【低学年保護者向けの中学受験情報】今からできる受験対策と心がまえについて[専門家監修]

更新日: 公開日:

【低学年保護者向けの中学受験情報】今からできる受験対策と心がまえについて[専門家監修]

2023年度の首都圏の中学受験者数は6万人を超え、過去最高に! 私立中学を選ぶメリットや保護者が受験において心がけておくことなどを中学受験のエキスパート森上展安氏にうかがいました。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

「私立中学へ入学させたい!」その本音は?

2023年度の首都圏の中学受験者数は6万3000人を超え、過去最高になりました。なぜ、中高一貫校の受験を希望する人が多いのでしょうか。

その主な理由として、私立中学に求める“出口戦略”、つまり6年後の大学進学が有利になるというメリットが考えられます。中高一貫校なら高校入試をせずに、6年間を見通した大学への進学指導を期待することができるのです。

この背景には、今や大学入試の5割以上を占めている総合型選抜(※1)や学校推薦型選抜(※2)があります。

たとえば、私立のかえつ有明は、総合型選抜に特化したカリキュラムで学ぶ「新クラス」を導入して注目を浴びています。この「新クラス」は、グループワークなど対話型・協働型の授業を取り入れており、卒業生の約6割が総合型選抜で大学に合格したという実績があります。一般の大学入試と違って、最近の総合型選抜や推薦型選抜では、こういった探究型の学びが評価されるようになってきているのです。

つまり、中高一貫校に入れて、学校の手厚いサポートを受け、6年後は難関大学に合格させたいという保護者の“あと伸び”を求める心理が働いているといえるでしょう。

※1:総合型選抜は、受験生の学ぶ力を総合的に評価・判断する選抜方式。テストの点数だけでなく、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びへの意欲や人間性なども含めて多面的に評価する。かつての「AO入試」。

※2:学校推薦型選抜は、高校での実績や取り組みをもとに、受験生の個性や意欲を評価する選抜方式。従来の推薦入試のこと。

学校選びで見極めるべきポイントとは

中学受験を検討する際、重要になってくるのは「学校選び」です。まずは学校が主催する「学校説明会」などに実際に足を運び、自分の目で学校を見ることは必須です。そのうえで、以下の3点を親子で考えてみましょう。

1.子ども自身がやりたいことをできる学校か?

子ども自身が「その学校に入って何をやりたいのか」を親子で共有しておきましょう。

たとえば「中学では野球部に入りたい」と思っていた小6生が、ある伝統校の学校説明会に行って校舎を見た際、野球部用のグラウンドがなかったので、志望校を変更したというケースがあります。学校の知名度や偏差値なども学校選びの大事な要素ですが、入学後に充実した6年間の学校生活を送るためにも「子ども自身がその学校でやりたいことができるかどうか」も学校選びのポイントにしましょう。

2.6年後、子どもがその学校のイメージに染まってもOKか?

学校説明会では、そこで話している先生の雰囲気や話し方もチェックすることをオススメします。私立の場合、先生自身がその学校の卒業生だったり、その学校に十数年以上も勤務していたりすることが珍しくありません。子どもがその学校に入学して6年間を過ごせば、その先生が持つ雰囲気に似てくることは十分考えられます。「6年後、うちの子は、この先生みたいな感じになるのか」というのもチェックポイントのひとつです。

3. 男女別学校か共学校か?

最近は男子校や女子校が共学化する事例がふえています。一般に勉強に集中するなら、異性の視線を気にしないですむ男女別学のほうがよいといわれています。それは大学進学実績にもある程度見てとれます。ただ、実社会は男女で構成されているため、性別によって物事の考え方が異なる場面もあり、実社会に近い環境で学べる共学校のほうが、社会に出てから雰囲気になじみやすいという一面はあるでしょう。

今読まれている記事≫【1年で約30人の子どもが犠牲に】水難事故の半数は「川」で起きている![専門家監修]

学校側が求める多様な受験生像

最近、私立中学では、「帰国生」「サイエンス」「特待生」といったさまざまな名称の入試枠をつくって、4教科・2教科にとらわれない多様な入試を行う学校も登場し始めています。そこには、実社会で、グローバル人材やIT系人材など多様な人材が求められているという背景もあるでしょう。もし、海外生活経験のあるご家庭や、理系が際立って得意な子どもなら、このような入試枠のある学校を探してみてもよいでしょう。

