10月のこそだてまっぷの絵本棚は、スポーツの秋にちなんで「体を動かすのって楽しい!」をテーマにした絵本をご紹介します。
絵本を読んたあとは、お子さんといっしょに思いきり体を動かしてみてください。
絵本セレクトは、絵本専門士で、NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。
“体を動かすのって楽しい!”がテーマのオススメ絵本!
◆2~3歳児向け! 『かけっこ かけっこ』
文/中川ひろたか 絵/北村裕花 1,540円 講談社
【あらすじ】
男の子が、かけっこ かけっこ。すると、「ぼくも いれて」とダチョウ。「わたしも いれて」とゴリラ。どんどん仲間がふえてきて、みんなでかけっこが始まります。ところが、途中にライオンがいたから、さあたいへん! みんなで逃げきれるのかな? と、ハラハラドキドキの展開です。途中にある楽しいしかけページも魅力です。
【オススメポイント】
男の子がかけっこしていると、「いれて」とつぎつぎ仲間が集まります。この仲間たちがとってもおもしろくて、動物だけでなくオバケにプロレスラー、バレリーナに鬼に飛脚など、本当に盛りだくさん! 子どもたちも注目して見ていました。
寝ているライオンの横を通るときには、みんなでドキドキ! 「そろそろ そーろ」と忍び足からの、ライオンが起きてしまってダッシュで逃げる展開が大好きです。
1回読み終わったあとに、「もう1回!」が飛び出すのは、こうした楽しさがあるからなのかもしれません。来るぞ、来るぞという子どもたちの期待に、読み手もとっても楽しい気持ちになる1冊です。
◆3~4歳児向け! 『ぞうの金メダル』
作/斉藤 洋 絵/高畠 那生 1,320円 偕成社
【あらすじ】
ジャングルで火を消しているぞうさん。でも、ぞうが消防士だけやっていると思ったら大間違い。オリンピックで大活躍するんです! 重量挙げや円盤投げはもちろん、100メートル競走でも、水泳でも金メダルをとってしまいます。サッカーやバスケットボールなどの団体競技だってバッチリです。いったい、いくつの金メダルがとれたのかな?
【オススメポイント】
パワフルでユニークな絵が子どもたちにも人気! いろいろな動物・さまざまな人種が登場していて、それをひとつずつ見ていくのも楽しいですよ。
ぞうがオリンピックに出場、という発想もおもしろいのですが、参加する競技もユニーク。優勝がかんたんにイメージできる力技の重量挙げはもちろんのこと、チーターも出ている100メートル競走でも金メダルを獲得。その様子には、子どもたちからも思わず笑いが起こっていました。たくさんの競技が登場するので、お子さんとやってみたい競技について話したり、実際に挑戦したりしてもいいですね。
この絵本に出てくるぞうのすごいところは、オリンピックだけでなく、ほかにもメダルをとりにいくところ! この向上心と勤勉さは見習いたいなと思ってしまいました。最後にとったメダルにもビックリです。
◆4~5歳児向け! 『むしたちのうんどうかい』
文/得田之久 絵/久住卓也 1,430円 童心社
【あらすじ】
林の中の広場で虫たちの運動会が始まります。カブトムシ・クワガタムシ・カマキリ・バッタ・コオロギ・セミ・ダンゴムシなどなど…。書ききれないくらいたくさんの虫たちが登場しています。はしりっこ競争やとびっこ競争、玉入れやダンスなど、それぞれの特徴を生かした競技に参加。楽しいお食事タイムなど、見どころがたくさん詰まっています。
【オススメポイント】
虫たちの情報がいっぱいなので、ストーリーはもちろんのこと、この絵本一冊で図鑑を見ているような楽しさも味わえます。セミの種類ごとに鳴き声が分けて書かれているなど、虫たちの特徴が競技に生かされていて、読み進めるごとに、虫たちへの興味が増していきます。
わたしも、この絵本でオナラをする「ミイデラゴミムシ」という虫がいることを知りました! 子どもたちも、この絵本をいっしょに見ていると「ガガンボってどれ?」と聞いてきたり、カブトムシと同じように チョウチョウも樹液を吸うことに驚いたり、興味津々でしたよ。中でも、オンブバッタとカマキリのやりとりにはみんなでドキッ! カマキリはなにを食べたのかな?と盛り上がりました!
◆大人向け! 『おとうさんのぼり』
作/くすのき しげのり 絵/北村裕花 1,540円 Gakken
【あらすじ】
けがで入院しているおじいちゃんのお見舞いに行ったこうたろうは、学校で調べた“昔の遊び”の話をします。すると、おじいちゃんもお父さんも、こうたろうと同じ遊びをしていたことがわかりました。それは「おとうさん のぼり」。
準備するものはなにもありません。おとうさんの体につかまって、自分の力でよじ登るだけ。「おかあさん のぼり」も大歓迎です。
「おとうさん のぼり」「おかあさん のぼり」を家族で楽しんでみませんか?
【オススメポイント】
わたしが小さいころに好きだったのは、向かい合って両手をつなぎ、親の体を足で登ってクルッと回転する遊び。絵本を読んで思い出して懐かしくなりました。
この絵本に出てくる「おとうさん のぼり」は、ロボットになったり、自由の女神になったり、いろいろなバージョンがあって、やってみたいと思うものばかり。見返しの部分にもたくさん紹介されているので、注意事項に気をつけながらお子さんと楽しんでみてくださいね。
わたし自身、実家に帰省するのは年に2~3回なのですが、久々に会う両親に「なんだか年をとったな」と感じてしんみりすることも…。この本に出てくる男の子のお父さんも、おじいちゃんのけがをきっかけに親の老いを感じています。そんな心情にもすごく共感して惹かれる一冊でした。
次回(10月22日更新)は、「秋」をテーマにした絵本を紹介します。お楽しみに!
この記事の監修・執筆者
絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。
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