【おじいちゃん・おばあちゃんがテーマの絵本】/こそだてまっぷの絵本棚

更新日: 公開日:

9月18日は「敬老の日」。心があったかくなるような、おじいちゃん・おばあちゃんとのふれあいをテーマにした絵本を紹介します。
絵本のセレクトは、絵本専門士で絵本セラピスト®の鳥山由紀先生です。

目次

9月第1回

おじいちゃん・おばあちゃんがテーマの絵本

◆2~3歳児向け! 『おひさま ぽかぽか

作/笠野裕一 990円(税込) 福音館書店

【あらすじ】

いいお天気です。縁側に布団を干したおばあちゃん。そこに猫がやってきて、ごろん。それを見たおばあちゃんも「ふわー」と大きなあくびをすると、ごろん。にわとり、犬、やぎ、ぶた、男の子が次々とやってきて、みんなふかふか布団でぐっすりお昼寝。「あー、よく寝た」と、おばあちゃんが目を覚ましたときには、動物たちはどこかに消えてしまいます。

 

【オススメポイント】

ポカポカの縁側にふわふわの布団、これはもう相性抜群です。満員御礼ギューギューの布団ですが、みんな本当に気持ちよさそうに眠っています。犬のおなかの上で寝るひよこ、親鶏の背中で力尽きたようにぶっ倒れている子、みんな重なりあってどんどん狭くなっていき、ページをめくるたびにそれぞれの格好も場所も変わっています。どうやってこっちに移動したの? と寝相の悪さを見ていくのも楽しいです。

おばあちゃんが寝ている間にやってきた動物たち、おばあちゃんののびと同時にサッと退散してしまいましたが、本当にいたのかな、そんな不思議な感覚に陥ります。

縁側の布団でお昼寝がなんとも気持ちよさそうに見えますね。さて、今日のお昼寝はポカポカ縁側にしましょうか!

 

◆3~4歳向け! 『ゆうびんやさん おねがいね

文/サンドラ・ホーニング 絵/バレリー・ゴルバチョフ 訳/なかがわちひろ 1,650円(税込) 徳間書店

【あらすじ】

もうすぐコブタくんのおばあちゃんの誕生日。コブタくんは、おばあちゃんに「ぎゅっ」をプレゼントしたいと考えます。郵便局でお願いしてみると、なんと特別に配達してくれるというではありませんか。コブタくんは窓口係のイヌさんをぎゅっ。イヌさんから仕分け係、トラック運転手、次々に「ぎゅっ」のリレーが始まります。みんなちょっと驚き恥ずかしがりつつも、「ぎゅっ」をしっかりと配達していきます。

 

【オススメポイント】

郵便局の窓口係のイヌさんから、次々にコブタくんの「ぎゅっ」がリレーされていきます。最後は無事、おばあちゃんの元に「ぎゅっ」が届けられて、自然と笑顔に。「おばあちゃんを喜ばせたい!」、コブタくんのその気持ちが、郵便を届けてくれるみんなや読者をも幸せな気分にしてくれます。郵便が届くまでのそれぞれの配達員たちの人間模様(思いやりや恋心)にも注目! コブタくんのおばあちゃん大好きの気持ちだけでなく、そのコブタくんの思いをしっかり届けたいという配達員たちの責任感と愛情が、読んでいる大人をもやさしく温かい気持ちにさせてくれること間違いなしです。

遠く離れたおばあちゃんやおじいちゃんにぜひお手紙を書いてください。いつもはスマホで済ませることも、かわいい孫のつたない便りをきっと特別な思いで眺めてくれるでしょう。もちろん、会いに行けるならば、直接「ぎゅっ」を届けに行って、おじいちゃんおばあちゃんの喜ぶ顔を実際に見たいですね。

◆4~5歳向け! 『おまたせクッキー

作/パット・ハッチンス 訳/乾侑美子 1,320円(税込) 偕成社

【あらすじ】

お母さんが焼いてくれたクッキー12枚をビクトリアとサムが2人で6枚ずつ分けて食べようとしていたら、おとなりの2人が訪ねてきます。4人で分けると3枚ずつ。食べようとしているところに、またまたお客さんがやってきます。食べようとするたびに次々とピンポーン。12人の子どもが集まり1枚ずつに分けたところで、またピンポーン。さて、そこにいたのは?

 

【オススメポイント】

おばあちゃんのクッキーは最高! でも今日はお母さんがクッキーを焼いてくれました。これも最高においしそうです。でも食べようとするたびに来客が増え、自分の食べる分がどんどん少なくなってしまいます。「ピンポーン」となるたびに、その場のみんなの緊張感が伝わりますが、子どもたち、ちゃーんとお友だちを招き入れるんですね。とうとう一人1枚ずつになったところに、またピンポーン。みんなは顔を見合わせ、クッキーを見つめます。「もう食べちゃえば」と提案するお母さんに、「いいよ、待つよ」とサム。そこにあらわれたのは、みんなを笑顔いっぱいにしてくれるおばあちゃんでした。

「ピンポーン」となるたび、ページをめくるドキドキ感がたまりません。そのドキドキの先にあるしあわせをたっぷり味わってください。

みんなで食べるクッキーは最高です。

 

6歳~ 『ぼくのジィちゃん』

作/くすのきしげのり 絵/吉田尚令 1,430円(税込)佼成出版社

【あらすじ】

明日は運動会。クラスで一番足が遅いぼくはゆううつです。前日から応援に来てくれたジィちゃんに速く走れるコツを教えてもらいますが、成果はあらわれず、やっぱりビリ。お父さんの代わりに急遽PTAクラス対抗リレーに出ることになったジィちゃんを、ぼくは心配な顔で見つめます。ぼく同様ビリで終わるのかと思っていたのに、実はジィちゃんにはぼくの知らないすごい秘密があったようです。その秘密が運動会を大いに盛り上げてくれます。

 

【オススメポイント】

運動会がゆううつな子も多いはず。私もそんな子どもでした。運動会が待ち遠しいという友だちをうらやましく思いながら、当日を迎えたものです。

でも、こんなヒーローが自分のジィちゃんだったら。そう思うと、自分もちょっとがんばれそうな気がしてきます。

ジィちゃんが言っていた「右足を前に出したら次は左足を前に出す、それを誰よりもはやく。ただそれだけ」という言葉は、運動会までもう少し、走る練習をしてみようかな、そんな気にさせてくれます。保護者のかたも子どもといっしょに運動会前の練習に走ってみませんか? PTAリレーで活躍できるかもしれませんよ。

読み終えたら、なんだかスッキリ! ジィちゃんの大活躍に、ぼくがビリだったこともすっかり忘れてしまいそうです。いえ、そんなことはないようです。裏表紙では、ジィちゃんとおそろいのウサギさんの‘テーシャツ’を着て練習に励む姿がちゃんと描かれています。「来年こそは」と前向きな気持ちにさせてくれる一冊です。

 

次回(9月16日更新)は「お月さま」をテーマにした絵本を紹介します。
お楽しみに!

この記事の監修・執筆者

絵本専門士・絵本セラピスト® 鳥山由紀

(プロフィール)

絵本専門士4期生。絵本セラピスト協会認定絵本セラピスト®。大人・子どもを問わずお気に入りの一冊を見つけてもらえることを思い、絵本に関する講演や執筆、絵本講座の開催、読み聞かせなどを行う。また、箏奏者との絵本の読み聞かせユニット「ことえほん」での公演活動、大学での認定絵本士養成講座講師も務める。

(ブログ)
https://ameblo.jp/ehonrahen/

(ことえほんfacebook)
https://www.facebook.com/kotokotoehon/

 

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