受験勉強、差がつきやすいのは「算数」

中学受験をするなら、受験勉強をどうするかも大切な問題です。首都圏では最近、1教科または2教科で選抜を行う学校も増加傾向にありますが、ほとんどは4教科(国語・算数・理科・社会)受験です。一般的な受験勉強は4教科対策を考えたほうがよいでしょう。

なかでも、点数で差がつきやすいのは「算数」です。算数が得意な受験生は有利といえます。「うちの子は、算数が苦手」というご家庭は、苦手意識を克服する対策を考えましょう。

出題傾向からわかる「今からやっておくこと」は?

2020年度~2021年度に小・中学校の新学習指導要領が実施され、中学の入試問題でも、新課程が目指す“思考力を問う”問題が多く出されています。

算数は、問題文の長文化が見られ、算数といえども読解力が求められます。丁寧に読み込めば解くことができますので、文章題には慣れておいたほうがよいでしょう。

国語は、物語文と説明文といった異なる文種の2つの文章を読ませてそこから問う出題が多く見受けられました。解答方式も択一ではなく、「正解のすべてに〇をつけなさい」として複数の正解がある出題もあります。たとえば、神奈川県のある中学校では、5つの選択肢のうち4つが正解というトリッキーな問題もありました。

要するに、文章をしっかりと読めないと解けない、内容を正しく理解していないと解けない出題がふえているのです。子どもの読解力や思考力は短期間で身につくものではないので、今からでも少しずつ思考力を養う学習につながりやすいことを積み重ねていくとよいでしょう。

入試に特化した勉強は小4からでもOK

「低学年でも、受験勉強をしたほうがいいの?」と焦ってしまう保護者もいるのですが、中学入試のための受験勉強は小4からでも十分間に合います。それよりも低学年のうちは、興味や関心を持ったことに沿って、知的好奇心や探求心などを育むことを心がけ、学力の土台を培っていきましょう。

それには、普段の親子の会話が大切です。たとえば、子どもといっしょにスーパーなどへ買い物に行ったら「これは〇〇県でとれたレタスだね」「今日は牛乳が2割引き? じゃあ、いくらになるのかな」などと学びにつながる会話を楽しみましょう。ほかにも、食事をしているときやお風呂の中など日常的な場面で少しずつ学力の基礎となるような会話を心がけるとよいでしょう。

会話の中で注意したいのは「~をしなさい」「~をしてはだめ」といった命令や禁止などの表現を避けることです。中学受験は、子どもにとって大きなハードルです。それを乗り越えるには保護者との信頼関係が欠かせません。子どもの行動を強制したり制限したりする言動は、親子の信頼関係を築くのに逆効果となります。それよりも子どもががんばったことを見つけてほめるなど、家族がいつも見守ってくれているという安心感を持たせるような会話を心がけましょう。

中学受験は家族の総合力でサポートする

保護者の世代が中学受験をした時代は、保護者(とくに母親)がずっと伴走して、塾の送り迎えや食事のサポートなどをしながら入試を乗りきるという家庭が多かったかもしれません。ですが、今は、母親だけでなく、父親や祖父母も協力して家族の総合力で子どもをサポートするのがスタンダードです。

受験勉強についても、保護者がつきっきりで勉強をフォローするよりも、個別指導塾や一斉指導塾、単科講習を組み合わせるなど、できるだけ外注化する傾向にあります。そのほうが学習効率もアップしますし、保護者の負担も軽減できます。その分、保護者は中学受験に向けて、子どもの生活習慣を整え、健康やメンタル面などをサポートしていきましょう。

首都圏では、“過熱する中学受験”などとメディアで話題になっていますが、周囲の声に流されることなく、「わが子には何がベストなのか?」を家族みんなでじっくり考え、支えていくことが大切です。

この記事の監修・執筆者

森上教育研究所 代表取締役社長 森上 展安

早稲田大学法学部卒業。学習塾を経営後、1988年に森上教育研究所を設立。中学受験や中高一貫教育などの調査・研究、教育コンサルティングなどを手がける。

プロフィール写真撮影/平野晋子

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

あわせて読みたい

おすすめ情報

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

関連記事

この記事の監修・執筆者の記事