【小学生の宿題は親が見る?】子どもが伸びるサポート術とやる気をなくすNG行動

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【小学生の宿題は親が見る?】子どもが伸びるサポート術とやる気をなくすNG行動

昨今の小学校教育において、宿題は自宅学習の一環です。また、保護者世代が子どものころに比べ、国語の音読や算数の計算問題の丸つけなど、家庭でのサポートを必要とする宿題が増えているようにも感じます。

そこで本記事では、保護者はどの程度子どもの宿題に関わるべきかとその関わり方について、文部科学省に勤め、さまざまな学校問題と向き合ってきた心理学の専門家である筆者の体験談を交えつつ、Instagramでの事例とあわせてご紹介していきます。

文/マムズラボ

目次

小学生の宿題に保護者はどう関わればよい?

子どもの宿題をサポートするといっても、「仕事で帰りが遅い」「リモートワークの最中である」「きょうだいの習い事の送迎がある」「夕食の支度をしなければならない」など、多忙な保護者が毎日サポートするのはなかなか難しいもの。ましてや、子どもが宿題をやっている間、ずっと隣に座ってサポートするとなれば、ますますハードルが高くなります。

限られた時間の中で、どの程度サポートすればよいのでしょうか。ここでは、子どもの宿題を保護者は見るべきか、どの程度見ればよいのかについてご紹介します。

つきっきりの必要はないが、サポートすることは大切

まだ宿題に慣れていない低学年のうちは、もちろん保護者のサポートが必要です。しかし、毎日つきっきりともなれば保護者の時間がなくなるだけでなく、子どもの自由度も奪われ、「やらされている感」が強くなってしまう可能性があります。

そのため、「今日は自分でできそうだから最後に確認してね!」「今日の宿題は難しいから、いっしょにやってほしい」など、その日の宿題の内容によって、どのようなサポートが必要か子どもに申告してもらうとよいでしょう。

ただ、子どもによっては宿題の難易度が把握できておらず、自分から申告するのが難しいこともあるでしょう。そのような場合は、子どもが帰宅した後、今日の宿題をいっしょに確認し、子どもだけでできるのか確認するのがオススメです。

また、サポートが必要なさそうな子どもに対しても、最後の確認をしておけば、子どもの学習理解度を知ることができます。ですが、中には保護者が見ていない場合、宿題をまったくしようとしない子どももいるでしょう。そのような場合は、「宿題をしなさい!」と怒るのではなく、「いっしょに宿題しようか」と伝えることがポイントです。

習慣づくまでは毎日サポートが必要になる場合もありますが、徐々に子ども自身の意思で宿題をやれるように協力してあげましょう。

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保護者が小学校の宿題を見る目的とは?

小学校によっては、宿題の丸つけを保護者が行うことを義務づけており、必然的にサポートが必要になるケースもあります。このケースでは、丸つけをする目的について学校側と保護者側の間でずれが生じやすいので注意が必要です。

保護者が丸つけをするいちばんの目的は、宿題の間違いを指摘することではありません。子どもの健やかな成長のために、保護者と子どもとの間に良好な関係を構築することです。ですから、保護者も丸つけをする際に「教えなければ」という意識を捨て、「丸がいっぱいだね!」「苦手だけどがんばったね」などと、子どもへの声かけを大切にするようにしましょう。

子どもとの距離がさらに縮まり、宿題を楽しんで取り組めるようになるかもしれませんよ。

小学生の宿題はいつまで保護者が見るべき?

「子どもの宿題はいつまで見るべき?」と悩む保護者も少なくありません。その答えについてご説明します。

子ども自ら宿題に取り組み、終わらせる習慣が身につくまで

子どもの宿題をいつまで見ればよいのかという疑問への回答は、子どもの状況によってまちまちです。いつまでという目安はありませんが、子ども自身の意思で宿題に取り組み、問題なく終わらせられる習慣が身につくまではサポートしてあげるとよいでしょう。

小学校1年生ではじめての宿題の場合、子どもの興味関心は高く比較的取り組みやすいですが、記入する箇所が違うなど、やり方を間違えてしまう可能性もあります。このように、子ども自身の意思で宿題を始められても、サポートが必要なケースはあるでしょう。

また、小学校高学年にもなれば、自分で丸つけまで終わらせられる子どもも増えてきますが、適当に済ませてしまう子どももいます。そのため、子ども自身の意思でしっかりと宿題に取り組み、問題なく終わらせられるようになるまでは、保護者のサポートは必要だといえます。

先輩保護者は小学生の宿題をどうサポートしている?

