あけましておめでとうございます。
新年の絵本棚では、お正月にちなんで、さまざまな「和」を感じられる絵本を紹介します。
絵本セレクトは、絵本専門士で、NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。
1月号
お正月だからこそ「和」がテーマのオススメ絵本!
◆2~3歳向け! 『だるまなんだ』
文/おおなり修司 絵/丸山誠司 1,430円 絵本館
【あらすじ】
だ・る・ま・さ・ん・が、、、、ころんだ! ではなく、「ならんだ」で始まるお話。海に落ちてしまったと思ったら、空を飛んでしまう、だるまさん。リズムのいいことばと、最後までノンストップで駆け抜ける展開に目が離せません! 作者のおおなり修司さんが、「バカバカしくも、どこか憎めないだるまたちを好きになってもらえたら」と言っていますが、すぐにだるまたちの魅力にハマってしまうはず。結末は誰にも言ってはいけません!
【オススメポイント】
おうちのかたが小さなころに遊んでいた「だるまさんがころんだ!」の調子で、楽しく読んでみてください。
だるまさんが・・・ならんだ
だるまさんが・・・ころんだ
だるまさんが・・・にらんだ
最初から最後まで、「だるまさんが・・・」のことばでリズミカルかつユニークにお話が進んでいくので、子どもたちはだるまさんワールドにガッツリ引き込まれていましたよ。笑いの要素がたっぷりなので、「笑う門には福来る!」。新しい年の始まりにピッタリの絵本だと思います。初めて読んだときにも、読み手の後から「ころんだ!」「にらんだ!」と元気な声が返ってきて、楽しく読み合っていました。誰も予想ができないような結末もお楽しみに♪
◆3~4歳向け! 『たこあげ』
作/青山友美 1,540円 講談社
【あらすじ】
舞台は海辺の商店街。
魚屋のてっちゃんは、「たこあげ しに いってくるー」と元気に出かけていきます。店先にいたタコが、そーっとてっちゃんのたこをつかんでついてきたことには気づいていません。商店街を駆け抜ける間にどんどん友だちが加わって、海で楽しくたこあげです!
たかーく上がった、たことタコ。タコは何を見ていたのでしょうか? ワクワクするお話です。
【オススメポイント】
てっちゃんのたこあげに、お店にいたタコがそーっとついて行ってしまう始まりに興味津々の子どもたち! てっちゃんは気づいていないけれど、見ている自分たちはわかっているという状況が楽しそうでした。タコのビックリな冒険が見どころですよ。
以前に比べて、年末年始のお休みなどに、家庭でたこあげを経験したという話を聞かなくなった気がします。たこが高く上がっていく場面は、見ているほうも爽快です! この絵本を読んだあとに、たこあげに出かけてみてはどうでしょう? 楽しさが倍増すると思います♪
この絵本では、商店街の様子も魅力のひとつ。ぜひぜひ、お子さんとじっくりと絵を楽しみながらページをめくってみてください。
◆4~5歳向け! 『寿限無』
文/齋藤孝 絵/工藤ノリコ 1,320円 ほるぷ出版
【あらすじ】
むかしむかし、とっても長い名前の男の子がいたそうで…。その子の名前は、「寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の 水行末雲来末風来末…」。おなじみの落語「寿限無」が、工藤ノリコさんの楽しい絵で描かれています。表紙に、「声にだす ことばえほん」と書かれているどおり、声に出して読むと楽しさ倍増です。お話とは別に「寿限無」のことばの説明がついているのですが、必見です!
【オススメポイント】
落語の本はいくつか出ていますが、この絵本はシンプルに寿限無のことばが紹介されています。「寿限無 寿限無」「五劫の擦り切れ」というように、見開きに1つのことばとことばに合った絵が描かれているので、繰り返し読む中で楽しく寿限無がスーッと入ってきますよ。
子どもたちと見ていても、すぐに声に出して参加していました。声を合わせて読むのもよし! 子どもが後から続いて読むのもよし! 楽しい読み方を見つけてくださいね。
寿限無のことばの説明もそえられているのですが、これは大人が読んでもなるほど! とおもしろいものでした。絵としっかり結びついているので、お子さんに説明するのもオススメです。
◆大人向け! 『富士山うたごよみ』
短歌・文/俵 万智 絵/U・G・サトー 1,430円 福音館書店
【あらすじ】
日本を象徴する富士山と、すてきな短歌が書かれた絵本です。この絵本では、春の始まりの「立春」からスタートして、二十四節気が紹介されています。「穀雨」「白露」など、初めて聞くことばもあるかもしれません。U・G・サトーさんの描く、季節をイメージしたさまざまな形で魅せる富士山と、「サラダ記念日」を書いた俵万智さんの心がポッと温かくなることばの数々。読んでいると、日本の四季のすばらしさを再確認でき、心の栄養をもらえる1冊です。
【オススメポイント】
絵本仲間さんに紹介されて手に取った絵本なのですが、表紙の富士山に心惹かれ、昔々手に取った「サラダ記念日」の俵万智さんの短歌に久々に触れ、ワクワクした思いで読みました。この絵本で「二十四節気」というものをあらためて知りました。なんとなく耳にしたことはあっても、その時期や意味までは詳しく知らなかったのです。
「穀雨」…4月20日ごろ。田んぼや畑の準備が整う。それに合わせるかのように、穀物を育てる雨が降ってくれる。
絵本を通して、今までこの時期に「嫌だなぁ~」と感じていた雨の感じ方が変わりました。俵さんの短歌も、ぜひ声に出して読んでみてください。黙読なんてもったいない! ことばっていいなぁ~と感じられる絵本だと思います。また、U・G・サトーさんの二十四節気をイメージした富士山もたっぷり楽しんでください。お子さんのために読む絵本もすてきですが、大人も自分のために手にできる絵本が見つかりますように…。そんなオススメの1冊です!
次回は(1月21日更新)は、「お風呂」をテーマにした絵本を紹介します。お楽しみに!
この記事の監修・執筆者
絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。
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