話題の「非認知能力」ってなに?幼児期に育てたい理由とは?~家庭で非認知能力を育てる方法~

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話題の「非認知能力」ってなに?幼児期に育てたい理由とは?~家庭で非認知能力を育てる方法~

「非認知能力」という言葉を耳にしたことはありますか?
今、世界で注目されている“生きるために必要な能力”で、幼児期に育てることが重要だと言われています。

ここでは「非認知能力」とは何か、なぜ幼児期に育てることが重要なのか、また家庭でもできる育て方を、千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生に伺いました。

目次

世界で注目されている「非認知能力」とは

「非認知能力」とは、テストや試験では測ることができない、「人間力」「生きる力」のこと】とのことです。

具体的には、「自分の内面の力」「人と関わる力」に分けられます。

■自分の内面の力

  • 自尊心(自分の人格を尊重する気持ち)
  • 自己肯定感(ありのままの自分を受け入れること)
  • 自立心(人の手を借りずに、自分でやり遂げようとする気持ち)
  • 自制心(感情をコントロールする力)
  • 主体性(自分で考え、行動し、責任をとろうとすること)
  • 挑戦意欲(難しいことにも立ち向かおうとすること)
  • 粘り強さ(あきらめないでやり続ける力)
  • 回復力(失敗しても立ち直り、前に進もうとする力)

■人と関わる力

  • 協調性(人と折り合いをつけながら、物事を進められること)
  • 共感力(人の気持ちに寄り添える力)
  • 思いやり(相手の立場に立って考えられること)
  • 社交性(他の人とうまく関わることができること)
  • 道徳性(人としての在り方や行為などが道徳的であること)

※非認知能力の対になる言葉として、「認知能力」があります。
計算や読み書きなど、テストで測れる力のことで、一般的に「IQ」と言われるものになります。

非認知能力が注目される背景

非認知能力が注目されている理由として挙げられるのが、2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンが行った「ペリー就学前プロジェクト」の研究結果です。
そこでは「幼児期に非認知能力を身に付けておくことが、大人になってからの幸せな生活や経済的な安定につながる」という結論が導かれました。

また、実際に小学校教師たちの感覚でも、幼児期にしっかり遊んで非認知能力を身に付けた子どもたちの方が、小学校高学年からの伸びが良いという認識があるようです。

「非認知能力」は幼児期に育てることが重要

では、なぜ「非認知能力」が幼児期に重要視されるのでしょうか。

横山洋子先生によると「人間の一生を1本の木に例えるなら、幼児期は根っこの時代」とのこと。

幼児期は人として成長する土台であり、人生を楽しむための価値観を身に付ける時期
十分に愛されることにより自己肯定感を身に付けた子どもは、自殺したり、人を傷つけたりすることはありません。

もちろん、幼児期を過ぎた小学生~高校生でも非認知能力を伸ばすことは可能ですが、真剣に対峙してくれる大人がいることが必要です。
小学生の場合、「あなたは生きる価値がある人間だ」としっかり抱きしめるところから、踏み固めなければなりません。
また、大人でも「もっとこうなりたい」と願い努力することで、非認知能力を伸ばすことができます。

家庭での「非認知能力」の育て方

では、どのように非認知能力を育てればいいのでしょうか。
それは、特別なことが必要なのではありません。
家庭での声かけや遊びを工夫することで、十分に育てることができます。

非認知能力を育てるコツ

1.夢中に遊ぶことのできる環境をつくる

遊びを自分で見つけ、自分なりにめいっぱい楽しみ、試行錯誤を重ねることで、主体性を身に付けていきます。
この時、親はニコニコして見守ってあげましょう。
うなずき、一緒に楽しんで共感します。そうすることで、子どもは自分が認められていると感じ、自尊心自己肯定感が育ちます。

2.自分で選んで決める経験をさせる

「○○ちゃんはどうしたい?」「○○ちゃんはどっちの乗り物に乗りたい?」などとたずねます。
自分で選ぶ子どもは決定権を持てることで、自分が尊重されていると感じます。
判断力が付いて、自立心が育まれるだけでなく、自尊心・自己肯定感も育ちます。

3.子どもの成長を喜ぶ

以前はできなかったことができた!という進歩を認め、肯定的な言葉をかけましょう。
そうすることで、自己肯定感や、次もやってみようという挑戦意欲・自立心が育ちます。

4.子どもに「ありがとう」と言う状況を作る

「ありがとう」は最高の褒め言葉。
子どもに家でのお手伝いのひとつを任せ、継続させます。
そして、パパやママは「いつもありがとう」と声をかけましょう。
他にも「~について話してくれてありがとう」「うちの子に生まれてきてくれてありがとう」といった声かけもいいですね。
褒め言葉をもらった子どもは、自己肯定感を身に付けることができます。

親がしてはいけない、3つのこと

  1. 子どもが失敗をしても先回りをしない
    人生、うまくいくことばかりではありません。小さな失敗を重ねることで、なぜうまくいかなかったんだろうと考えたり、めげずに前へ進む強さを身に付けたりするのです。
  2. なんでも「やりなさい」と言わない
    子どもの考えを聞かず、強制的にさせることは、子どもの選択権を奪うことになります。
  3. 友だちや兄弟と比較しない
    「お兄ちゃんはできたのに」とくらべることは、劣等感を持つ原因になります。

おわりに

「非認知能力」を育てることは、普段の生活で無理なく実践できることばかりです。

パパやママのたくさんの愛情で、豊かな人生を送れるお子さんに育ってほしいですね。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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