【夏の遊びと冒険の絵本】/こそだてまっぷの絵本棚 8月号

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【夏の遊びと冒険の絵本】/こそだてまっぷの絵本棚 8月号

夏休みも後半戦に突入しましたね。
今回の絵本棚のテーマは、「夏の遊び」と「夏の冒険」。ワクワク・ドキドキの絵本をご紹介します。
絵本のセレクトは、長野県にある児童書専門店「ちいさいおうち」の広報担当で、エッセイストの越高綾乃さんです。

目次

夏の遊び・冒険がテーマのオススメ絵本

◆2~3歳にオススメ 『わにわにのおでかけ』

文/小風さち 絵/山口マオ 990円  福音館書店

<あらすじ>

ある夏の夜のこと。ワニの“わにわに”が眠れないでいると、みんながどこかに出かけていくのに気がつきます。行き先もわからないまま、みんなについていくと、そこにはお祭りの屋台がずらりと並び、とってもにぎやか。綿あめに、おめん、金魚すくいなどを楽しんだあとは、夜空にあがった大きな花火を見て…大満足のお出かけとなりました。

 

<オススメポイント>

強面なのに、なんだかかわいいわにわにくんの絵本は、子どもにも大人気。

「ずりずり づづづ ずりずり づづづ」という擬音語が、ワニが地面をはって移動する様子にぴったり。わにわにのユニークなキャラクターともマッチしていて、耳で聞くだけでもなんだかおもしろくて、読み終わったあとも「ずりずり づづづ」と口に出して言ってみたくなります。

夏祭りの楽しさと、花火の美しさと、夜のお出かけを満喫し、帰宅後にお祭りの思い出とともにコテンと布団で寝入っているわにわにの姿が、あどけなくてかわいくてたまりません。

 

◆3~4歳にオススメ 『なつのいちにち』

作/はたこうしろう 1,100円  偕成社

<あらすじ>

「いってきまーす。」暑い夏の日に、きょうこそ自分一人でクワガタムシをとる! と決めて、出かけた男の子。青い空、白い雲、カモメも飛んでいる線路の向こうの海を見ながら、麦わら帽子をかぶって虫取り網を持って、息をきらせて走ってたどりついた山の中。何度も何度も木にのぼって、とうとう木の上にいたクワガタムシをつかまえた!!

 

<オススメポイント>

こんなふうに自然の中で思いっきり遊ぶ夏を過ごしてみたい…と思わせてくれる、まぶしい夏の一日が、とびきり魅力的に描かれていて、まさに「夏」そのもののような絵本です。文字は多くありませんが、いきいきとした絵を見ていると、いつの間にか自分もいっしょに、全力で走り、階段をのぼり、木にのぼってクワガタムシをとったような気がしてきます。

夏の太陽と海の青さと、モワッとした草木のにおいなどが、ページからあふれ出ていて、本を開いてから閉じるまで、ずっと夏の中にいるようです。

 

◆4~5歳にオススメ 『たんたのたんけん』

作/中川季枝子  絵/山脇百合子  1,210円  学研プラス

<あらすじ>

8月29日はたんたの5歳の誕生日。「きのうは まえの日 きょうは ほんとの日 いよいよ ぼくの たんじょう日」と、この日を指折り数えて楽しみにしていた、たんたがはりきってとび起きると、窓から白い封筒が飛び込んできました。そこに入っていたのは、手書きの探検地図。たんたは大喜び。さっそく探検に行く準備を始めます。ところが、たんたの行く先々に、同じ行動をするヒョウの子があらわれて…。

 

<オススメポイント>

「探検」という言葉の響きと、表紙を開いた見開きに描かれている探検の地図を見ただけで、何かおもしろいことが起こる予感! ちょっと不思議な新しいお友だちに出会い、仲よく探検に出かけるたんたがうらやましくなって、自分も探検に出かけたくなっちゃいます。探検の前に、たんたが準備したのは、帽子と望遠鏡とストロベリー・キャンディー。「自分だったら、探検に何を持っていく?」といっしょに考えてみるのも楽しいですよ。

◆小学1年生や、大人にオススメ 『サンタのなつやすみ』

作/レイモンド・ブリッグズ 訳/さくまゆみこ 1,430円  あすなろ書房

<あらすじ>

サンタクロースって、クリスマス以外は何をしていると思いますか? サンタクロースにも夏休みがちゃんとあります。トレードマークの赤と白の服をぬいで、プレゼントを配るときに使っていたそりをキャンピングカーに改造して、フランス、スコットランド、ラスベガスと、バカンス三昧。旅先でのハプニングもありつつ、夏休みをしっかり満喫。夏休みが終わり、お家に帰ったら次のクリスマスの準備を始めます。

 

<オススメポイント>

「夏なのにサンタクロースの本!?」と思うかもしれませんが、クリスマスの時期以外にサンタさんって何をしているのかな…という疑問にユーモアたっぷりに答えてくれる、夏こそ読みたいサンタクロースのお話です。バカンスに入る前に、サンタ服と帽子をちゃんとクリーニングに出したり、旅の途中に、トナカイが見つかって子どもにサンタクロースだとばれてしまいそうになったりするなど、サンタクロースならではのエピソードや、クスッと笑える小ネタがあちこちにちりばめられています。

お仕事中の姿を描いた『さむがりやのサンタ』(福音館書店)とあわせて読むと、ぼやきがちながら憎めないキャラクターのサンタクロースに愛着がまし、おもしろさも倍増します。

9月の「こそだてまっぷの絵本棚」のセレクトは、絵本専門士7期生・NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師で現役保育士の遠藤裕美先生です。

お楽しみに!

この記事の監修・執筆者

越高綾乃

長野県松本市にある、児童書専門店「ちいさいおうち書店」の広報担当。エッセイスト。著書に『つぎに、読むのどれにしよ? 私の親愛なる海外児童文学』『絵本のつぎに、なによもう? 幼年童話と過ごした日々』(かもがわ出版)がある。

https://www.chiisaiouchihon.jp/   @chiisaiouchihon

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