ここまでは筆者の体験を交えながら、子どもの宿題への関わり方についてご紹介してきました。それでは次に、Instagramの事例を参考に、多種多様なサポート方法を見ていきましょう。

宿題をやる時間は子どもに決めさせる

「TOMOKO」さんのInstagramより(@tomoko.lab)
https://www.instagram.com/p/CkyIKR7p0Cr/

TOMOKOさんは「宿題をやりなさい!」と叱るのをやめ、子ども自身に宿題に取り組む時間を決めさせているそうです。その結果、宿題をする習慣が身につき、子ども自身で計画的に宿題に取り組めるようになるとのこと。宿題に取り組む姿勢をほめてあげるだけでも子どもの意欲は刺激され、計画的に宿題に取り組めるようになるようです。

子どもが宿題をせず遊んでいると、「まだやっていないのか」とイライラしてしまいがちです。ただ、その都度「早くやりなさい!」と怒っていると保護者のストレスが溜まるだけでなく、子どものやる気も阻害してしまう可能性があります。そのため、叱るのではなく、「何時から宿題する?」と聞くのがポイントです。子どもの自己肯定感を高めるためにも、TOMOKOさんの投稿を参考にしてみてください。

夕食作りの時間に合わせて宿題をする時間を作る

宿題をやるのは帰宅後すぐがよいと考える保護者が多いようですが、大人でも、仕事をして帰宅した直後は一息つきたい気持ちになるのではないでしょうか。そこで筆者の場合、帰宅後ゆっくりと自由に遊ばせ、筆者が夕食の支度を開始するとともに、リビングのテーブルで夕食を待ちながら宿題をするというルールを作りました

これによって、「宿題をやりなさい」ではなく、「そろそろ夕ごはんの支度をするよ」とやさしく声をかけるだけで、子どもは「宿題をやらなきゃ!」と意識し、宿題をはじめてくれます

また、慣れてくると、時間や筆者の様子を見て自分の意思で宿題をはじめるようになりました。食事の前に「今日もできたね」と確認したら、いっしょに楽しく夕食を食べます。食事をしながら、子どもから「今日はここが難しかった」「ここがわかるようになった」などと率先して話してくれるため、宿題を見る時間を確保することなく子どもの宿題に関わることができ、非常にオススメです。

小学生の宿題を見るときの保護者のNG行動4選

それでは最後に、宿題をサポートするにあたって避けるべき保護者の行動についてご紹介します。

怒ってしまう

子どもが宿題をしないことに対して怒ってしまうと、子どもは怒られないために宿題をするようになったり、まだ終わっていないのに「学校でやってきたよ!」などと宿題があることをうまくごまかすようになったりする可能性があります。また、怒る人が近くにいないと、手を抜くようになることも。

さらに、「宿題をしなさい!」と怒られることで、反発心が芽生え、逆に宿題に手をつけなくなることもあります。そうならないためにも、やらないことに怒るより、取り組んだときにほめてあげるほうが望ましいでしょう。

強制する

怒ることと同様に、子どもの意思を無視し、保護者のタイミングで無理やり宿題をやらせることも、子どもの意欲低下の原因のひとつになります

「もうすぐやろうとしてたのに!」ということばは、誰しも子どものころに一度は使ったことがあるのではないでしょうか。言われた側は「また言ってる」という程度にとらえるかもしれませんが、強制された子どもにとっては、本当にやる気が失せ、反感を抱くはずです。

「やりなさい」と声をかけたい気持ちをグッと抑えて、子どもの意思で宿題をはじめられるよう促してあげましょう。

ほかの子どもと比較する

友だちやきょうだいと比較して「ほかの子はできているのにあなたは…」という声かけをすることは、最も避けるべきだと考えられます。このことばは子どものやる気を削ぐだけでなく、子どもの心を傷つけ、自己肯定感を低下させてしまい、自身の存在に疑問を抱かせるという悪循環へとつながります。

もしこの声かけで子どもが行動を起こしたとしても、よいことはただその場で宿題をしたという事実のみです。ほかの子どもとの比較はしないようにしましょう。

つきっきりになる

子どもが自主性を身につけるためにも、つきっきりでダメ出しを繰り返すことはやめましょう。子どものやる気を削いでしまうことになりかねないうえに、「何か間違えてもママパパが教えてくれる」と認識し、自分で考えて行動しないほうが楽であると学習してしまう可能性があります。

途中で間違えても最後まで自分でやらせること、子どもから質問されてから答えることが大切です。

保護者はつきっきりにならない程度に小学生の宿題を見てあげよう

宿題を強制することやつきっきりでダメ出しをすること、怒って行動を促すこと、ほかの子どもと比べることは、子どものやる気を阻害するその場しのぎの対処であることがわかりました。

保護者は、あくまでも子どもの学習意欲をかき立て、自主性を尊重し、自己肯定感を高めてあげる関わり方をしていくことが大切です。そのようなサポートをすることは、子どもが宿題にスムーズに取り組むことを助けるだけではなく、将来的に子どもとの良好な関係構築にもつながっていくでしょう。

この記事の監修・執筆者

心理学者 / studio writry 代表 内山 友里

大学及び、理化学研究所にて心理学の研究に従事した後、文部科学省総合教育政策局において「全国学力・学習状況調査」の調査分析を担当。結婚・出産を機に退職し、2022年に執筆事務所を開業する。現在、心理学の専門家として様々な社会・教育問題と向き合った経験を活かし、育児・教育・心理を中心とした執筆や、心理アドバイザーとして活躍中。著書には『実践的な心理学の学び方:学びを通して成長する』(共著/ナカニシヤ出版)が在る。

HP:https://studiowritry.jimdosite.com/

twitter:https://twitter.com/studiowritry

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