【PTAへの不安、これで解決!】加入は任意? 変わりつつあるPTA事情を専門家に聞きました[専門家監修]

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【PTAへの不安、これで解決!】加入は任意? 変わりつつあるPTA事情を専門家に聞きました[専門家監修]

新入学、新年度というと、PTAのことが気になるかたやよくわからなくて不安というかたもいるかもしれません。PTAの問題を取材し続けてきた大塚玲子氏に現状についてお話をうかがいました。
*この記事は主に公立の小学校のPTAについて書いています。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

PTAは今、転換期を迎えている

2022年7月、「東京都小学校PTA協議会(都小P)は2023年3月に日本PTA全国協議会(日P)から退会する」という発表がありました。この報道を聞いて「え、東京都の小学校のPTAがなくなってしまうの!? 」と思ったかたもいるようです。ですが、「都小P」が「日P」を脱退することと、PTAそのものの存続や廃止などとは別の問題で、これによって東京都の小学校のPTAがなくなるということではありません。

「都小P」はこれまで、会員から集めた年会費約180万円(児童1人当たり20円)の半分にあたる、約90万円を毎年「日P」に払ってきました。会員の中には、PTAにこのような“上部組織”が存在することを知らなかったかたも多いようです。「都小P」は、会員から集めた会費を「日P」に納めるメリットが乏しく、「日P」に会員の意見を吸い上げるしくみがないなどの理由で、「日P」退会を決定しました。

一方、学校単位でも、時代に合わせてPTAを変えていこう!と、改革に乗り出すPTAが出てきています。その背景には、活動が形骸化している、共働き世帯が多い時代に活動方法が合っていないなどの事情があります。保護者がより参加しやすい組織を目指し、PTAが転換期を迎えているといってよいでしょう。

今、さまざまなPTA改革が行われている

今までのPTAは「強制的に参加しなくてはいけない」ことが多く、「時間的負担や精神的負担が大きい」「よくわからないけれどなんとなく難しそう…」などと思われ、敬遠されてきました。そんな実情やイメージを変え、一人ひとりが参加しやすくするために改革に取り組むPTA も出てきました。たとえば、入会・退会届のしくみをつくって自動加入ではなく意思を確認したり、会費の徴収方法を見直したりするなどの取り組みが始まっています。

ほかにも「これまではやっていたけれど、本当に必要?」という活動をやめてスリム化を図ったり、連絡ツールを印刷物からメールやアプリなどに変更して活動のIT化に取り組んだりするPTAもあります。

そもそも、PTAって何?

PTAは、その名称から「保護者(Parent)と教職員(Teacher)が、子どもたちのために協力する会(Association)」と理解されています。学校組織の一部と誤解されているかたもいるのですが、学校とは別の団体で、その意味では地域のNPOなどと似た組織といってよいでしょう。実は先生たちの多くも会費を払っているのです。しかし、ほとんどのPTAで活動するのは主に保護者となっています。

PTAの活動内容は学校によって違いますが、だいたい次のようなものが挙げられます。

1.学校行事の運営の手伝い(運動会、周年行事など)

2.地域と連動した活動(登校の見守りやパトロール、お祭りの手伝いなど)

3.保護者のための勉強会や講演会などの運営・企画

4.PTA活動内容を広報(広報誌の作成など)

5.翌年度の本部役員を務める人を探す活動(前年度の秋ごろから、新年度の役員探しを始めるPTAが多い)

PTAへの加入、実は“任意”

小学生の子どもを持つ保護者の中には「入学したら、PTAに入るのは当然なのでは?」と思っているかたもいるかもしれません。実は、PTA加入は任意です。最近は、加入・非加入の意思を確認するしくみのあるPTAも出てきましたが、これまでは子どもが学校に入学したら保護者は自動的にPTA会員として扱われてきたケースも多くありました。しかし、保護者にPTAに加入することを義務づける法的根拠はありません。本来は保護者に「PTAに入りますか?」という意思確認が必要で、「私はPTA会員になりません」、あるいは「PTAを退会します」という選択も自由です。

加入が任意にもかかわらず、会費を強制的に支払わせるしくみは問題ですし、個人情報の取り扱いも正す必要があります。この問題に対して、行政側から学校側に「加入に関しては保護者に意思確認を取ること」と伝達し始めている地域もあります。しかし地域によってはPTA会費を給食費などといっしょに自動徴収している学校もまだまだ多く、PTA加入の意思表示をしていない保護者がPTA会費を払わされていることもあります。

関連記事≫ママ友とのPTA活動が憂鬱!上手な振る舞い方って…?【教えてトラブル対処法*専門家に聞きました】

PTAを退会した場合、子どもへの影響は?

最近ではPTAが任意加入であることは少しずつ知られるようになり、非加入を選択する保護者も増えてきました。でも、いまだに非会員の子どもはもらえない物がある、集団登校の班などに入れない、などといった不公平な扱いを受けるケースがあります。

PTAはその学校に通うすべての子どものための団体ですから、このような対応は不適切です。記念品などを配布するなら会員家庭か非会員家庭かに限らず配る、それができないなら最初から何も配らない、という考え方をPTAが持つ必要があります。もし、非会員家庭の子どもがこのような不公平な扱いを受けたら、担任の先生か校長先生に相談するとよいでしょう。

PTAに入会する前に確認したいこと

PTAに入会する際は、入退会のしくみやPTA会費の支払い方法、活動内容、役員の選び方などについて不明な点があれば確認しておきましょう。もし、自分は自動的に加入していたけれど、本当は非加入や退会を希望したいという場合は、校長先生やPTA会長に退会の意思を書面で伝えるとよいでしょう。

保護者として、個人として、小学校に関わる一員として、自分がどのように学校に関わるかを考えることで、より豊かな6年間が送れるようにしたいですね。

この記事の監修・執筆者

ノンフィクションライター 大塚玲子

PTAなどの保護者組織や多様な形の家族について取材・執筆。著書に『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)、『PTAがやっぱりコワい人のための本』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(いずれも太郎次郎社エディタス)など。

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