こんにちは。現役小学校教諭の舟山由美子です。
今回は、何かと問題視されることも多い学校のトイレについて、現場で感じていることをお話ししたいと思います。
「2人に1人は学校ではうんちをしない」のは本当?
よく小学校でトイレに行かない子が多いという話を耳にします。小学生の2人に1人は学校ではうんちをしないという調査結果もあるそうです。それが原因で便秘の子も多いという推測もあり、保護者の中にも気にされている方もいらっしゃるかもしれません。
ただ私自身は、こうした学校のトイレ問題に関する言説については、必ずしもそうとはいえない部分が多いと考えています。
日々、子どもたちと接していると、上記のような悩みをもっている子はいるかもしれませんが、それによって問題が起きる、ということはあまり多くない印象です。
1つのテーマについて、改めて子どもにアンケートをとると、そのことを意識させられるために、日常とは違う結果があぶり出されることも多いものです。トイレについても、そのような傾向が出てくるという側面もあるのではないかと考えています。
体調が日々違うように、便通があるかないかで、その日の気分もずいぶん違います。むしろ実際に便秘になったりするのは、高学年になって宿泊行事に行った際に、自分のペースで過ごせなくなることで起こりやすいように思います。
また、低学年で便秘の子というのは、それ以前の乳幼児の頃から「出にくい」傾向があるとも言えます。
「学校のトイレ」というのは、どの人にもいろいろな思い出があり、大人たちも自分の思い出をもとにして推測しやすい傾向があるのかもしれませんね。
トイレをネタにしたからかいは重点的に指導
たしかに「学校のトイレは嫌だな~」という子はいます。入学式の日に、入場前のお世話をしていて、子どもたちをトイレに連れていくと、和式トイレを見て「このお便所だとできな~い」と言う子もいました。でも、本当に尿意・便意をもよおしたら、それを抑えることは難しいのではないでしょうか。ここを使うしかないとわかったら、どんなに古いトイレでも、子どもはすんなり適応するもので、いつまでたっても「トイレに行けない」という子はほとんど見られません。
最近では、校舎の改装の際も、まずトイレから行われており、暗くて古いイメージのトイレは過去のものになりつつあると言っていいでしょう。
授業中だと、先生に「トイレ」と言いにくいこともあると思いますが、1年生の担任は、特に入学当初は何度も「我慢しないで先生に言うんですよ」と言っており、お漏らししてしまうのも、トイレに行きたいと言えなかったときより、何かに夢中になっていて……ということのほうが多いように思います。
また、学校で、トイレのことで友だちをからかうという子がいないわけではありませんが、どの学校でも、これについては必ず重点的に指導していますので、あまり心配する必要はないと思います。
朝は余裕を持って起きることも大事
そうは言っても、トイレにもいろいろあり、家庭で用を足した瞬間に水が流れるタイプの便器を使っている子などは、学校で、レバーを使って流すことを知らず、そのまま出てきてしまうこともあります。
さすがに2学期くらいになるとそういう子は少なくなるでしょうが、もし来年以降入学を予定しているご家庭の場合は、入学までに、外出した折などにさまざまなトイレを経験しておくのも大事だと思います。
そもそも、朝ご飯をきちんと食べ、トイレに行く時間の余裕があれば、学校でうんちをしなくてもすむとも言えます。
そこで思い出されるのが、給食を食べると、必ず「トイレに行っていいですか」という子がいることです。その子らの話をよく聞くと、朝ごはんを食べてきていないということがありました。
給食の後は、片付けをして昼休み(または清掃)に入るので、みんなとペースが合わなくなり、ゆっくりトイレに行きにくいと感じてしまうかもしれません。できれば、朝ごはんを食べて、ゆっくりトイレに座る生活サイクルを作れるようになるといいですね。
食生活については、家庭の範囲のことであり、学校は手が及ばないところです。朝ごはんを食べることや、便通に適した食事のありかたなどについて、一度ぜひ考えていただけたらと思います。
この記事の監修・執筆者
ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。
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