幼稚園や保育園で使用し、好きな子も多い「はさみ」。
「チョキチョキ楽しそうに切ってくれるのはいいけど、
あぶなっかしくてケガをしないか不安……」というかたも多いのではないでしょうか。
実は、はさみなどの道具を使うことは、指の器用さ(「巧緻性(こうちせい)」といいます)を育てるのに、大変効果的なんです。
また、指先を動かすことで、脳機能も活性化します。
それなら、早いうちからはさみを使わせて、しっかりマスターしてほしいと思いますよね。
そこで、はさみの正しい持ち方と上手な使い方を動画にまとめました。
ご参考にしてください。
以下でも解説していきます。
まず、はさみを使うときの注意点です。
動画で解説!はさみの正しい持ち方と上手な使い方
動画では、はさみの持ち方から一回切り、直線切り、曲線切りまで、段階を踏んで解説しています。ぜひ、お子さんとご覧になってくださいね!
※音声をONにしてお楽しみください。
幼児さんとする「はさみのおやくそく」
ケガをしないために、また人を傷つけないために、次のことを守りましょう。
・大人のいるところで使う
・座って使う
・はさみの先を人に向けない
・切る部分を触らない
はさみの正しい持ち方
はさみの持ち方と使い方
はさみの持ち方は、小さい穴に親指を、大きい穴に人さし指と中指を第一関節くらいまで入れます。
2歳前後でまだ手が小さいお子さんや、4本で持つほうが動かしやすいお子さんは、大きい穴に薬指を入れてもOKです。
はさみを閉じたり、開いたりして、指をならして正しい使い方を覚えましょう。
左利きの場合は、左利き用のはさみを使います。
はさみを持ち運ぶとき
持ち運ぶときは、はさみの先を自分に向け、刃を手のひらで握ります。
はさみの上手な使い方
はさみの練習は、少しずつ段階を踏んでいきましょう。
練習の仕方をご紹介します。
まずは1回切りから
最初は、1回はさみを動かす「1回切り」から。
細長い小さな紙を、「チョキン」「チョキン」と1回で切る練習をします。
このとき、はさみを持っていないほうの手で、紙を正面にもち、ひじは体につけます。
次は連続切り
1回切りができるようになったら、次は連続してはさみを動かす「連続切り」に挑戦しましょう。
長い直線を切るときは、はさみを閉じきる前に開き、閉じきる前に開き、と切っていきます。
↓
このとき、はさみを、奥に動かすのではなく、紙を手前に移動させて切るのがコツです。
丸(円)を切る
連続切りで直線を切れるようになったら、次は曲線を切ってみましょう。
丸を切るときもはさみの場所はそのままで、紙をくるくると回して切ります。
丸を切れるようになったら、はさみを上手に使えるようになったといえるでしょう。
がんばったお子さんを、ぜひ褒めてあげてくださいね!
紙以外のものも切ってみよう
保育園や幼稚園の工作では紙以外のものを切る機会もあるかもしれませんので、紙を切るのに慣れてきたら色々な素材のものも切ってみるといいですね。
ストローや紐、ビニールなど紙とは違う素材を切ってみましょう。
はさみは何歳から使える?
幼稚園や保育園ではさみを使うことがあるので、「入園までにはさみの練習をしたほうがいいのかな?」「はさみはいつから使えばいいの?」と思うかたもいるかもしれません。
そんな皆さまの疑問を解決すべく、造形作家で3歳の娘さんをもつ、おおしだいちこさんにお話を伺いました。
おおしださんによると、はさみを使い始めるタイミングは「●歳から」と年齢で決めるのではなく、お子さんがきちんとお約束を守れるようになったかどうかで判断するのが良いとのこと。
例えば、「少し待っていてね」「これは触らないでね」などの注意をお子さんが理解して聞き入れられるかどうかが大切です。
また、一番大切なことはもちろん、お子さんがはさみに興味をもっていること。
おおしださんの場合は、おおしださんの制作する姿をよく見ていた娘さんが、ずっと「使いたい!」と言っていたそう。
ついにはさみの練習をしようと声をかけたら、目をキラキラ輝かせていたそうです。素敵なエピソードですね。
親子ともに、そんな気持ちでチャレンジできれば、楽しい時間になりそうです。
はさみを使っている時のおすすめ声かけ・教え方
くどくど言われたり、すぐ注意されたりすると大人でも嫌な気持ちになりますね。
はさみの使い方を教える際には、お子さんのモチベーションを保てるように、言い方やタイミングなど教え方に気をつけるようにしましょう。
★はさみを垂直にしないと切れないので、先にやって見せて、紙を切る前に、何度か閉じ開きの練習をします。使いながら水平になってきたら…
「上手に切るにはどうすればいいんだっけ?」
「お父さん指が見えるように持ってね」
または、隣ではさみを持って見せて
「こうやって持つんだよ」
