長い時間をかけて取り組んできた中学受験も、合格発表で終わりを迎えますね。
入試の結果を喜んでいるお子さんもいれば、不本意に感じているお子さんもいることでしょう。精一杯のサポートで寄り添ってきたおうちの方も、さまざまな思いで入試の結果と向き合っているのではないでしょうか。
お子さんの中学受験を経験した4人の先輩ママに、合格発表時のエピソードを通じて、やってよかったお子さんへの声かけや、反省している親の振る舞いなどについて伺いました。
思い返すと、冷静さを欠いていました(中1長女のママ・Hさん)
第二志望校への進学を勧めてしまった
長女の第一志望校は英語教育に特化したコースがある女子校でした。海外留学制度が充実していることも、志望理由の1つでした。とてもよい学校なのですが、私は、募集人数が少ないことや学校が家から遠いこと、長女の過去問の正答率がなかなか上がらなかったことが気になってしまい、近くて通いやすい第二志望校を勧めていました。
そして、第一志望校に合格して喜んでいる長女に対して、それでもまだ第二志望校のよいところを力説してしまい……。今から思うと、子どもが自分で行きたいと決めた学校に通えるのが一番なのに、なぜあんなに第二志望校を勧めてしまったのか。中学受験の期間は、あれこれ考え過ぎて、冷静さを欠いていました。特に、長女の成績が伸び悩んだときに強く当たってしまったことは、今でも反省しています。
目標に向かって、勉強を続けられたことがすばらしい!
結局、長女の希望を尊重して第一志望校への進学を決め、今では長女は勉強に部活動にと充実した中学校生活を過ごしています。振り返ると、中学受験に取り組んだ3年間は大変なことが多かったのですが、親子ともども経験したことに1つも無駄はありませんでした。長女の性格や特性を深く知ることができましたし、がんばりや成長を間近で見られました。そして、1つの目標に向かって親子でいっしょに歩んだことで、良好な関係が築けたように思います。
また、私は中学受験をしていないので、「小学生が目標に向かって勉強を続けること」がすごいと感じていました。そのことを長女に伝えたくて、最初の入試の前日に「合否も大事だけれど、今までがんばれたことがすばらしいと思っているよ」と話しました。入試直前になってしまいましたが、親の思いを伝えられてよかったです。
子どもといっしょに泣いてしまったことを後悔しています(中1長男のママ・Nさん)
「第一志望校に行ってほしかったよね?」と言わせてしまった
のんびりした性格の長男が中学受験を決めたのは、中学受験のテレビ番組を見たことがきっかけでした。つらいと言いながらも、果敢に受験に挑む小学生の姿を見て、「中学受験って、みんなするの?」と聞いてきたのです。「中学受験はみんながするわけではないけれど、高校受験をしなければ高校生になれないし、大学付属校でない限り、大学受験もあるね」と答えたところ、「中学受験で大学付属校に進学して、受験を早く終わらせたい!」と言い出し、小4の3月に受験勉強をスタートしました。
それ以来、長男なりのペースでがんばってきましたが、合格したのは、いわゆるすべり止め校と、入試に慣れるために受けた遠方の学校でした。すべての結果を受け、泣いて悔しがる長男の姿に、私もいっしょに泣いてしまったのですが、そのことを心の底から後悔しています。私は、「長男が行きたがっていた学校に行かせてあげたかった、親としてもっとできることがあったのではないか」という悔しさと申し訳ない気持ちだったのですが、長男に「やっぱり第一志望校に行ってほしかったよね?」と聞かれてハッと我に返りました。すぐに私の涙の意味を説明しましたが、泣いてはいけなかったと反省しています。
がんばった先にあった、楽しい中学校生活
近隣の公立中学校に進学し、高校受験で第一志望校に再挑戦するかどうかを、すべり止め校の入学手続き期限ギリギリまで親子で話し合いました。そして長男が、「受験勉強をがんばった証に、私立中学校に通いたい」と希望したので、すべりどめ校に進学させることにしました。今では中学校生活を満喫し、「この学校に入ってよかった!」と言っている長男の姿を見て、ご縁があったのだなとしみじみ感じています。学力的に少しゆとりがあるので、勉強と遊びのバランスがとりやすいのも、長男の性格に合っているようです。
「中学受験を最後まであきらめずにがんばった、やりとげた!」という経験を通じて、長男は大きな自信が持てたそうです。ひょんなことから始まった中学受験でしたが、挑戦してよかったと思っています。受験は、みんなに希望通りの結果が出るわけではありません。でも、長男を見ていると、結果はどうあれ、がんばり抜いた先には、楽しい日々が待っているのではないかと思うのです。
