【専門家監修】初詣の由来やマナーを知って、子どもといっしょに初詣へ行こう

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【専門家監修】初詣の由来やマナーを知って、子どもといっしょに初詣へ行こう

近年、コロナ禍でなかなか外に出られなかった人も多いのではないでしょうか。今回は家族で初詣へ行きませんか? 初詣の起源や意味、初詣の仕方などを、和文化研究家の三浦康子さんにうかがいました。

監修/三浦康子(和文化研究家) イラスト/わたなべふみ   *由来や作法には諸説あります

目次

初詣にはどうして行くの?

神様(神社)や仏様(寺)に新年のごあいさつをするためです。
本来は、自分たちをいつも見守っている氏神様を祀っている神社や、ご先祖様のお墓がある菩提寺に詣でます。そして、旧年中の感謝と新年のご加護をお願いするのです。

初詣はいつから始まったの?

大晦日から元旦にかけて、家長が徹夜で氏神神社にこもる「年籠(としごも)り」という風習があったことが、平安時代の書物に書かれていて、それが初詣の起源だと思われます
やがてこれが大晦日の夜の「除夜詣」と元日の「元日詣」とに分かれ、江戸時代には、氏神様に限らずその年の縁起の良い方角にある社寺に参る「恵方詣(えほうもうで)」や、崇敬する社寺や好みの社寺に参る人が増えました。

なお、「初詣」という言葉は、明治時代に鉄道が開通し、遠方の社寺にも行けるようになったことで、鉄道会社が鉄道に乗って正月に参拝に出かけてもらうために「初詣」と名付けたとされています。

神社と寺では、参拝の仕方がちがうの?

神社の参拝方法

① 鳥居をくぐる前に衣服を整え、軽く会釈をしてから境内に入ります。
参拝はすでにここから始まっています。

② 参道は中央を避け、ゆっくりと歩きます。
中央は神様が通るところなので避け、ゆったりとした気持ちを持って拝礼するための心の準備をしましょう。

③ 手水舎(ちょうずや、てみずや、ちょうずしゃ、てみずしゃ)で手水を取り、心身を清めてからご神前に進みます。
ここで参拝者は手を洗い、口をすすいで俗界の穢(けが)れを落とし、身を清めます

手水の手法

1.右手で柄杓を持って水を汲み、左手にかけます。  
2.柄杓を左手に持ち替え、右手にかけます。 
3.再び柄杓を右手に持ち替え、左のてのひらに水を受けて口をすすぎます。

  柄杓に直接口をつけないようにしましょう。 
4.もう一度、左手に水をかけます。 
5.最後に、両手で柄杓を立てて柄杓の柄に水を流します。
6.柄杓置き場に柄杓を伏せて戻します。 

面倒に思う人は、左手→右手→口→左手の順で清め、最後に柄杓を洗うと覚えましょう。

④ 軽く会釈をしてから賽銭箱に賽銭を入れ、鈴を鳴らしたら「二拝二拍手一拝」の作法で拝礼し、軽く会釈をして退きます。

「二拝二拍手一拝」の参拝の仕方

1.軽く会釈をしてから賽銭箱に賽銭を入れます。
白い紙に包んだ米を「おひねり」として供えていた名残りといわれています。大事なものを捧げることは私欲があってはできないことなので、賽銭を入れることで心の靄(もや)を祓うという意味もあります。
2.鈴を鳴らします。  
鈴の音によって参拝者の邪念を祓い、神の降下を願います。
3.二拝します。(2回頭を下げておじぎをします) 
  神への敬意を表します。
4.胸の高さでてのひらを合わせ、右手を少し下にずらして二拍手。その後、指先をきちんと合わせ祈りを込めてから手を下ろします。
  てのひらをずらすのは、神と人とがまだ一体になっていないという意味。二度手を 打つことで神を招き、その後てのひらを合わせることで神人が一体となり、祈願を込めると神の力を体得できるといわれています。
5.最後に一拝をします。 
  もう一度おじぎをすることで神を送ります。
※神社によっては特殊な拝礼作法を行っているところもあります。また、各動作には諸説あります。

⑤ 帰るときも、来たときと同様に中央を避けて参道を歩き、中に向かって軽く会釈をしてから鳥居を出ます。

御朱印などを受ける場合は、拝礼後に社務所へ申し出ます。

お寺の参拝方法

① 寺院の入り口にある山門で、本殿に向かって合掌一礼します。

② 手水舎や御手洗(みたらし。水屋〈みずや〉とも言う)で身を清めます。
 
手水の作法は先ほどの神社と同じです。

③ 鐘をつける場合はつきます。(つけない場合も多いので注意)


④ ロウソクや線香が用意されている場合は、献灯・献香を行います。

 寺の宗派に合わせて本数を購入しましょう。

⑤ 本堂で礼拝(らいはい)をします。

礼拝の手順

1.賽銭を納め、鰐口(わにぐち)などの鳴らしものがあれば鳴らします。
  祀られている仏様に対し、参拝を告げる合図になります。

2.姿勢を正し、静かに合掌して一礼します。
数珠を持参している場合は、数珠を手にかけて合掌。神社とちがい拍手はしません。
3.通常は何も唱えず静かに礼拝するだけですが、唱える言葉が掲示されている場合には唱えましょう。
4.最後に軽く一礼して本堂を出ます。

⑥ 山門から出る際に、本堂に向かって合掌一礼します。

御朱印などを受ける場合は、礼拝後に納経所へ申し出ます。

手水、お賽銭、おみくじ、厄払い、お守り、絵馬、破魔矢にはどんな意味があるの?

手水……身を清めるもの
お賽銭……神社/神様に日頃の感謝の気持ちを伝えるために納めるもの
寺/お布施の意味合いがあり、自分の欲や執着を捨てるという修行のひとつとされる
おみくじ……神様・仏様からのメッセージ
厄払い……自分にとって良くないこと(災難)を払うために、祈願祈祷すること
厄除け……災厄が近づかないように、祈願祈祷すること
お守り……災難から逃れたり、福を招いたりするために身に着けるもの
絵馬……願掛けをするために奉納するもの(昔は本物の馬を奉納していました)
破魔矢……魔除けをするための矢で、家などに飾る

コロナ禍で初詣で気をつけることはどんなこと?

「マスクの着用」「会話を控える」「人との間隔を空ける」「手水は口に含まず手だけ清める(手水を停止している社寺もある)」など、定着しつつある「新しい参拝様式」に気をつけましょう
分散参拝が奨励され、12月中から2月ぐらいまでを初詣期間としている社寺もあります。12月中の参拝を「幸先詣(さいさきもうで)」と呼ぶようにもなりました。
また、スマートフォンやパソコンで参拝する「バーチャル初詣」も生まれています。
コロナとの付き合いは、このように今後もかたちを変えながら続くでしょう。

日本の文化は、人々の幸せにそうよう、折々の情勢に柔軟に対応しながら伝承されてきました。
起源やマナーを知って、お子さんといっしょにより良い初詣にしてくださいね。

この記事の監修・執筆者

和文化研究家 三浦 康子

古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)ほか多数。

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