★紙を持つ位置が遠すぎると切りづらく、近すぎると危ないので、様子を見ながら…
「お指をチョッキンしたら痛いから、もう少しこっちを持とうか」
「もう切るところがなくなったから、新しい紙にしようか」
★最初は細い紙の一回切りで練習しますが、紙の向こうに届くくらい大きく開かなくてはならないため…
「大きくチョッキンしてね」
おおしださんのお子さんは、紙が痛くないのか心配していたそうで、
「大きくチョッキンしたら大丈夫。途中で挟まって切れなくなったら痛いかも?」と伝えたそう。かわいらしくも、子どもに伝わりやすいですね。
はさみ選びの4つのポイント
お子さんが初めて使うはさみは、どんなものを選んだらよいのでしょうか?はさみ選びのポイントをおおしださんに聞いてみました。
(1)切れ味のよい素材のもの
子ども用はさみの素材には、金属刃とプラスチック刃があります。
プラスチック刃は、触れても手が切れませんが、紙を巻き込みやすく、切るのも難しいことが多いです。
そこで、おおしださんがおすすめする素材は、刃がステンレス製のもの。
ただ、低い年齢で試してみる場合は、プラスチックから始めてみるのもひとつの手です。
(2)手の大きさにあっているもの
初めてはさみを使うとき、一番難しいのが、閉じ開き。
特に、開くのには意外と力が必要なものです。
小さい手では、大きめのサイズだと、開くのが難しいよう。
例えば、市販の2歳から使えるはさみは、全長11cmくらいです。
(3)刃先が丸くなっているもの、先端がカバーされているもの
ふいに触ってしまう可能性を考えると、刃先が丸くなっていたり、プラスチックのカバーがついていたりすると、安心です。
おおしださんによると、後述のお約束がしっかりと守れているようであれば、カバーがなくても大丈夫だとか。
(4)子どもの利き手にあうもの
右利き用のはさみを左利きの子がそのまま持つと、親指と人さし指、中指を入れる穴の大きさが違っていたり、刃の噛み合わせが逆になっていたりして、使いづらいもの。
両利き用のはさみもあるので、兄弟で利き手が違うなどの場合は、1本あると良いかもしれません。
おすすめの子ども用はさみ
選ぶポイントがわかったところで、初めて使うのに、おすすめのはさみを紹介します。
今回は、おおしださんのお子さんにも、実際に使ってもらいました!
(1)安全はさみ・きっちょん(クツワ株式会社)
刃先までプラスチックでカバーしてあります。
そして力の弱い子どもでも使いやすいように、開きを補助するスプリング付き。
刃の切り口がフラットになっていて、安全で危なくありません。
右利き用はブルー、グリーン、ミント、パープル、ピンクの5色。左利き用はイエローがあります。
おおしださんコメント
スプリングが開く力をサポートしてくれるので、とても使いやすそうでした。ただ、スプリングを自分で元に戻して閉じるのはまだ難しいので、はさみを置くときに開きっぱなしになってしまうところは注意。
(2)かみきりくん(銀鳥産業株式会社)
全長110mmで子どもの手にぴったり!2歳から使えます。
ハンドル穴の大きさが同じなので、向きを気にせず握れます。
刃先はプラスチックでカバーされていて安全性も◎。
刃の部分も安全ガードが付いていて、ケガをしにくい作りです。
おおしださんコメント
小さめなので開閉しやすく、とても使いやすそうでした。
またペンケースにも入れられる大きさなので、実家に帰る時などでも持ち運びしやすいです。
穴が同じ大きさのため、「こっちに親指を入れて…」などの補足が不要なところが良いです。
名前を書くタグは、使う時は気になるようだったので外しました。
(3)エアロフィットサクサ・キッズ(コクヨ株式会社)
全長は14.2cmと今回のはさみの中では大きめ(対象年齢6歳~)ですが、それぞれの刃がハイブリッドアーチ刃というアーチ状になっていて、軽い力で切りやすいです。
空洞デザインのエアークッションハンドルが指への負担も減らします。
ブルーの他に、ピンクと、左利き用に黄色があります。
おおしださんコメント
3歳の娘には少し大きいサイズだったので、開閉に苦戦していました。
ケースがあるので、刃先のカバーはなく、「自分で(ケースに)入れたい!」と言い出したのは、少し困りました。
でも切れ味は良く、しっかりと切れていました。
はさみの練習におすすめのワーク
はじめてはさみを使うお子さんが、楽しく練習できるワークブックを紹介します。
はさみの持ち方やマナーを学ぶことからスタートし、紙を切る練習や、切った後に遊べる工作が盛りだくさん。かわいいイラストで飽きずに取り組める内容です。
『2歳 さいしょのはさみ』(学研プラス)
『3歳 さいしょのはさみ』(学研プラス)
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