【なんで子どもは、お年玉をもらえるの?】など、お正月にまつわるナゾを解決![専門家監修]

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お正月を迎えるにあたって行われる風習には、どんな意味が込められているのでしょう。お正月にまつわる素朴な疑問について「行事育」を提唱する和文化研究家の三浦康子先生に教えていただきました。

*行事の由来には諸説があります。また、風習は地域によって異なります。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

Q1 お正月って、そもそも何?

1月のことをお正月といい、「年神様(としがみさま)」という新年の神様を各家庭でお迎えし、その年の幸せや家内安全などを願います。年神様は、ご先祖様や五穀豊穣の神であるとも考えられており、彼方(かなた)からやってくるとされています。1月1日の朝(元旦)にのぼる太陽は、年神様の象徴と考えられているため、日本では、初日の出を拝んで新年の幸せを願う風習があります。

Q2 お正月飾りには、それぞれどんな意味がある?

●門松(かどまつ)●
年神様が家にやってくるときに迷わないようにするための“案内役”です。前年の年末に家の門のところに立てて、元旦に年神様をお迎えします。1月7日(地域によっては15日)に年神様がお帰りになるまで門で待っているので「門松(門で待つという意味もある)」といいます。

門松を立てている期間を「松の内」といい、松の内の間は年始の挨拶(「明けましておめでとうございます」など)をします。

●鏡餅●

年神様へのお供え物であり、年神様が宿る場所とされています。「鏡餅」の名前の由来は、神様が“鏡”に宿るといわれているからです。鏡餅が丸い形をしているのは、昔の鏡が円形だったことに由来しています。大小2段に重ねた餅は、“太陽”と“月”を表しているという説もあります。

縁起物である橙(だいだい)や昆布などを飾りつけた鏡餅は、床の間、神棚、台所など「年神様にいてほしい場所」に供えます。

●しめ飾り(しめ縄)●

しめ飾りは、年神様をお迎えする神聖な場所を表し、不浄なものが中に入らないようにする役目があります。「しめ」には、「神様の占める場所」という意味があります。大そうじをして場を清めたら、玄関や神棚などに飾って、年神様をお迎えします。

Q3 どうして、子どもはお年玉をもらえるの?

お年玉には「今年も元気でよい年にしてほしい」という願いが込められています。昔のお年玉は、お金ではなくお餅でした。人の魂(生きる力など)は、その年ごとに年神様からいただくものと考えられていました。その魂が宿っていたのが「餅玉」です。家長が家族(大人も含む)にその年の「年魂(としだま)」としてお餅を分け与え、これがのちに「お年玉」となり、お餅の代わりにお金を与えるようになりました。やがて、大人から大人へお年玉を与える習慣もなくなり、大人が子どもに渡すものと変化していったのです。

子どもにお年玉を渡す際、「お年玉には『今年も元気にがんばろう』という意味があるんだよ」などと、ことばをかけるといいですね。

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Q4 お正月に初詣をするのはなぜ?

新年に初めて神社やお寺にお参りすることを初詣といい、氏神様(その土地の神様)や菩提寺(先祖のお墓がある寺)に新年の挨拶をしていたのが由来です。現在は有名な神社やお寺にお参りに出かける人が多くなりました。初詣は、松の内、遅くとも1月15日までにお参りするのがよいといわれています。大みそかの夜から、初詣に出かける人が多いのは、その昔、寝ないで年神様を迎えた風習の名残といわれています。

一般的な神社では、初詣で参拝したあと、絵馬に願い事を書いて納めたり、おみくじを引いて新年の運勢を占ったりして楽しみます。

絵馬●

願い事を書いて、神社やお寺に納めます。昔は馬を納めていましたが、その代わりに馬の絵を納めるようになったため「絵馬」と呼ばれるようになりました。

●破魔矢●

魔(病気や災害など)を破るという願いが込められた矢。家内安全、無病息災のお守りです。

●お札やお守り●

お札やお守りは、神様の分身と考えられていて、それを持つ人やその人の家族を守ってくれるとされています。

●おみくじ●

1年の運勢を占います。吉凶だけでなく、書かれている内容に目を向けることも大切です。

Q5 初夢にまつわる言い伝えや風習は?

元日の夜から1月2日に目覚めるまでに見る夢を「初夢」といい、初夢でその年の運勢を占う風習があります。「一富士(いちふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび)」といわれ、富士山は「無事」、鷹は「高く」、茄子は「事を成す」に通じ、縁起のよい夢とされています。

縁起のよい初夢を見るためには、七福神を乗せた宝船の絵、悪い夢を食べてくれるという架空の動物「獏(ばく)」という字を書いた紙を枕の下に敷いて寝るというおまじないもあります。子どもと「どんな初夢を見た?」などと会話をすると楽しそうですね。

Q6 なぜ、お正月に書初めをするの?

書初めは「年の初めに毛筆で文字を書く」行事で、新年の抱負やおめでたい言葉を書きます。1月2日に行われていることが多いです。書初めは、1月15日に行われる「どんど焼き(お正月飾りなどを集めて焼く行事)」で燃やし、その火が高く燃え上がると字が上手に書けるようになるといわれています。

「毛筆は苦手」というご家庭なら、硬筆で書初めをしてみてはいかがでしょう。子どもに「今年の目標は?」「どんな1年にしたいと思う?」などと問いかけながら、書初めをさせてみてください。「今年はよい年にしたい」と思いを込めれば、いつもより丁寧に書くことでしょう。そのとき「きれいに書けたね」とほめることで、自信につながります。このように、書初めは「丁寧に文字を書くことが身につく」よい機会にもなるのです。

ぜひ、子どもといっしょにお正月の飾りつけや風習を楽しみましょう。すべてを「しきたりどおり」にやる必要はありません。簡略化して、できる範囲のことでかまいませんし、我が家流にアレンジして楽しんでもOKです。行事・風習の意味や由来を子どもに説明してあげると、いちだんと興味を持って楽しんでくれるでしょう。

次回は、お正月料理に関するお話を、引き続き三浦先生にお聞きします。お楽しみに!

この記事の監修・執筆者

和文化研究家 三浦 康子

古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)ほか多数。

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