【芸術の秋に読みたい! 「芸術」がテーマの絵本】/こそだてまっぷの絵本棚

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テーマは「芸術」です。
「きれいな色だね」「おもしろい形だね」などと感じたことを伝え合いながら、親子で「芸術の秋」をお楽しみください。
絵本のセレクトは、絵本講座主宰、JPIC読書アドバイザーの大久保徳久子さんです。

目次

11月号

芸術の秋に読みたい! “芸術”がテーマのオススメ絵本

◆2~3歳向け! 『あおくん と きいろちゃん

作/レオ・レオーニ 訳/藤田 圭雄 1,320円 至光社

【あらすじ】

青い丸の「あおくん」と、黄色い丸の「きいろちゃん」。ふたりは、とても仲良しです。ある日、うれしいできごとのあったふたりが、思わずはしゃいで重なり合ったら…ひとつの緑になってしまいました! 緑の姿で家に帰ると、「うちの子じゃない。うちの子は、青」「うちの子は、黄色」と、どちらの両親にも気づいてもらえません。ふたりはどうなってしまうのでしょう…!?

 

【オススメポイント】

レオ・レオーニがこの作品を発表したのは、1959年。半世紀以上前に描かれたわけですが、まったく色あせず、わかりやすく深い世界を伝えています。

見た目で判断してしまうこと、違うものを受け入れるということ…。大人も声に出して読んでいるうちに、いろいろなことに気づかされるでしょう。そして、そんな大人の姿を、子どもは記憶のどこかに置いてくれるのではないかと思うのです。

◆3~4歳向け! 『ふーって して

作/松田奈那子 1,320円 KADOKAWA

【あらすじ】

絵具をたっぷりの水で溶くと、色水ができますね。黄色の色水をぽとりと紙に落として、息をふーっと吹きかけると、色水から線が広がって太陽に。次は、緑の色水をポンポンと並べて垂らして、ふーっ。まるで草みたい。色水を垂らして息を吹きかけ、絵を作る。ただそれだけで、とても簡単。ちょっとペンで線を描き足すと、さらにおもしろい絵が生まれます。

 

【オススメポイント】

「お絵かきしましょう」と白い紙に向かっても、いきなりではなにも描けないことがあります。でも、こんな色水の偶然を利用して、楽しく絵が生まれるなら、大人も子どもも「絵を描く」ことが、がぜん楽しくなるはず。太陽や草のほかにも、ハリネズミにしたり、髪にしたり、ひげにしたり。アイデアが本当にすてきですよ。ぜひ、親子で挑戦してみてください。

◆4~5歳向け! 『くみたて

作/田中達也 1,540円 福音館書店

【あらすじ】

生活に身近な「何か」をミニチュアの世界に住む小さな作業員たちが組み立てます。最初は、オレンジ色のパーツ。よいしょ、よいしょと、組み立てていくと、洗濯バサミのブランコが完成しました! 次は緑の歯ブラシが、街灯に。タンバリンや縦笛、カスタネットなどが、すてきな遊園地に。ミニチュアの作業員たちが大活躍しています。

 

【オススメポイント】

メディアでも人気の、ミニチュア作家の田中達也さんが作った立体写真絵本。灰色のガムテープが道路に、水色のノートは、プールに…など、生活に身近な道具が、次々と何かに見立てられていきます。それがあまりに見事なので、大人もいっしょに見入ってしまいますよ。「これ、鉛筆じゃない?」と見立てを探したり、逆に「これは何になるのかな?」と見立てを予想したり。親子でも、きょうだいでも、会話が弾む絵本だと思います。

◆5~6歳向け! 『ルリユールおじさん

作/いせ ひでこ 1,760円 講談社

【あらすじ】

パリが舞台のお話。ある日、女の子の大事な植物図鑑がバラバラにほどけてしまいます。壊れた本を直すなら「ルリユール」という仕事をしている人を訪ねるといいと知り、ようやく見つけたルリユールの仕事場は、いろんなものであふれ返っていました。女の子に見つめられながら、ていねいに慎重に、愛情を込めて本が生まれ変わっていきます。見事によみがえった図鑑を胸に抱きしめた女の子は、その後、植物学者になるのでした。

 

【オススメポイント】

ヨーロッパ発祥の製本・装幀の手仕事「ルリユール」を、ていねいに描き出した魅力あふれる一冊です。ルリユールは、伝統の技術でもあり、また芸術でもあります。「一冊の本を大切に読む、本に愛着を持つ読者」と、「本をよみがえらせるルリユール」との本を通して生まれる思いの交流に、心が揺さぶられます。手元に置いて、何度も読み返してほしい絵本です。

12月の「こそだてまっぷの絵本棚」のセレクトは、「ちいさいおうち書店」越高綾乃さんです。お楽しみに!

この記事の監修・執筆者

絵本講座主宰・JPIC読書アドバイザー 大久保徳久子

出版社勤務など30年以上絵本の編集に携わる。現在は、「絵本の可能性を広げる」をモットーにオリジナルの絵本講座を開催。全国の赤ちゃん~小学生の保護者、保育士、図書館司書など、これまで1,500人以上に絵本の魅力と可能性を伝えている。
https://lit.link/ookubotokuko

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