【幼児教育の専門家監修】うちの子、落ち着きがない? 子どもの集中力を育てる方法&遊び

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「うちの子、集中力が続かないみたい。このままで大丈夫?」こんな心配をされたことはありませんか?

元幼稚園教諭で東京家政大学 児童学科講師の前田和代先生に、子どもの集中力やその育て方について、お話を聞きました。

お話:前田 和代(東京家政大学 児童学科講師)

目次

【幼児教育の専門家監修】うちの子、落ち着きがない? 子どもの集中力を育てる方法&遊び

集中とは「夢中になって好きなことをしている」状態

  • 好きなことに夢中になっている
  • 没頭して取り組んでいる
  • 探求心をもって取り組んでいる

このようなときに子どもは集中します。例えば、同じ遊びを何度も繰り返しているとき。ただ、無意味に繰り返している訳ではないのです。「どうしてだろう? 不思議だな?」と感じながら、それを探求しているのです。

子どもが集中できる時間とは?

子どもの集中できる時間は、3歳児で20分から30分程度です。もしそれ以上続いている場合は、かなり夢中になっている=集中していると言えます。

年長の5歳児でも、しっかりと集中している状態は、時間にすると40分~50分程度です。

ちなみに、園ではそのくらいの時間を予想して活動を組んでいます。集中力が切れると、子どもたちが飽きているのがわかります。

集中力が続かないのには原因がある!

  • 生活習慣の乱れ
  • 「やらされる」ことが多い
  • 好きなことをとことんやる機会が少ない

集中力が続かないときには、このような原因があると考えられます。

まず、睡眠不足や栄養バランスが悪いなど生活習慣に乱れがあると、成長に必要な要素が足りず、ぼんやりしてしまうことが多くなります。

また、受動的な行動が多いと自分で考える機会が奪われてしまい、“なんとなく”行動する姿勢が身についてしまいます。テレビやYoutubeなどを長時間見続ける、「早くしなさい」「次はこれ」などと指示してやらされる、などの場合です。

それでは、一体、どのようにすれば、子どもの集中力を育てることができるのでしょうか。

子どもの集中力を育てるには、見守ることが大切

子どもの集中力を育てるには、見守ることが大切

子どもが集中力を身につけるためには、好きなことをとことんやらせてもらえる環境が最も大切です。

いい意味で放任し、干渉しないことです。

子どもが遊びの最中、「あっ、夢中になっているな」と思う瞬間を見つけたら、ぜひそのままにしてあげてください。

大人は子ども以上の知識があるので、つい「これもどう?」と提案しがちです。でも、子どもが困っていなければ、グッとこらえて見守ってください。そうすれば、子どもは納得できるまで繰り返したり、うまくいくように自分で考えて工夫したりするでしょう。

また、時間を確保することも心に留めておきたいですね。

「そんなこと?」と大人が思うようなことでも、子どもにとっては大発見! そして、興味・関心があることなのです。

「早く早く」「もういいでしょ」と急かすのではなく、「おもしろいね」「あなたはそこに関心があるのね」と、子どもと一緒に楽しんだり、子どもの興味を発見したりして、ゆったりと見守っていきましょう。

次々と新しいおもちゃを用意しておかなくても大丈夫。その代わりに、子どもが「これ!」とこだわったことを尊重する気持ちをもってくださいね。

子どもの集中力を育てる遊びとは?

