近年、よく見かけるようになった「ヘルプマーク」。赤地に白い「✚」と「♡」をあしらったこのマークを、どんな人がなぜ身につけているのかご存じですか? 私たちに何ができるか、考えてみませんか?
文/こそだてまっぷ編集部
ヘルプマークとは
「ヘルプマーク」は、外見からはわからない配慮や手助けを必要としている人が、必要な援助を得やすくなるよう、東京都が2012年(平成24年)に作成したマークです。 かばん等につけられるように、吊り下げタイプになっています。
当初は、都営地下鉄大江戸線各駅の利用者でヘルプマークを希望する人に配布し、それにあわせて車両内の優先席にもステッカーを標示して、ヘルプマークを持つ人が席を譲ってもらうなど配慮を受けやすくするためのものでした。
2013年(平成25年)以降、全都営地下鉄、都営バス、都電、ゆりかもめ、多摩モノレール、都立病院などに拡大。各鉄道会社の優先席付近でもヘルプマークのステッカーが見られるようになりました。企業の普及啓発活動にも活用されています。
マークの意味
✚と♡の組み合わせには、「手助けや配慮が必要であることを、まわりの人に知ってもらい、行動に結びつけられるように」という意味が込められています。
また、
赤…手助けや配慮が必要であることを知らせる
♡…手助けや配慮する気持ちを持ってもらえたら…という思いも込められています。
一般的なカードと同じくらいのサイズで、付属のシールには、どんな手助けが必要か、どんな配慮をしてほしいかなどが書けるようになっています。
どんな人が身に着けているの?
車いすや杖などを利用している人をはじめ、義足や人工関節の人、聴覚障がい、言語障がい、視覚障がい、知的障がい、発達障がい、がん疾患、難病の人、妊娠初期の人など外見からは分かりにくいが、援助や配慮が必要な人が身に着けています。
ヘルプマークを身に着けている人を見かけたら?
電車・バス等で見かけたら…席をゆずるなどしましょう。健康そうに見える人でも、疲れやすい人や立ったまま同じ姿勢を保つことが難しい人がいます。
駅や商業施設で見かけたら…困っている様子を見かけたら、声をかけるなどの配慮を。交通機関の遅延や運転見合わせなど、突発的な出来事への対応が難しい人がいます。
災害時に見かけたら…安全に避難するための誘導などを。視覚障がい者や聴覚障がい者、肢体不自由等で、速やかな避難が難しい人がいます。
なお、これらは強制ではなく、できる範囲でのサポートを行うことが大切です。
ヘルプマークはどうやって受け取るの?
各自治体によって配布場所がちがいます。東京都では、一部を除く都営地下鉄駅の改札や駅務室、都営バスの各営業所、都立病院などで受け取ることができます。
ほかの各自治体では、主に市役所等の窓口、障がい福祉課や福祉センターなどの担当窓口、公民館、地域包括支援センターなどで配布していることもあります。
また、自治体にもよりますが、東京都では障がい者手帳や診断書などがなくても、本人、家族や友だち、支援者といった代理人などからの口頭による申し出によりお一人1つまで配布されます。郵送で送ってくれるところもあるようです。
全国の普及状況
全都道府県で導入され、普及が進んでいます。
助け合いのしるし ヘルプマーク | ヘルプマーク全国の普及状況 (tokyo.lg.jp)
都道府県をクリックすると、各自治体の配布場所がわかります。また、直接ホームページに飛べるように、リンクをはっている自治体もあるので、確認してみましょう。
ヘルプカードもある
ヘルプカードとは、配慮や手助けが必要な人たちが日常で困ったとき、緊急の事態が起こったときに、周りの人に理解を求めるための手段として持つカード。
たとえば、避難先で発作が起こったときに必要な飲み薬の名前、声が出ないので筆談で会話がしたい、大きな音が苦手である、といった内容が書いてあることで、周りの人が理解する助けになります。
ヘルプカードは、自治体によって、シンボルマークやマスコットが描かれていたり、裏面の記入欄が独自に作成されていたりするので、自分の住む自治体を一度調べてみてはいかがでしょうか。
ヘルプマークとヘルプカードとの併用も
中には、コミュニケーションがうまくとれず、「困った」と言えない人もいます。人目に触れるかばんなどに着けるヘルプマークの裏に「かばんの中のヘルプカードを見てください」と書いておき、ヘルプカードに配慮の具体的な内容や個人情報を書いておくなど、ヘルプマークとヘルプカードを併用している人もいるようです。
ヘルプマークを身に着けている子どもは、ヘルプマークの裏またはヘルプカードに、保護者が緊急連絡先を書いている場合もあります。
お子さんに「あのマークはなに?」とヘルプマークのことを聞かれたら、ぜひ教えてあげてくださいね。
参考:東京都福祉保健局サイト
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