【専門家監修】「数と時間」が好きになる! 小学校入学準備におすすめの絵本6冊&読み聞かせの工夫

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【専門家監修】「数と時間」が好きになる! 小学校入学準備におすすめの絵本6冊&読み聞かせの工夫

数や時間に関心が高いお子さんもいれば、それほどでもないお子さんもいます。

小学校に入学する前に、「数字はいくつまで覚えればいいの?」「時間を理解していないと困る?」と迷う年長児のママパパも多いことでしょう。

「『数・時間=勉強』のように考えると、お子さんに数や時間の楽しさが伝わりにくくなってしまいます」とお話ししてくださったのは、幼稚園、小学校での教諭経験もある千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生です。

「つい、『何個あるかな?』『今は何時?』などと、たずねたくなるかもしれません。でも、あまり数や時間に関心が高くないお子さんにとっては、試されているみたいで楽しくないかもしれませんね。絵本などを通じて、お子さんが『数や時間っておもしろい!』と思うような経験ができれば、自然と興味がわいて、算数が好きになる土台ができますよ」

横山先生に、数と時間に親しめる、楽しい絵本を教えてもらいました。

お話/横山洋子(千葉経済大学短期大学部こども学科 教授)
文/大悠社

目次

「数・時間」との出会いは絵本で楽しく!

「数や時間をテーマにした絵本では、数が増えるにつれて家や動物が増えてにぎやかになったり、残りわずかな時間でやりとげなくてはいけない事件が起きたり、その規則性がときに楽しく、ときに美しく描かれています。

数や時間はお子さんの生活の中にもあふれています。例えばおやつの場面であれば、おかしを同じ数で分けたり、3時まで待ったりするという経験をしているでしょう。

そういう実体験と、絵本で触れた世界がつながって、お子さんの数や時間への興味は増していきます。

数や時間との出会いが楽しいものであれば、小学校に入学したあとの『計算』や『時こくと時間』などの学習も前向きに取り組むことができます」と横山先生。

「数」の世界に親しむ絵本

『かぞえてみよう』

(講談社 安野光雅/作・絵)

「0の何もない雪の平原から始まり、数が増えるにつれ、家が2軒3軒と建ち、木や人や生き物たちも登場し、にぎやかになっていきます。季節も春から夏、秋へと移り変わり、ヨーロッパの田舎の人々の暮らしが味わえます。あらゆるものがページに合う同じ数で描かれているので、自然に数の概念が身につくでしょう」

『100かいだてのいえ』

(偕成社 いわいとしお/作)

「10階ごとに異なる生き物たちが住む楽しい100階だての家です。縦開きになっており、どんどん上の階へ上がっていく気分が味わえます。家の中では料理をしたり遊んだりと、家族のほほえましい姿が見られます。絵の隅々までストーリー性が感じられ、100という数が実体験できるステキな絵本です」

『頭がよくなる!知育シールパズル』

(Gakken 茂木健一郎/監修 ぬQ/絵)

「ケーキやロケット、モンスターやお城など、子ども探検家のふたりが集めたおもしろいものがパズルになっています。台紙にある番号と、同じ番号のシールを探して貼って、パズルを完成させます。親子で一緒にパズルを楽しみながら数字に親しみ、達成感が味わえます」

『1から100までのえほん』

(戸田デザイン研究室 たむらたいへい/作・絵)

「1匹のコアラから5匹に増え、カメが2匹加わったあと船がこわれて、救助のためのヘリコプターが8機現れます。ものの数が増えていくだけではなく、ストーリー仕立てになっているのがおもしろいところ。16からは、さまざまな生き物たちがお見舞いにやってきます。90匹のトンボが美しい! 心が温かくなります」

「時間」を知るのが楽しくなる絵本

『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』

(えほんの杜 柏原佳世子/作)

「広くて豪華な王様の部屋が舞台。王様のお出かけの日に、家来たちが子どものように王様の部屋を散らかしながら遊んでいます。ところが、あと100秒で帰ってくることに! 1から100まで数える中で、慌てふためていて部屋を片付ける家来たちのドタバタが笑えます。子どもたちは嬉々として数を唱えるでしょう」

『とけいのえほん いま なんじ』

(あかね書房 やました はるお/作 むらかみ つとむ/絵)

「けろくんの、かえるえんでの生活が舞台です。とけいおじさんがやってきて、時計の読み方を教えてくれます。子どもはかえるたちと一緒に生活の流れを楽しめるでしょう。弟のころたんがどこにいるかを探すのもおもしろい! 時計のお勉強というより、時計に親しみをもち、針の動きを見てみようと興味をもたせてくれる本です」

読み聞かせの工夫

読み聞かせがより楽しくなる工夫を聞きました。

「年長児や小学1年生は、まだ読み聞かせてもらうのが楽しい時期です。

同じ絵本を繰り返し読むときは、ママパパが読んでいる文字を、お子さんに指でたどってもらいましょう。文字とママパパの声が一致して、理解度が高まります。また、数字や時間だけ一緒に音読するのもいいですね

数や時間の勉強になるからと、ママパパがまじめに取り組みすぎないようにと横山先生。

絵本の途中でやめてもいいですよ。必ず最後まで読まなければいけないなんてことはありません。『今日はここまでにしよう』と言って大丈夫!

例えば『みかん』が出てきたら、『この前食べたみかん、おいしかったね』なんて話をして、脱線してもいいのです。読み聞かせはその時間を楽しむことが一番大切です」

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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