【幼小教育の専門家に聞く】年長児さんのときに伸ばしてあげたい力とは? 第1回「自ら行動する力」

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4月から年長児さん(5・6歳)になるお子さま、いよいよ園でのいちばんお兄さん・お姉さんになってわくわくですね。

まだまだ1年以上先ですが、ランドセルをはじめ、小学校入学を意識することが増えてくる時期にもなります。
「うちの子、うまくやっていけるかな」と心配になるママパパも少なくありません。
小学校では、どのような場面で、どのような力が必要なのでしょうか。
そのために就学前からできることはあるのでしょうか?

幼稚園・小学校の両方で豊富な指導経験をおもちの横山洋子先生に、就学前に伸ばしておきたい力について、3回にわたってお話をお聞きしました。

これからお話することを生活や遊びの中でちょっと意識するだけで、小学校生活がもっともっと楽しく豊かになりますよ。

お話:横山 洋子先生(千葉経済大学短期大学部こども学科教授)
取材・文:今井 美栄子
イラスト:内藤 由季子

目次

小学校で必要な「土台の力」と「4つの力」

小学校で今、必要とされているのが4つの力「聞く力・話す力・諦めない力・仲良くする力」。そして、それらの土台となる、もっとも重要な力が「自ら考え行動する力」です。

第1回では、この「自ら考え行動する力」についてお話しします。

【幼小教育の専門家に聞く】年長児さんのときに伸ばしてあげたい力とは? 第1回「自ら行動する力」

親の時代とは様変わり?!新しい学びのカタチと「自ら考え行動する力」の深い関係とは?

編集部:小学生のお子さんがいる保護者の話を聞くと、最近の授業は、黒板やノートを使わなかったり、教室から出たり、パソコンで調べ物をしたり、私たちの子どものころとは、ずいぶん変わってきているようですね。

横山先生:そうなんです。小学校の学習指導要領が改定され、2020年度から「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」が重視されるようになりました

編集部:今までの教育と、どんなところが違うのですか?

横山先生:今までの小学校では、みんなで同じゴールをめざして、同じ方法で勉強をすることが基本的なかたちでした。でも、それでは多様な個性をつぶしてしまうことになりかねません。誰でも得意なこと苦手なことがあって、興味をもっていることも違いますよね。興味のある内容を自分で選び、自分で目標を決めるというかたちの学習も増えてきました

編集部:「みんな同じ」ではなく、「ひとりひとりの学び方を認める」ということですね。

横山先生:まさにその通りです。それに合わせて、授業のカタチも変わってきました。親世代の授業は、基本的に全員が席に座って先生の話を聞くといった受動的な授業が中心でしたね。今の授業は少人数のグループワークや体験学習などが増えています。授業の進め方も、体験し、問いを立て、調べ、みんなに発表する、という能動的・探究的な流れになってきました。「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の方が、ただ話を聞いているよりも理解が深まるんです。

編集部:話を聞くだけの「受け身」ではだめなんですね。

横山先生:そうですね。知識を与えられるばかりではいけません。今はパソコンやスマートフォンが生活の一部になって、人間よりずっと記憶力の良い人工知能に助けてもらえるようになりましたよね。つまりこれからは、暗記中心の勉強はだんだん意味がなくなるということです。それよりも、知識や情報を応用して新しいことを「考える力」と、課題を見つけて解決する「問題解決力」や「行動力」が必要なんですね。

編集部:なるほど! だから学校でも、生きていくうえでも「自ら考え行動する力」が大事なんですね!

「自ら考え行動する力」とは? 〜自ら考え行動するって、どういうこと?〜

やりたいことが見つけられる

授業で「好きなテーマを決めて調べましょう」と言われても、何をどうしていいかわからず、フリーズしてしまう子どもがいます。「やりたい!」「やろう!」という気持ちがなければ、どんな行動も起こせません。

子どもは体験からいろいろなことを吸収して成長します。体験の中から具体的に「やりたいこと」を見つけていきます。子どもにとって体験とはあそびそのもの。豊かなあそびの中から「自ら考え行動する力」は生まれるのです

どうしたらいいか考えられる

「やりたいこと」を実現するためには、言葉で伝える、体を動かす、道具を使うなど、いろいろな方法があります。どんな方法があるか自分で考え、選ぶことが求められます。
あそびの体験が多様であればあるほど、「もっとこうしてみよう!」という豊かな発想が生まれるのです。

「自ら考え行動する力」を伸ばす3つの声掛け

1.「どうしたい?」

頭ごなしに指示をするのではなく、まずは子どもにどうしたいかたずね、自ら考えるよう促しましょう

「歯磨きをしなさい」ではなく「いつ歯磨きをするの?」、「片付けなさい」ではなく「じゃあ、時計の長い針がどこまで進んだら片付けようか?」などと尋ねてみます。

すると子どもは、「このテレビが終わったら」「長い針が5はいやだけど6ならいいよ」などと自分なりに考えて答えるでしょう。その通りにできたら、たくさん褒めてあげてください。

2.「どっちにする?」

時間に余裕がない場合は、選択肢を示すだけでもいいのです。「これとこれ、どっちを着る?」とたずねられれば、「これを着なさい!」と言われるよりも、自分の意見が尊重されている実感がもてます。そして、「自分で選べたね!」と子どもが選択したことをしっかりと褒めてください。

幼稚園で製作活動をしていたとき、なかなか自分で折り紙の色を選べない子がいました。保護者に尋ねたところハッとして、「いつも何でも私が決めたものを渡していました」と……。そんな子も、小さな選択をする体験を重ねることで、自信をもって選べるようになっていきました。

3.「なんだろう? なんでだろう?」

子どもはまだ経験が少ないので、自分ではあそびを広げられないこともあります。そんな時は、「これ、なんだろう?」と、子どものそばにさりげなく使えそうな道具を置いてみたり、隣でちょっと工夫した使い方を見せたりしましょう。「なんでだろう?」といっしょに考えてもいいですね。

何も思いつかない場合は、子どもの遊ぶ様子を「今、○○しています!」と実況中継して聞かせるのも楽しいですよ。そうやって少しだけ背中を押すことで、やりたい気持ちがむくむくと湧き出し、「自ら考え行動する力」につながっていくのです。

今回お話した「自ら考え行動する力」を土台にして育まれるのが、小学校で必要な4つの力、「聞く力」「話す力」「諦めない力」「仲良くする力」です。

第2回は、そのうち「聞く力」「話す力」の伸ばし方についてご紹介します。お楽しみに!

横山 洋子先生

横山 洋子(よこやま ようこ)先生
幼稚園・小学校の教諭として17年間勤務。その経験を生かした、具体的で温かいアドバイスが指示されている。
ヤフーニュース公式コメンテーター
船橋市子ども・子育て会議 会長
船橋市社会福祉審議会児童福祉専門分科会副会長
主な著書に
「子どもの育ちをサポート! 生活と遊びから見る『10の姿』」ナツメ社
「0〜5歳児 非認知能力が育つこれからの保育」池田書店(監修)
ランドセル名作シリーズ「3つのまほう」「3つのプレゼント」学研(監修)など。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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