【口唇閉鎖不全症、知っていますか?】口が開きっぱなしは危険! “お口ぽかん”の予防と対策[医師監修]

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【口唇閉鎖不全症、知っていますか?】口が開きっぱなしは危険! “お口ぽかん”の予防と対策[医師監修]

マスク生活の影響もあり、口を閉じていない子どもが増加中。その対策を紹介します。口呼吸の第一人者、医師の今井一彰先生に対策をうかがいました。

イラスト/種田瑞子 文/こそだてまっぷ編集部

目次

口呼吸にはさまざまな健康リスクがある

「お口ぽかん」とは、安静時に口が開いている状態のことで、「口唇閉鎖不全症」とも言います。本来、人は鼻呼吸をしていますが、口呼吸をしていると口を閉じられなくなります。子どもの場合、口周りや舌の筋肉がうまく育っていないことが原因で口を閉じられない場合もあります。

口呼吸をしていると、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、風邪などの感染症にかかりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まるほか、歯並びなどによくない影響を与えることがわかっています。

「お口ぽかん」の予防や改善に役立つ対策5

口周りや舌の筋肉を鍛えることで、口を閉じる状態を維持でき、鼻呼吸ができるようになりますので、ぜひ取り組んでみましょう。口や舌の筋肉を鍛える運動を子どもといっしょに楽しく続けることで、親子のコミュニケーションも深まるでしょう。

1.舌の筋肉も強化する「あいうべ体操」

口周りの筋肉を鍛えるために「あ」「い」「う」という口の動きと「べー」と舌を出す動きを行って舌の筋肉を強化するのが「あいうべ体操」です。

【あいうべ体操のやり方】

①「あー」と口を大きく開く

②「いー」と口を大きく横に広げる

③「うー」と唇をとがらせて口を前に突き出す

④「べー」と舌を思い切り突き出して、下に伸ばす

★やり方のポイント

大げさなくらい口を大きく動かします。①~④を1回として、1回を4秒くらいかけてゆっくり行います。1日30回くらいを目安に行います。子どもは声を出したほうがやりやすいでしょう。

オススメは、童謡「きらきら星」のメロディーに合わせて2音ずつ「ああ、いい、うう、べー、ああ、いい、うう、べー」と歌いながら行う方法です。子どもでも楽しみながら、ゆっくり、しっかりと口を動かすことができます。この方法なら「ベー」以外は2音ずつ行えるので、1曲歌い終わると、約12回行ったことになります。

2.かむ力を鍛える食事と食べ方

かみごたえのあるものや、かむ回数の多いものを食べるとよいでしょう。たとえば、カレーなどに入れる野菜を少し大きめに切るなどの工夫をすると、かみごたえがあり、かむ回数を増やすことができます。食事のメニューにも配慮してみましょう。

食事中に、水やジュースで流し込んで食べる癖がつくと、よくかんで食べることができなくなるので注意しましょう。

幼児期は、手づかみ食べもオススメです。たとえば、手でつかんだ食べものを前歯でかじりとることによって、自分の口に入る食べ物の分量を学ぶ経験を重ねることができ、それがかむ動作につながっていきます。

≪関連記事≫【医師監修】なったらどうする? 子どものしもやけ

3.かむ力を育むおやつ

かむ力を育てるには、長い時間かんでいられる食材がオススメです。できれば、おやつに昆布やするめなどを食べると理想的ですが、ガムでもよいでしょう。とくに風船ガムは、風船をふくらます際に口やほほ、舌の細かい動きが必要なため、口周りや舌の筋肉の発達にはうってつけです。

※幼児の場合はガムを誤飲しないように気をつけましょう。

4.親子で楽しく口を使った遊び

口笛を吹いたり、ふーっと息を吹きかけて風車を回したりする口を使った遊びは、唇や舌を複雑に使うので口周りや舌の筋肉を育てるのに役立ちます。試してみてはいかがでしょう。ほかにもシャボン玉遊びやゴム風船をふくらます遊びも効果的です。

先に紹介した「あいうべ体操」もそうですが、顔の表情を大げさなくらいゆっくり動かすことが有効ですので、親子で楽しくにらめっこ遊びをしながら、コミュニケーションをとるのもオススメです。

5.「お口が開いているよ」の声かけ

口呼吸は鼻呼吸にくらべ楽なので、マスクによって口が見えていないと、多くの人がマスクの中で無意識に口を開いたままにしています。口は意識して閉じる必要があるので「お口が開いているよ」と、子どもに伝えるとよいでしょう。

マスクをしていない家庭内では、子どもに「もし、パパやママの口が開いていたら、教えてね」と声をかけましょう。それによって、子どもも意識的に口を閉じようと努力するはずです。

改善しない場合は、どうしたらよい?

上で紹介した「あいうべ体操」や食事の工夫などに取り組んでも、「お口ぽかん」が改善しない場合は、早めに医療機関に相談しましょう。「口唇閉鎖不全症」は歯科の病気ですので、まずは小児歯科に相談するとよいでしょう。

「お口ぽかん」を解消するには、口周りや舌のトレーニング、食事や遊びの工夫など保護者の支えが欠かせません。しかし、それ以上に、保護者が子どもの様子を日ごろからしっかりチェックし、見守っていくきめ細やかなケアも大切です。根気強く取り組んでいきましょう。

この記事の監修・執筆者

みらいクリニック院長 今井一彰

NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長。山口大学医学部卒業。息育(そくいく)、口呼吸問題の第一人者として全国の園や小学校から行政・企業などまで幅広く講演を行う。著書に『免疫を高めて病気を治す口の体操「あいうべ」』(マキノ出版)など。

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