【専門家監修】本を通じて子どもの生きる力がアップ! 気になる読書のQ&Aとオススメ本も紹介

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子どもに「本好きになってほしい」と願っている保護者は多いでしょう。

読書の大切さについて、千葉経済大学短期大学部こども学科 教授の横山洋子先生に2回にわたっておうかがいしました。

読書がなぜよいのかを紹介した前回に続いて、今回は本を読むことから一歩踏み込み、さらに読書を楽しむための本の活用方法や、子どもの読書にまつわる疑問について、お届けします。

お話/横山洋子(千葉経済大学短期大学部 こども学科 学科長 教授)

本を上手に活用するアイデア

読書にはさまざまなよい効果がありますが、本の内容を疑似体験できるので「世界が広がる」ことと、人との関わりに大切な力が育つなど「人生がより豊かになる」ことは、特筆すべき点です。

そんな本を、うまく生活に取り入れて活用し、子どもの生きる力を底上げするヒントを紹介します。

《その1》親子での読み聞かせに

乳幼児に限らず、子どもが「もういい」と言うまでは、小学生になっても、たくさん読み聞かせをしましょう。

毎晩寝る前に絵本を読み聞かせるのもオススメです。

本に触れるだけでなく、親子のコミュニケーションにもなり、きっとお子さんが成長してから思い出した際にも、かけがえのない時間になっているはずです。

《その2》外に持ち出し、実物と照らし合わせる

お散歩や外遊びに図鑑を携え、見つけた生き物と図鑑を照らし合わせてみましょう。

また、反対に図鑑で気になる植物をいくつか選び、公園に探しにいくのもよいでしょう。

博物館に恐竜図鑑を持って行ったり、旅行のリュックに地図をしのばせたり、本に登場する食事を味わうためにレストランに行ったりするのも一案です。

本とリアルな環境の相互に刺激を受け、さらに子どもの興味や世界が広がるでしょう。

《その3》教科書に載っている物語の絵本を家にも置く

国語の教科書などに載っているお話を、家に用意してみましょう。さし絵も多く、よりその世界が味わえます。

教科書で読む際にも親しみがわいたり、教科書に途中までしか載っていないお話の全体像が見えて、理解が深まったりします。

《その4》「子どもが」読み聞かせをする

時には「子どもが」誰かに読み聞かせをできるようにしましょう。

相手は親でも祖父母でも、きょうだいでもかまいません。

文字を読むことや、誰かのために声に出して読む経験は、本を読む力を鍛えながら、人を思いやることなどにもつながります。

◆ 一人で読書ができるようになるまでの過程

一人で読書できるようになるために、次のように経験を積むのがオススメです。

(1)なぞり読み
保護者がゆっくりと読み聞かせをし、子どもは文字を指でなぞって追います。
保護者が一文読み、そのあとに続いて子どもが一文読む方法もあります。

(2)ふたり読み
読み手と聞き手のふたりで、かわりばんこに声に出して読みます。

(3)一人読み
子ども一人で声に出して読みます。保護者はうなずきながら聞きます。

(4)黙読
子ども一人で声に出さずに文字を追い、読みます。

絵をたっぷりと見て読み聞かせを楽しんだあとで、自分で読めるようになるための参考にしてください。

気になる! 読書についてのQ&A

保護者が気になる、子どもの読書に関する疑問を、横山先生に一問一答形式でお答えいただきました。

Q1 マンガやゲームなどほかの好きな遊びを優先させて、本を読みません。

A1 マンガもゲームも否定しない。

好きなものを否定されて、今興味の向いていない本を読まされても、おもしろくありませんよね。まずは子どもの好きなものを受け入れましょう。

そのうえで、子どもが好きなマンガやゲームに関係する同じ分野の本をすすめてください。たとえば、RPGのモンスターが登場する冒険ものなら、生き物図鑑や旅に関する本などでOK。

すすめるためには、子どもが好きなものを保護者もよく知る必要がありますね!

