今年の「梅雨」はいつもより早くやってきそうですね。
雨降りの日は、外で遊べず、子どもたちもちょっと退屈しそうですが、そんな梅雨の時期がちょっと楽しくなりそうな、この時期にオススメの「雨」をテーマにした絵本を紹介します。
絵本のセレクトは、絵本専門士で絵本セラピスト®の鳥山由紀先生です。
「雨」をテーマにした、梅雨の季節が楽しくなりそうなオススメ絵本
◆2~3歳向け! 『ぞうくんのあめふりさんぽ』
作・絵/なかのひろたか 1,100円(税込) 福音館書店
【あらすじ】
ごきげんなぞうくん。雨がふっていますが、散歩に出かけます。かばくんに出会い、誘われていっしょに池の中を散歩。だんだん深くなり、泳げないぞうくんはかばくんの背中に乗せてもらい、わにくんに乗せてもらい、かめくんに乗せてもらい…。バランスを崩してしまいますが、あらあらあら、ぞうくん泳げるじゃない! 最後は、“みんなごきげん”です。
【オススメポイント】
泳げないぞうくんですが、雨の中、水辺の仲間と池の中をいっしょに散歩。大きなぞうくんをみんなが「ぼくはちからもち」と下から支えます。まずはかばくんがぞうくんをおんぶ。その時点ですでに「大丈夫?」とちょっとヒヤヒヤしますが、最後は、小さなかめくんが、ぞうくん、かばくん、わにくんを持ち上げて…。だいたいなんでかめくんがいちばん下なの? とつっこみたくなります。もう見ているだけで、はらはらしますね。
ページをめくる前、ちょっとためてからの「うわーっ」とめくってみましょう。ぞうくん、かばくん、わにくん、かめくん、それぞれの表情もおもしろいです。最後は、「なーんだぞうくん泳げるのね!」と、楽しそうにじゃれ合う4頭を見ていると、いっしょにぞうくんシャワーをかけてもらっている気分になります。
◆3~4歳向け! 『かさとながぐつ』
作/二宮由紀子 絵/市居みか 1,430円(税込) 瑞雲舎
【あらすじ】
傘のもとにやってきた長靴。楽しみにしていた雨の日に、傘と長靴はいっしょに出かけます。逆立ちしている形になった傘は、長靴が「ぽつんぽつん」と言えば、「んつぽんつぽ」。「ぴちょんぴちょん」と言えば、「んちょぴんちょぴ」と逆さことばに。風が吹いて飛ばされると、「ぼく」が「くぼ」、「くるくる」が「るくるく」。最後はどろんこになってしまいますが、そのあとの大雨できれいにスッキリです。
【オススメポイント】
傘は使っていないときの状態が上下正しい方向のようです。雨が降って傘をさすと…。顔は反対向きになり、話すことばも反対に! 雨の音や歩く音も全部逆さま! ぜひ声に出して、読んでください。ついつい節をつけて歌いたくなるような、踊りだしたくなるような。
音のおもしろさだけでなく、パッと目に入ってくる黄色い傘と赤い長靴の色も楽しい気分にしてくれます。傘と長靴3人(?)の次から次へとくるくる変わる表情も要チェック。カラフルな雨粒の色も、一つひとつにまるで表情があるようで、音といっしょに楽しいリズムを奏でてくれるようです。
この本を読むと、雨の中、親子で長靴をはいて傘をさして、歌いながらスキップしたくなりますよ。逆さことばにもチャレンジしてみたいですね。雨の日だからこその楽しみを実際に味わってみてください。
◆4~5歳向け! 『ちいさな きいろい かさ』
作/もりひさし 絵/にしまきかやこ 1,320円(税込) 金の星社
【あらすじ】
なっちゃんは、お母さんに新しい小さな黄色い傘を買ってもらいます。雨が降ってきて出かけると、うさぎさんに出会います。うさぎさんを傘に入れてあげると、次はりすくん。そして次に出会ったのはだっくすくん。「だっくすくん どうながだもん かさに はいれないかな」すると、「つっつっつっ あらっ ららら」だっくすくんの分だけ傘は広くなります。ばくさん親子に、きりんさんまで! みんなを傘に入れてあげると、そのつど、傘は大きくなったり、背高のっぽになったり。なっちゃんと動物たちは傘の中で、きりんさんの背中におんぶしてもらったりしながら、雨の散歩を楽しみます。
【オススメポイント】
いつもなら雨降りはイヤだけど、新しい傘を買ってもらったら、早く雨降らないかな、と待ち遠しくて仕方ないなっちゃん。雨が降ってきてさっそく出かけるなっちゃんは、とってもうれしそう。雨にぬれているうさぎやりすを傘に入れてあげます。そして、胴長のダックスフントを入れると、あら不思議。つっつっつっと傘が大きくなります。きりんさんの背中にみんなで乗って、高い木の上にまで傘をさしているなっちゃんは、みんなを自慢の傘に入れてあげて少し得意げにも見えますね。
最後に、なっちゃんは「あのね あのね いいことあったの」とお母さんに報告します。
お母さんに傘を買ってもらったことのうれしさと、雨の中動物たちとその傘で楽しい時間を過ごした気持ちが、おもわずお母さんに秘密を打ち明けたくなってしまうような、そんな気分にさせるのかもしれません。
読んでもらっている子どもたちは、お話の世界に入り込んで、まるで自分の傘が大きくなったり、自在に変化している気分になって、いっしょにうれしくて誇らしい気分になりそうですよ。
◆6歳以上向け! 『でんでんでんしゃ』
文/谷川俊太郎 絵/スズキコージ 1,430円(税込) 交通新聞社
【あらすじ】
雨の日に男の子が、「あめと いっしょに ふってこーい」と言うと、小さなかたつむりが出てきます。「大きくなあれ」(のようなおまじない?)と言うと、大きなかたつむり電車に変身。みんなを乗せて、山越え川越え、木の上、空までも走って行きます。そして虹の川やもぐらのみちや悪魔のいるところを通って出てきたところは、お日様が明るい気持ちのいい山。そこでみんなで楽しくピクニックです。
【オススメポイント】
少し練習が必要ですが、谷川俊太郎さんのリズミカルな詩が、雨なんて吹き飛ばしそうな勢いです。ことばにならないことばがなかなか難しいですが、お子さんに手拍子してもらいながら、リズムに乗って読んでみましょう。親がまず1行読んで、続いて子どもが読んで、と、早口ことばのように順番に読んでみるのも楽しいですよ。間違えて親子で笑い合うのも、それも楽しい!
山の色も空の色も川の色も鮮やかで美しく、アートな世界もぜひ楽しみましょう。細かいところに「なんでここにこれが?」というようなものを発見するので、リズミカルに読むのも楽しいですが、親子でじっくり絵を眺めてみるのもおもしろいです。この不思議な世界観にどっぷりはまってみてください。
次回の「こそだてまっぷ 絵本棚」は「お父さん」をテーマにした絵本を紹介します。
お楽しみに!
この記事の監修・執筆者
(プロフィール)
絵本専門士4期生。絵本セラピスト協会認定絵本セラピスト®。大人・子どもを問わずお気に入りの一冊を見つけてもらえることを思い、絵本に関する講演や執筆、絵本講座の開催、読み聞かせなどを行う。また、箏奏者との絵本の読み聞かせユニット「ことえほん」での公演活動、大学での認定絵本士養成講座講師も務める。
(ブログ)
https://ameblo.jp/ehonrahen/
(ことえほんfacebook)
https://www.facebook.com/kotokotoehon/
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