今や大地震は、いつ、どこで起きても不思議ではありません。小学生の子どもがいる家庭では、学校や登下校中など、保護者がそばにいない時間に災害が起こる可能性も考えて、備える必要があります。守るだけでなく、子ども自身が「どう行動するか」を知っていることが、命を守る力になります。
過去の震災から学び、今だからこそ知っておきたい備えについて、保護者ができることをまとめました。
文/細川 麻衣子
近年の地震から考える、他人ごとではない現実
2025年12月8日、青森県東方沖でマグニチュード7.6の大きな地震が発生(※青森県東方沖地震)し、津波警報が出されました。八戸市などでは震度6強を観測し、一部地域には津波警報も発令されました。この地震は2011年3月に起きた東日本大震災の震源域に近い場所で起きたものでした。
また同年、鹿児島県のトカラ列島周辺では、わずか2週間ほどの間に1300回以上の地震が観測されたという報道もありました※。専門家からは、日本全体で地震活動が活発化している可能性が指摘されています。
これらの出来事から、❝大きな地震は遠い過去の話❞ではなく、いつ、どこで起きてもおかしくない現実であることを示しています。特に小学生の子どもを育てる家庭にとって、防災は❝もしもの話❞ではなく❝今すぐに考えておくべき日常の一部❞なのです。
※気象庁発表資料等をもとに構成
日本で起きた数々の大震災
日本はこれまで、何度も大きな地震災害を経験してきました。
2024年元日に発生した能登半島地震では、石川県能登地方で震度7を観測しました。家屋の倒壊や道路寸断が相次ぎ、寒さの厳しい時期の避難生活が長期化したことで、子どもや高齢者への影響も大きくなりました。
2011年3月11日の東日本大震災では、マグニチュード9.0という観測史上最大級の地震と大津波が発生しました。学校管理下での避難が命を守った事例がある一方で、想定外の津波により多くの子どもが犠牲になった地域もあります。地震による被害地域は広く、関東全域が被災しました。また、地震発生時刻が14時46分頃だったこととから、子どもたちは学校や園にいたり登下校中など、保護者と離れていたケースも多く、安否確認などの対応に不安が広がりました。
1995年1月17日の阪神・淡路大震災では、神戸を中心に直下型地震が発生し、6,400人以上が犠牲となりました。地震直後には倒壊した家屋から火災が多く起こり、住宅密集地などで被害が拡大しました。また、地震が起きたのが早朝だったことから、自宅で被災した子どもも多く、就寝中に災害が起こる怖さが、強く心に刻まれました。
これから私たちができることは、これらの災害を教訓にして❝次に災害が起こったとき、どうしたら子どもたちや家族の命を守れるか?❞ということを考え続け、❝もしも❞のときのために、後悔なく備えておくこと――ではないでしょうか。
子どもの防災~家族で備えておきたいこと
地震は防げませんが、備えによって被害を抑えることはできます。小学生の子どもがいる家庭では、まず次の4つを意識しておくことをおすすめします。
①家族の命を守る準備
まずは家の中の安全対策です。背の高い家具や家電は必ず固定し、寝室や子ども部屋には倒れてくる可能性のある家具や、落下したときにケガをするような置き物や荷物などを、なるべく置かないようにしましょう。

②非常時に生活するための備蓄品の準備
被災中、家族が少しでも安心して過ごせるよう、備蓄品を用意しましょう。備蓄品は以下のように3段階に分けて考えます(1次品~3次品)。さらに外出時の被災に備え、普段持ち歩くバッグにも最低限の防災グッズを携帯しておくこともおすすめです。
●緊急避難時にすぐ持ち出すもの(1次品)
緊急避難の際にすぐ持ち出せる、最低限のサバイバルグッズ。身に付けられるよう、防災ベストやリュックに、コンパクトにまとめておくとよいでしょう。
(内容例:ゼリー飲料・非常食・お菓子(あめ、チョコ、クッキー等)・ティッシュ・ウエットティッシュ・救急絆創膏と包帯・マスク・おしりふき・レインコート・着替え・タオル・軍手・使い捨てカイロ・携帯型ライト・携帯トイレ・携帯ラジオと乾電池・給水袋(給水車から水をもらうため)・おもちゃ(子ども用)・防災手帳(緊急連絡先、集合場所記載)など)