集中力を養うのにおすすめの遊びは、「子ども自身のイメージで、遊びが広がっていく」遊びです。

例えば、砂場や積み木、ままごと、絵本などです。決められた遊びしかできないものではなく、子どもたち一人ひとりのイメージによって変化していく遊びです。

おすすめ1 砂場遊び

砂場遊び

砂場は一見何もない場所に思えますが、シャベルとバケツ、型抜きなどがあると…。

Aちゃんの場合

「型抜きがうまくできておもしろい!」と感じ、「もう1個作ろう! うまくできた! もう1個!」と、何個も作り始めます。これはもう集中している状態です。

Bくんの場合

穴を掘り始めます。どんどん深くなる穴に、もっともっとと掘ります。これも、探求心からくる集中力です。

Cちゃんの場合

お山を作り、もっと大きく! とどんどん砂を山にかけていきます。

Dくんの場合

砂場を線路に見立てて、道を作っています。

…このように、自分のイメージをとことん表現できる遊びこそが、集中力の育ちにつながります。

保護者は、子どもの“とことん”に、“とことん”つき合っていくと良いです。

Aちゃんが満足するまでとことん一緒に型抜きをする、Bくんに負けじととことん穴を掘る…など。

「たくさんできたね」「穴がどんどん深くなってきたね」と、共感するような言葉をかけると、子どもは嬉しくて「もっと!」となります。これが、さらに意欲につながります。

おすすめ2 絵本

絵本

一日中元気いっぱいも良いものですが、落ち着ける時間を作って「静と動」の遊びをバランスよく取り入れると、生活にメリハリができ、気持ちの切り替えもうまくなります。

その意味でも、絵本はおすすめです。

子どもたちは、好きな絵本は何回も繰り返し楽しみます。「読んで!」と言われたら、ぜひじっくりと読み聞かせをしてください。

実は、落ち着いた環境のなかでも、子どもたちは集中して絵本を楽しんでいるのです。

絵本を読む時は、内容を理解できているかな? などとテストのようなことはせずに、「絵」と「お話」を子どもと一緒に楽しみましょう。

また、4歳児後半から5歳児になると、一緒に考えるということも集中力につながります。

大人がすぐに結果を教えるよりも、「どうしてだろうね」「調べてみようか」と共感したり、ヒントを伝えたりすることで、子どもの考える力(思考力)の育ちにつながります。

その持続こそが、集中力なのです。

例えば、「ダンゴムシを育てたい」と子どもが言った時に、どのような飼育環境がよいか? エサは何か? と、考える機会を奪わないようにしましょう。「じゃあ、図鑑で一緒に調べてみようか」とつき合う。これができると素敵です!

調べればすぐにわかる便利な世の中ですが、子どもが経験する過程を大切にすることが集中力を育てます。

保護者も子どもと一緒に経験するつもりで、楽しむ気持ちを忘れないことが一番です。

大人も新たな楽しみが見つかるかもしれませんよ。

前田先生からのメッセージ

幼稚園に勤めていた頃、子どもの集中力の大切さを感じたエピソードを紹介します。

Tくん(5歳児)の保護者から「そろそろ小学校なので、椅子に座っていられるように幼児教室に通わせたいのですが、本人はやりたくないようなのです。先生、Tに習わせるにはどうすれば良いですか」と相談を受けたことがありました。

野球にハマっていたTくんですが、母親は「野球ばかりで小学校の授業に集中できる?」と心配していたのでした。

私は、「野球も、数字に関心をもつなど、たくさんの学びがあるのですよ。やりたくないことは力になりにくいのがこの時期の特徴です。野球をとことんやらせてあげてください」と伝えました。結局、幼児教室は諦めて野球につき合うことに。

その後、Tくんは野球の知識がどんどん増え、それが強みとなって意欲や集中力につながり、イキイキと生活しました。

発達の視点から見ると、幼児期は、まずは自分の興味があることから、総合的に学んでいくことが適している時期です。

そして、興味・関心があることだからこそ、「不思議だな」「もっと知りたいな」と、子どもなりにたくさんのことを考えて学んでいくのです。

うちの子にはまだ夢中になれるものがない…と思う方も大丈夫! 強い禁止や強制がない環境なら、子どもは好奇心旺盛なので、必ず自分から見つけ出します。

見つけ出すまで、待ってあげてくださいね。子どもの力はすごいんです!

この記事の監修・執筆者

元幼稚園教諭 前田 和代

東京家政大学児童学部児童学科准教授。専門は幼児教育学、保育学。特に子どもの遊びや保育環境に関心があり、保育者だったときから子どもの遊びのおもしろさ、そこで育つ力のすごさを実感している。

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