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子どものねばり強いがんばりをたたえました(中2長男のママ・Sさん)
思いがけない繰り上げ合格で第一志望校へ
第一志望校を3回受験しましたが、よい結果が出ませんでした。そこで、合格した第二志望校への進学を決め、入学手続きを終えたのですが、その直後に第一志望校から繰り上げ合格の知らせの電話がありました。繰り上げ合格の発表時期は公表されていなかったので、思いもよらない知らせでした。あまり感情を外に出さない長男が、明らかにホッとした様子だったのをよく覚えています。「3回の試験をねばり強くがんばったあなたが引き寄せた合格だね」と家族で長男をたたえました。
それにしても、あらかじめ登録のない電話番号からの着信は、防犯のために出ないことがあるので、この時はとっさに出てよかったです。繰り上げ合格の知らせを取り逃していたら、大変でした……。
中学受験は子どもの成長過程の1つ
長男は第一志望校で部活動に熱中し、仲間もできて、充実した中学校生活を送っているようです。ただ、一度は第二志望校への入学を決めていたこともあり、もしあのまま第二志望校へ行っていたとしても、それはそれで楽しく過ごせたのではないかとも思うのです。
周囲には、感染症の影響で入試が受けられず、後日に他県の私立中を受験し、遠方に進学したお子さんもいますが、仲間に恵まれて、自分に合った学校に出合えたと話しているそうです。また、第一志望校へ進学したものの、思い描いていた学校生活を送れずに、高校受験で別の学校へ移るお子さんもいると聞きました。
第一志望校に進学することは確かにすばらしいことですが、そこにこだわり過ぎると、かえって子どもの可能性を狭めてしまうようにも感じました。振り返れば、中学受験は子どもの成長過程の1つだと思えるのに、渦中にいると落ち着いて考えるのは難しかったですね。
ついつい先回りして口を出していたことを反省しました(中3長女のママ・Yさん)
女子校が子どもに合うのか不安
中学受験を考え始めた当初は、親は女子校を選択肢に入れていませんでした。長女には共学校が合うのではないかと考えていたのです。しかし、ある女子校の学校見学ツアーに参加した長女が、在校生の様子や授業内容、校内の環境をすっかり気に入り、「この学校に入りたい!」と自分の意志で第一志望校を決めました。
何事にも一生懸命取り組む性格が幸いして成績も伸び、塾の先生には第一志望校より偏差値の高い学校を提案されましたが、長女の決心は揺らぎませんでした。親は女子校が合うのか不安に感じていましたが、入学してからの自分をかなり具体的にイメージし、やりたいことをいくつも口にする長女の様子を見て、全力で応援する決心をしました。
目標に向かってスケジュールを立てられるように
第一志望校は合格圏内と言われていましたが、塾で「緊張感を保つために」と勧められ、より難関の学校も受験し、不合格の悔しさも味わいました。でも、不合格という経験があったからこそ、長女は自分のレベルを知り、油断することなく第一志望校の受験に臨むことができたそうです。
中学受験を通じて、長女は自分で目標を決めて、達成するためのスケジュールを立てられるようになりました。親はついつい先回りして、「こうしたらどう?」と口を出してしまうことがありましたが、今ではそれを反省しています。長女は第一志望校に進学し、勉強や課外活動、部活動など、さまざまな場面で目標を立ててチャレンジしています。なかには目標に届かないこともありますが、「これで終わりじゃない」と次の目標に向かっています。受験期間中に感じた痛みも喜びも、すべてを糧に中学校生活を突き進んでいます。
今回は、お子さんの中学受験を経験した先輩ママに、入試の結果を踏まえ、お子さんとどのように接したか、お子さんの姿をどのように感じたかを伺いました。先輩ママたちの話には、受験勉強をがんばったお子さんとどう向き合うか、参考になる言葉がつまっています。ぜひ参考にしてください。
そしておうちの方も、さまざまな面からの中学受験のサポート、お疲れさまでした!
この記事の監修・執筆者
未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!
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