまうこともあるようです。公立中学校でも友だちと遠出をすることはありますが、頻度が違います。また、中学から私立校に通わせることができる家庭は金銭的に余裕がある場合が多いので、公立校と比べると子どもたちだけでなく、保護者間の交際費も高くなる傾向があるようです。

首都圏では、約2割の小学生が中学受験をする時代です。私立の中学校には公立の中学校にはない特色があり、子どもの性格や特性に合った学校を選べるのは大きなメリットです。ですが、教育費が家計を圧迫し過ぎて家族のライフスタイルによくない影響を与えてしまっては元も子もありません。大学進学までにいくらかかるのかということも考え、しっかりプランを立てることが大切です。

次回は、小学校から大学までの子どもひとりにかかる教育費事情を、引き続き前田菜緒先生の監修でお届けします。

この記事の監修・執筆者

ファイナンシャルプランナー/FPオフィス And Asset代表 前田菜緒

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者。FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士。保険代理店勤務を経て独立。子育て世帯のライフプラン相談や資産形成の相談を数多く受ける。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの思いを持って活動している。

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