子どもたちは毎日の生活や遊びの中で、頻繁にけがをします。
家庭でできる手当ては? 病院に行ったほうがよいけがは?
そんな身近な疑問にお答えする連載です。
今回は、指先や、口内のけがの手当てについて、みやのこどもクリニックの宮野孝一院長先生にうかがいました。
監修/みやのこどもクリニック 院長 宮野孝一
1 こんなときどうする? 指先のけが~指挟み、爪、突き指~
指先のけがは子どもに多いものです。神経が集まっていて痛みを強く感じやすいため、適切な対処法を確認しておきましょう。
まずはCheck!
□けがをした部位
□外傷や出血など、けがの程度
手当ての仕方~指を挟んだ~
(1)冷やす
流水でしばらく冷やします。その後、指が動くかを確認して、痛みが続くようであれば、冷やしたタオルか冷却シートなどで、引き続き冷やしてください。
こんなときは救急車を呼ぶ・病院へ
- 指が動かない、曲がらない
- 激しく痛がる
- 手指の腫れがひどい
- 内出血で変色してきた
- 骨折や、腱を痛めた疑いがある
- 爪を挟んで、血腫ができている場合(血の逃げ場がなく痛みがひどくなるので、受診して血を出す治療を受ける。痛みがなければ冷やして様子見を)
- 指を切断した(患部を清潔なガーゼでおおい根元をしばって止血。切断した指はラップで包んでからビニール袋に入れ、さらに氷水で冷やして病院に持参を)
手当ての仕方~爪のけが~
■爪がはがれた場合
弱い流水で優しく洗います。
浮いた爪をそっと戻したら、清潔なガーゼでおおって病院へ。
■爪が欠けた場合
出血していれば、弱い流水で優しく洗い、様子を見ます。痛みが強かったり、処置に迷ったりする場合は病院へ。出血がなければ、引っかけないように爪を整え、傷パッドを貼りましょう。
こんなときは病院へ
- 爪がはがれた、はがれそう
- 大量出血している
- 爪やまわりの皮膚の変色
- 爪を挟んで、血腫ができている場合(血の逃げ場がなく痛みがひどくなるので、受診して血を出す治療を受ける。痛みがなければ冷やして様子見を)
手当ての仕方~突き指~
(1)冷やす
冷やしたタオルか冷却シートでしばらく冷やし、痛みをやわらげます。
(2)患部を固定する
動かさないように固定しましょう。添え木(割り箸などでかまいません)を当てて、包帯でいっしょに巻き、冷やしながら病院へ。
!突き指は、指のじん帯を損傷している状態。引っ張って戻そうとするのは絶対にやめましょう。
こんなときは病院へ
- 指を動かせない(骨折や脱臼、腱を損傷している疑い)
- 指が短くなったように見える
- 指を曲げられない、曲げづらい
- 指が腫れて痛みがある
- 指が曲がったまま
- 強い痛みがある
2 こんなときどうする? 歯が折れた・欠けた
子ども自身がどこかにぶつけたときや、子どもどうしでぶつかったときなどに、「歯」を損傷することは多いです。
乳歯の折れ・欠けは、歯茎の状態などをしっかりと病院で確認してもらいましょう。
永久歯の場合は、歯の保存をいち早く行います。
まずはCheck!
□折れた・欠けた歯の部位の状態
□折れた歯の保存
□口内を切っていないか
手当ての仕方
(1)歯を保存する
歯根(歯の根本)には絶対に触れずに、保存容器(プラスチックの密閉容器やフィルムケースなど。なければコップでも)に牛乳を入れて、歯を浸けます。
!歯根の周りには、歯と骨をつなぐ「歯根膜」という組織が付着しており、これを残してできる限り早く病院を受診することが大切です。砂や血液がついていても、水洗いは厳禁です。
(2)止血する
出血があればうがいをし、清潔なガーゼを当てて止血します。頬側から冷やしたタオルを当てて、痛みをやわらげましょう。
こんなときは病院へ
- 歯が折れた、ぐらぐらしている
- 出血が止まらない
- 痛みが強い
再植手術を行う場合、30分以内に歯科の受診が必要です。電話で確認してから、病院へ向かいましょう。
3 こんなときどうする? 口内のけが
口内のけがは出血量が多くても、小さな傷であることが多いため、落ち着いて対処しましょう。
まずはCheck!
□けがの部位
□何でけがをしたか
□出血の程度と傷の大きさ
手当ての仕方~口内をかんだ、軽く切った~
傷口を洗う
うがいをするか、ぬらした清潔なガーゼでそっと拭き取り、傷の様子を確認します。その後、清潔なガーゼを当てて止血を行い、痛みがあれば頬にぬらしたタオルを当てましょう。
こんなときは病院へ
- 出血量が多い
- 血が止まらない
- 上唇小帯(歯茎と上唇をつなぐ筋)が切れた
手当ての仕方~魚の骨を飲んだ~
■うがいをする
骨が外に出るよう、うがいをします。痛みや違和感が続くようであれば、病院へ。
!白ごはんを丸飲みするのはオススメできません。
こんなときは病院へ
- 痛みや違和感が続く
- 太い骨を飲んだ
- 口を開いたときに骨が目視できる
白ごはんを飲み込んで骨が取れたとしても、のどに引っかかるような骨の場合、体内の他の部位を傷つけることも考えられます。
また、骨が目視できる場合にも、決して無理に取り除いてはいけません。
とくに子どもは、のどの入り口の左右にある「口蓋扁桃」が3~6歳ごろをピークに大きくなるといわれているため、大人と比べて口の中が小さく、骨が引っかかりやすいのです。
手当ての仕方~口内に物が刺さった~
止血する
傷口を確認後、清潔なガーゼを当てて止血し、血を飲み込まないように、下を向かせて、念のために病院を受診します。
傷が深い、物が刺さったままの場合の応急手当は難しいため、すぐに救急車を呼びます。
鉛筆や歯ブラシ、箸を持ったまま歩くと、転んだ際に口やのどに刺さる危険性があります。棒つきキャンディーや綿あめも、歩きながら食べることはたいへん危険です。
普段からよく注意して、立ち歩いて歯磨きをしないなどの約束をするとともに、危険性を伝えていきましょう。
この記事の監修・執筆者
みやのこどもクリニック院長。日本小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医であり、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの診療にも積極的に取り組む。
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