心地よい季節になりました。5月14日は母の日です。そこでお母さんにまつわる絵本を紹介します。絵本のセレクトをしてくださったのは、絵本専門士でNPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。
5月第1回
「お母さん」 がテーマの一冊
◆2~3歳向け!『だっこのおにぎり』
作/長野ヒデ子 絵/つちだのぶこ 1,430円 佼成出版社
【あらすじ】
長野ヒデ子さんの「ヒデ子さんのうたあそび♪えほん」シリーズの一冊。
「だっこ だっこ ママ だっこ だっこのおにぎり してちょうだい」
この絵本では、子どもをおにぎりに見立てています。くすぐったり、ぎゅーっとしたり、まさに、親子で楽しく歌いながら遊ぶことができる絵本です。
さて、どんなおにぎりができるかな?
【オススメポイント】
作者の長野さんは、幼いころにお母さんからたくさんの遊び歌を聞いて育ったそうで、その楽しい気持ちが絵本になっています。「うたあそびえほん」ということで、自然と歌うように読めるようなリズムのいい言葉で書かれています。巻末に譜面も紹介されていますが、お子さんとの読みあいの中で生まれたリズムや歌を楽しむのもオススメです。
息子が小さいころに楽しんでいた絵本なのですが、読みながらぎゅーっとしたり、くすぐったり、子どもが喜ぶ遊びがつまっていて、「もっかい!」が飛び出すお気に入りの一冊でした。おへその梅干しを食べる場面があるのですが、おへそに口を当てて「ブブブブブ~」と音を出すと大爆笑していたことが懐かしいです。親子でたくさん遊べます!
◆3~4歳向け!『ふってきました』
文/もとしたいづみ 絵/石井聖岳 1,650円 講談社
【あらすじ】
「いまにも ふってきそうな そらです。」
どんよりとした暗い空。つるこちゃんがお母さんにあげるお花を摘んでいるのですが、「ふってきました」というタイトルどおり、今にも雨が降ってきそうな状態です。
ところが、降ってきたのは雨ではなくて!! 空から降ってきたものはなんだったのでしょう?
結末もとってもすてきです。
【オススメポイント】
お花がたくさん咲いていて、気持ちのよさそうなお散歩の表紙から一転! 読み始めると、そこにはどんよりとした空が広がっています。お母さんにあげるお花を摘んでいるつるこちゃんに、子どもたちからは「雨が降ってくるんじゃない?」と心配する声が出ていました。ところが、空から降ってきたのは雨ではなくおおきなわに!誰もが予想をしなかった展開なだけに、子どもたちもビックリでした。その後も、次々降ってくる状況を楽しんでいました!
最初に読んだ時の驚きが一番ですが、展開がわかっていても、「くるぞくるぞ~」という子どもたちのワクワクが伝わってくるお話です。最後に降ってきたのは誰だったのでしょう? 絵本を読んで楽しんでみてくださいね♪ つるこちゃんがいっしょに散歩しているのが「かめ」というところにも、遊び心が感じられます。
◆4~5歳向け! 『おかあさん、すごい!』
著者/スギヤマカナヨ 1,320円 赤ちゃんとママ社
【あらすじ】
ホットケーキをおいしそうに焼くことができて、お裁縫も上手で、なんでも知っている力持ちなお母さん。でも、最初から全部できた訳ではないんです。いったいお母さんにはどんな秘密があるのでしょうか?
【オススメポイント】
園で子どもたちと読むと、「うちのママもお料理上手!」「うちのママも力持ちだよ!」と、ママ自慢が次々出ていました。でも、いろいろなことができるママも、実は最初は苦手なことや知らないことがいっぱいあったのかもしれません。この絵本に出てくるお母さんは、初めはお料理も失敗ばかり。我が子に喜んでほしいなぁ~という思いが土台にあって上手になったのです! 子どもたちは失敗しているお母さんの姿に親しみを感じながらも、お母さんの頑張りに愛情を感じていたようでした。私自身、裁縫が本当に苦手で…。息子の入園グッズは手作りしたいと一大決心をしてミシンを購入!かなりの格闘の末、簡単なものなら作れるようになりました(笑)。「ママも~だったんだよ!」とお話ししながら読んでも楽しいと思います。
◆大人向け! 『あなたのことが だいすき』
文・絵/えがしらみちこ 原案/西原理恵子 1,210円 KADOKAWA
【あらすじ】
子どもが生まれてお母さんになって…。当然、初めてのことばかり。待ち望んでいた我が子のはずなのに、子育てはかわいいなぁと思うことばかりではなくて、寝なかったり、イヤイヤだったり、悩んだり落ち込んだりすることも多かったりします。そんなお母さんの気持ちに寄り添ってくれる一冊です。
【オススメポイント】
子どもが大きくなってからこの絵本に出会ったのですが、「本当にこのとおり~」と、自分の子育てがよみがえってきました。抱っこも恐る恐る。ぐっすり寝ている姿を見ては、「息してる⁉」と確認。夜泣きには特に悩み、車に乗せて夜中のドライブも経験しました。「だんだん落ち着くから」と言われても、この絵本のママのように、「今なんとかしてほしいの〜」とグッタリ。「じぶんで!」の時期には、イライラから、絵本と同じセリフをぶつけてしまっていました…。絵本に出てきた、「やさしくしたいのに ぜんぜん できてない」という言葉は、本当に当時の自分そのまま! 子どもが大きくなった今だって、本当はやさしい気持ちでいたくても、ついついあれこれ口を出して言い合いになることもあります。読んでいて、代弁して寄り添ってもらっている感じでいっぱいです。子育てしている以上、イライラしたり、自己嫌悪したりすることはこれからもあると思います! それも自分で認めてあげながら、今しかない日々を大切に過ごしていきたいなと感じさせてもらった絵本です。
次回の「こそだてまっぷ 絵本棚」は「さわやかな天気の日」をテーマにした絵本を紹介します。
この記事の監修・執筆者
絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。
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