9月のこそだてまっぷの絵本棚の3回目は、「秋のお出かけ・行楽」をテーマにした絵本をご紹介します。お出かけ前に読んでも、あとに読んでも楽しめる絵本ばかりです。
今月の絵本セレクトは、絵本専門士で、NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。
“秋のお出かけ”がテーマのオススメ絵本!
◆2~3歳向け! 『おつきさまのともだち』
作・絵/カワチ・レン 1,430円 学研プラス
【あらすじ】
前作『おつきさまのおさんぽ』では、空からおりてきてお散歩を楽しんでいたおつきさま。今作では、友だちの惑星たちとバスに乗ってお出かけです。「すい きん ち か もく どっ てん かい」と、絵本を読み合うなかで、惑星の名前も自然と口ずさんでいるかも。力持ちの木星、ドーナツ屋さんの土星など、仲間たちと楽しいお出かけをいっしょに楽しみましょう!
【オススメポイント】
惑星たちのワクワク・ドキドキのバス旅行が始まります。文章は少ないですが、ていねいに描きこまれた絵のなかに、お話がいっぱいつまっています。お子さんがじーっと見ていたら、すぐにはめくらずいっしょに楽しんでみてくださいね! 「すい きん ち か もく どっ てん かい♪」と、絵本に登場するこのフレーズを聞いて、懐かしく思う方もいるのではないでしょうか。惑星を覚えるのに口ずさんでいた、当時の感じで読んでみるのがオススメです。おしゃれで明るい金星。水族館の館長さんの海王星など、惑星のキャラクターも魅力のひとつ。巻末には恒例の絵探しもありますよ!
◆3~4歳向け! 『どうぶつえんにいきましょう』
文/あいはらひろゆき 絵/あきくさあい 1,100円 教育画劇
【あらすじ】
「きょうは とても いいてんき どうぶつえんに いきましょう」。絵本を開くと、動物園の世界が広がります! ぞうさん、かばさん、ペンギンさん、きりんさんなど、たくさんの動物たちが待っていますよ。ぞうさんが水浴びをしていたり、コアラさんはお昼寝中だったり。園内を回って、動物たちとの時間をたっぷりと楽しんだあとは、「またね また こんど」。楽しいお出かけの余韻も残る1冊です。
【オススメポイント】
世界中の動物園に行くのが夢という作者の秋草さん。愛情あふれるていねいな描写の動物たちが魅力の絵本です! 『どうぶつえんにいきましょう』のタイトルどおり、絵本を開くと動物園の中に引き込まれ、みんなで、動物園にお出かけしている感覚に。子どもたちが知っている動物が登場すると、「ぞうさん!」「ペンギンさん!」と、うれしそうに声を上げていました。ひと際大きな声が上がった、きりんさんのページをお楽しみに…。
◆4~5歳向け! 『新幹線のたび~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断』
作/コマヤスカン円 1,750円 講談社
【あらすじ】
2011年に出版された『新幹線のたび』に特大日本地図がついたデラックス版です。『新幹線のたび』が出版されたのは2011年3月14日。発売の3日前に東日本大震災が起こり、発売に関して話し合いが何度ももたれたといいます。みんなで力を合わせれば、この絵本に描かれているような日本を旅する日はまた戻って来るという願いに応え、みごとに復興を遂げた新幹線に思いをはせつつ、震災直前の日本の地形を堪能ください。青森から、おじいさんの住む鹿児島まで、新幹線を乗り継いで日本を縦断する旅に出かける主人公のはるかちゃんとお父さんの旅に、いっしょに出かけましょう。
【オススメポイント】
表紙の絵や、タイトルに書かれた『はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断』に好奇心をかき立てられ、地図好き! 電車好き! な子には特に人気の絵本。とにかくじっくりと楽しめる1冊です。
タイトル通り、青森から鹿児島までの道のりを順番にたどって行くのもよし。地形まで感じられるように描かれた地図を眺めながら、お城や東京タワーやスカイツリーなどの観光名所を見つけるのもよし。
新幹線の路線を中心に描かれていますが、おばあちゃんやおじいちゃんの住んでいる所を見つけるのも楽しいですね!「ここ行きたいね」「さくらに乗ってみたいね」など、親子の会話も広がると思います。
◆大人向け! 『旅館 すずめや てくてく遠足日和』
作・絵/雨宮尚子 1,430円 白泉社
【あらすじ】
山の中にある旅館すずめや。今の季節はとくにすてきなものがいっぱいです! 絵本を開くと、秋ならではの景色が広がり、やさしくてもてなし上手な女将さんに出会えますよ。秋の実りを味わったり、秋ならではの経験を楽しんだり…。かわいい山のお客さまといっしょに、ゆったりと秋のお宿で過ごしましょう!
【オススメポイント】
切り絵がとっても美しく、色とりどりの秋がギュッと詰まっています。すずめのお宿の女将さんが案内する秋の1日が、とっても魅力的。
りんごや柿やキノコなど、秋の実りがいっぱいの山登り。紅葉に囲まれた中での温泉。きれいな夕日の中でお宿に戻ると、秋を味わうメニューの数々が待っています。「栗ごはんおいしそう~」「朴葉焼き(ほおばやき)ってどんな味だろう?」と、すっかりお宿に泊まっている気分になるのでした!
絵本の中には、和の小物がたくさん描かれています。巻末で、ていねいに紹介されているのもポイントです。
紅葉した自然を楽しんだり、おいしい食べ物を楽しんだり、お出かけにもピッタリの秋。そんな秋のお出かけ前に期待を高めたり、お出かけあとに読んで余韻にひたるなど、お出かけを盛り上げるアイテムとしても、ぜひ絵本をご活用ください。
次回、10月の「こそだてまっぷの絵本棚」の絵本セレクトは、今月に引き続き、遠藤裕美さんです。
お楽しみに!
この記事の監修・執筆者
絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。
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