●災害発生から3日間を生き抜くためのもの(2次品)
緊急避難後、安全が確保されてから家族が3日間生き延びるための水、食料、生活必需品。応急手当の医薬品、暑さ・寒さ対策の小物等、電気や水道等のライフラインが途絶えたときに必要なものを用意。膨大な量になるので、持ち運びに便利なように分けて、玄関近くや車のトランクなどに保管。アウトドア用品が重宝する場合もあります。
●長引く避難生活をできるだけ快適にすごすためのもの(3次品)
家族の1~2週間程度の食料や生活必需品。3日以上避難生活が長引いた場合に、できるだけ快適に過ごすためのもの。内容は、普段から多めに買い置きしている食料や生活必需品をベースに、さらに非常食をプラス。自宅のクローゼットや倉庫に備蓄しておくと良いでしょう。
●外出時に持ち歩いておくとよいもの
エレベーターなどに閉じ込められる場合も考えられます。外出中を想定し、持っておくと安心できるものをセレクトしてポーチなどにまとめておきましょう。
(非常食になるお菓子・ウエットティッシュ・マスク・携帯型ライト・携帯トイレ・救急絆創膏・身分証明書・筆記具・充電器・現金……など)
防災品を選ぶときは❝家族に必要なもの・使いやすい・食べ慣れている❞といった点を考慮しましょう。また、これらは定期的に見直して古くなったものから日常生活で使ったり食べたりして、都度、新しいものを補充するようにしましょう。
※内閣府防災情報のページを参照
③情報の準備と避難訓練
緊急地震速報やエリアメールを受信できるよう設定しておきましょう。子どもには、「音が鳴ったらどうするか」を具体的に伝え、❝もしも❞の状況に置かれたときでも、行動できるように、練習しておくことが重要です。
(例)道を歩いているときや公園で遊んでいるときに大地震が起きた場合
「まず、止まる・しゃがむ・頭を守る」
「しゃがんで、あたまを手やランドセルでガードする」
「走らない・むやみに動かない」
「倒れそうなもの・落ちてきそうなものがあるところから離れる」
(ブロック塀・電柱・自動販売機・ガラス張りの建物のそばなど)
このようになるべく端的・具体的に伝えましょう。
また、地域や民間の防災訓練・イベントなど、親子で参加できるものに参加してみると、避難場所や避難経路など、新しい発見や気づきもあるかもしれません。
「今ここで地震が起きたらどうする?」と子どもへ質問をして、もしものときを想定した会話をしながら、机の下に入る、頭を守るといった学校の避難訓練で学ぶことも、自宅でも繰り返し練習しておきましょう。
≪関連記事≫【100円ショップで防災グッズはそろう?】実際の防災バッグの中身をご紹介
④家庭内で決めごとをしておく
災害時は、電話やスマホも思うように使えないことが想定されます。下校前までなら、学校へ迎えに行くことができますが、放課後は公園、習い事、塾、友達の家…など、子ども自身が自ら行動している場合も多いことでしょう。ですので❝家族の約束❞として、「もしも何かあったら学校で集合しよう」「自分がいる場所から一番近い、大きな公園へ避難しよう」など、何かあったときに合流できる場所、連絡先などをあらかじめ話し合って決めておくとよいでしょう。
このように、地域には必ず❝避難所❞として指定されている場所があります。近所を子どもと一緒に散歩したり地図を見て調べたりして、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
日本は地震とともに生きる国です。大きな地震がいつ起きても不思議ではありません。だからこそ、過去の震災から学び、日頃から備えることが、子どもの命と心を守る力になります。
「備えていてよかった」と思える日が来ないことを願いながら、それでも備えておくことが、保護者として今できること――なのかもしれません。
この記事の監修・執筆者
未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!
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