年の瀬が近づいてきました。いよいよやってくるお正月に期待を込めて、「お正月」をテーマにした絵本のご紹介です。
絵本のセレクトは、長野県にある児童書専門店「ちいさいおうち」の広報担当で、エッセイストの越高綾乃さんです。
12月号
「お正月」がテーマのオススメ絵本
◆2~3歳にオススメ 『十二支のかぞえうた』
作・絵/さいとうしのぶ 1430円 佼成出版社
【あらすじ】
十二支の動物たちが、12の月にちなんだ食べ物を、12の時間に合わせて食べている様子がつぎつぎと出てきます。
「1月1日 1じに ねずみが もちたべた いくつたべた?」「2月2日 2じに うしが チョコたべた いくつたべた?」というように、数字がひとつずつふえていき、それに合わせて干支の動物たちがその月にぴったりな食べ物をほおばっています。「かごめかごめ」のメロディーをつけて読むと、数え歌になるので、ぜひお試しください。
【オススメポイント】
まずは干支と、日にちと時間を組み合わせた斬新なアイデアにびっくり! つぎに、おいしそうな食べ物と愛嬌のある動物たちのイラストに、目が奪われます。でも、ページのすみずみまで見ていくと、たとえば1月1日のページのイラストには、焼きたてのおもちに食らいつく和装のねずみ、こたつの上にはおいしそうなおせちとおとそ。その奥には鏡もちがあり、部屋の時計の針は1時をさしている……といった具合に、まさに1月1日の様子が描かれていることがわかります。歌って楽しんだり、絵をじっくり見て楽しんだり、いろいろな読み方ができるのがうれしいですね。
3~4歳にオススメ『おもち!』
文/石津ちひろ 絵/村上康成 1540円 小峰書店
【あらすじ】
みんなで楽しいおもちつきがはじまります。ぼくもわたしもおじいちゃんも、ねこの合いの手とともに順番にチャレンジ!「こねこね こねこね ぺったん ぺったん ぴたぴた にゃんにゃん ぴた にゃんにゃん」軽快なリズムとともに、どんどんおもちがやわらかくなってのびていき‥‥。つきたてのやわらかいおもちが、うさぎになったり、しろくまになったり、おこじょになったり。さて、次は何になるでしょう。
【オススメポイント】
最近では、めったに見かけないきねとうすを使う昔ながらのおもちつき。テンポのよいことばで、おもちつきの様子が愉快に表現されているので、読んでいるうちにいっしょにおもちつきを体験した気分になれそうです。「むにゅ~ん むにゅ~ん もちもち もっちり ねばねばり~ん」と、もちもちやわらかいおもちの魅力がいっぱい。お正月におもちを食べるのが待ち遠しくなります。
4~5歳にオススメ『十二支のしんねんかい』
文/みき つきみ 画/柳原良平 1210円 こぐま社
【あらすじ】
ぽっこりめでたくはつひので。あたらしいとしがはじまり、十二支のみんなも集まって、そろってしんねんかいをするようです。その前に、それぞれの干支のご紹介。ねずみから順番に、十二支が紹介されていき、みんながそろったところで、わいわいにぎやかにおせちを食べて、しんねんかいがはじまります。最後には紋付きはかまで、ずずいといならびごあいさつ。
【オススメポイント】
華やかなピンクの表紙がぱぁっと目をひく、お正月に読むのにぴったりなおめでたい雰囲気の絵本。
ページをめくっていくと、それぞれの干支がテンポのよいことばと切り絵とともに紹介されていきます。柳原良平さんの切り絵が、ユーモラスでかわいいので、つぎのページが楽しみ!自分の干支のページは、どうなっているのかが気になって、出てくるまでソワソワしてしまう人が続出するかもしれません。
6歳以上にオススメ『どうぶつ句会』
作・絵/あべ弘士 1320円 Gakken
【あらすじ】
春・夏・秋・冬‥‥それぞれの季節ごとに、動物たちが集まって、句会をひらいています。それぞれが季節に関することば「季語」を入れてつくった俳句を発表していきます。
この句会、まずは出席者の動物たちの会話がとぼけていて、なんともおもしろい。そこで発表される俳句もとってもユニークで、思わず笑ってしまうものばかりです。はじめて俳句にふれる子どもにぴったりの楽しい1冊です。
【オススメポイント】
お正月は、かるたやすごろく、百人一首のように、昔からの日本の遊びをしてみたくなりますね。そんな遊びのひとつに、今年は俳句を加えてみませんか?
こちらは「俳句は難しそう」と思っている人にこそ読んでほしい、ユーモアあふれる俳句の絵本。ひとくせもふたくせもある動物たちのつくる俳句は、(これはダジャレ?)と思うようなおもしろいものが多く、声に出して読むとことばの響きまで楽しめます。また、「季語」や「句会」のことなども、肩ひじ張らず、ゆるりと学ぶこともでき、いつの間にか俳句に親しみがわいてきます。今年のお正月は、親子で一句‥‥なんていかがでしょう。
来週の「こそだてまっぷの絵本棚」は、「冬の装い」をテーマにした絵本を紹介します。ぜひ、おたのしみに!
この記事の監修・執筆者
長野県松本市にある、児童書専門店「ちいさいおうち書店」の広報担当。エッセイスト。著書に『つぎに、読むのどれにしよ? 私の親愛なる海外児童文学』『絵本のつぎに、なによもう? 幼年童話と過ごした日々』(かもがわ出版)がある。
https://www.chiisaiouchihon.jp/ @chiisaiouchihon
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