子どものすり傷・切り傷・打撲……こんなときどうする?【小児科医が教えるけがの手当て】

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子どものすり傷・切り傷・打撲……こんなときどうする?【小児科医が教えるけがの手当て】

子どもたちは生活や遊びの中で、頻繁にけがをします。
家庭でできる手当ては? 病院に行ったほうがよいけがは?
そんな身近な疑問におこたえする連載です。
けがの種類ごとの対処方法を、みやのこどもクリニックの宮野孝一先生に伺いました。

監修/みやのこどもクリニック 院長 宮野孝一

目次

1 家庭で用意したい救急セット

救急箱

まずは、お子さんがいる家庭で用意しておきたい救急セットをご紹介します。

キットで販売しているものを購入するのも、手軽ですね。

□ ばんそうこう、創傷(そうしょう)パッド
□ 消毒液
□ 滅菌ガーゼ
□グローブ(滅菌手袋)
 ※血液や、傷に付着している不純物に触れないようにするため
□ 包帯
□ 傷テープ
□ ハサミ
□ 毛抜き、ピンセット
□ 虫刺され用塗り薬
□虫刺され吸引器
 ※ハチ、蚊、ヘビ、野生動物などに使用できます
□ 綿棒
□ かぜ薬
□ 体温計
□ 冷却シート、氷のう
□ 常備薬

上記のセットを基準にしつつ、季節や、アウトドアに出かけることが多い、おなかが弱いなど、各家庭の事情に合わせて必要なものをアレンジしましょう。

2 こんなときどうする? すり傷・切り傷

すり傷・切り傷

子どもに多い、すり傷・切り傷。

傷ができたとき、確認すべきポイントをご紹介します。

まずはCheck!

□傷の部位
□傷の大きさ・深さ
□何でけがをしたか
□どこでけがをしたか

手当ての仕方

血がにじむ程度の傷なら、傷口を洗ってばんそうこうを貼りましょう。消毒はしません。

(1)傷口を流水でやさしく洗う

砂や汚れを落とします。傷口に異物が刺さっている場合は、ピンセットで取り、きれいに洗い流します。
さびた釘などが刺さった場合は、破傷風の危険性があるため、取り除いて止血したあと、滅菌ガーゼを貼って病院を受診しましょう。

(2)止血する

小さな傷ならガーゼを当てて傷の上から、少し大きな傷は、傷口よりも心臓に近い位置を、最低5分は圧迫して止血します。このとき、傷口が心臓より高くなるようにします。

(3)創傷パッドを貼る

傷口から出る浸出液が治癒を促すため、乾かさないように保護して「湿潤環境」を保ちます。この場合、治癒に必要な細胞を守るために消毒はしません。

1~3日程度で貼り替え、様子を見ます。かさぶたができてきたら、創傷パッドは外してかまいません。

こんなときは救急車を呼ぶ・病院へ

  • 15分以上の激しい出血(動脈からの出血の場合は脈打つように血が噴き出ます)
  • さびた釘やいたんだ木片、植物などが刺さった。傷口の石や砂が取れない(化膿や破傷風の危険性があります)
  • ぬう必要があるほどの大きさや深さの傷

砂、異物が多数入っている場合は無理せず、病院で局所麻酔のうえ、ブラッシングして洗浄してもらいましょう

3 こんなときどうする? 打撲

自転車から転んで打撲

物や人にぶつかったり、遊具から落ちたりしたときなどに起こりやすいけがです。

まずはCheck!

□意識・呼吸の有無
□けがの部位
□何にぶつけたか
□どこから落ちたか

手当ての仕方

子どもが少し痛がる程度であれば、様子を見てかまいません。

次第に具合が悪くなる場合は、内臓が損傷していることも。打った部位によっては深刻な症状になることもあるため、注意が必要です。

(1)打撲したところを冷やす

氷のうや、冷たいぬれタオルで、患部を冷やします。
傷がある場合は、先に止血し、手当てしましょう。

(2)安静にして休ませる

巻いたタオルやクッションで体を支えると楽な体勢をとりやすくなります。

こんなときは救急車を呼ぶ・病院へ

  • 呼吸がない。呼吸が苦しそう
  • 意識がない。もうろうとしている。ぐったりしている
  • 首や背中、顔、胸部、腹部を強く打った。高所から落ちた(内臓の損傷や骨折している場合があるため、動かさない)
  • 打撲部位からの大出血
  • 腫れがひどい
  • 麻痺やしびれがある
  • おう吐する
  • 激しくせき込む
  • 呼吸のたびに痛がる
  • 血の混じったたんが出る
  • 黒い便、血尿が出る
  • ねんざ、骨折を伴っている様子がある
  • 目の打撲の場合も、まず冷やし、痛みがひどい、目が霞むなどあれば直ちに病院へ(網膜剥離、緑内障の危険性)

4 こんなときどうする? 頭の打撲

頭の打撲

頭の打撲は、外傷がなくてもすぐに救急車を呼ぶべき場合があります。

まずはCheck!

□頭部の傷やへこみ、腫れ
□出血の有無
□手足の動きや、呼びかけへの応答
□何で頭を打ったか
□どこで頭を打ったか

手当ての仕方

呼びかけにすぐに応答したり、泣き出したあとに機嫌が戻ったりするようならひと安心。落ち着いて手当てをしましょう。

(1)打撲したところを冷やす

氷のうや、冷たいぬれタオルで、患部を冷やします。
傷がある場合は、先に止血し、手当てしましょう。

(2)安静にして休ませる

巻いたタオルやクッションで体を支えると楽な体勢をとりやすくなります。

(3)経過を観察する

頭の打撲から1~2時間後に突然おう吐したり、意識を失ったりする場合があります。頭蓋骨内で出血している可能性があるため、すぐに病院を受診します。48時間は安静にして、様子を見守りましょう。

こんなときは救急車を呼ぶ・病院へ

  • 意識がない
  • 顔色が悪く、もうろうとしている
  • 打った部分が陥没している。ブヨブヨしている。変色している
  • 出血が止まらない。傷口が開いている
  • けいれんしている
  • 吐き気があったりおう吐したりする(意識がない場合、吐いたものをのどに詰まらせないように、顔を横に向けて寝かせます)
  • 激しい頭痛
  • 手足が動かない、しびれがある
  • 目が見えづらい
  • 耳や鼻から血や水のようなものが出る


軽いけがは家庭で手当てし、重いけが、感染のおそれがある場合、普段の様子と違うところがある場合は、病院へ向かいましょう。

この記事の監修・執筆者

みやのこどもクリニック院長 宮野 孝一

みやのこどもクリニック院長。日本小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医であり、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの診療にも積極的に取り組む。

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