Q2 就学前までは絵本をよく読んでいたのに、小学生になってから読まなくなりました。

A2 子どもにとっておもしろい本に出合うと読むようになる。

今、子どもが「おもしろい!」と思うような本に出合えていないのでしょう。

子どもの好きなジャンルの本を用意したり、親子で本屋さんや図書館に行ったりして、さまざまな本に触れましょう。

子どもが興味のある本を見つけられないときは、書店員さんや司書のかたに人気の本を尋ねて、何冊かピックアップしてもらうのもよいでしょう。そのなかからは、子ども自身が選びます。

小学生になったから文字の多い本がよいわけではなく、子どもが興味をもっていれば、キャラクター本や絵本、ゲームの解説書だってりっぱな読書です。

Q3 子どもだけで1冊読みきれず、途中で終わってしまいます。

A3 読みきれるようフォローして、達成感を!

1冊を読みきれない場合は、途中からいっしょに読んだりふたり読みをしたりして、ぜひ子どもの読書を手伝いましょう!

また、子どもにとって本が難しい場合があります。

字が大きめでさし絵の多い本を選んで、1冊自分で読みきれたという自信や達成感が得られると、だんだんと読める本が増えていきますよ。

Q4 宿題や習いごとで読書の時間を確保しづらい。何か削ってでも読んだほうがいいですか?

A4 「10分だけ読書」をオススメします。

隙間時間の10分間だけの読書はどうでしょうか。『よみとく10分』シリーズ(Gakken)は、10分で読みきれるお話を集めた本です。

しおりを活用するのも有効です。お気に入りのしおりを用意して、明日の楽しみをつくっておくのもよいものです。

忙しいなかで時間をつくるのが難しいと思うかもしれませんが、読書は別の世界に誘ってくれるので、気分を切り替えてリラックスできる効果もありますよ。

Q5 保護者(自分)はあまり本を読まないのですが、子どもには読んでほしいです。

A5 いっしょに読みましょう。

身近な人が本を読まない環境で、子どもだけ読書をすることはめったにありません。

本を読む大人を見て「自分も読んでみたいな」と興味やあこがれをもったり、家に本がある環境だからこそ手に取ったりするので、子どもの10分間に合わせて、保護者のかたもその10分だけは手をとめて、同じ空間で好きな本を読んでみてはいかがでしょう。

雑誌でもよいですし、お子さんといっしょに『おやすみ前のお話366話』や『10歳までに読みたい世界名作』シリーズ(Gakken)など、短くまとまっている本を選んで子どもといっしょに読むのもオススメです。

また、もしも読書習慣づくりに積極的でない大人が家庭にいる場合は、「子どものためにこうしたいと思っている。こんなふうに協力してほしい」と伝えて話し合ってみてください。大人にも無理のない範囲で協力し合えるとよいですね。

横山先生から小学1・2年生へオススメの本

『大ピンチずかん』

作/鈴木のりたけ 1,650円 小学館

子どもが出合う、世の中のさまざまな「大ピンチ」をレベル別に紹介する図鑑です。これを読めば「大ピンチ」に備えられるかも…?

『マジック・ツリーハウス』シリーズ

著/メアリー・ポープ・オズボーン 訳/食野 雅子 924円 KADOKAWA

アメリカ・ペンシルベニア州に住むジャックとアニーのきょうだいが、不思議なツリーハウスから、いろいろな時代や国にひとっ飛び! ふたりといっしょにスリルたっぷりの冒険に出かけましょう。

『ランドセル名作』シリーズ

監修/横山洋子 1,078円 Gakken

文字が読めるようになってきた子どもにぴったりの名作シリーズ。「3つの○○」をテーマに、長さが異なる3話が収録されているシリーズです。全ページカラーイラスト入りで、少しずつ一人読みに慣れていくことができます。

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本を読むことが楽しくなると、子どもの世界はどんどん広がりをもちます。

それは、本の内容や、本から興味をもって知ったり調べたりしたものごと、本を介して出あう人や物などさまざまです。

「読まなくてはならないもの」ではなく、「人生が豊かになるもののひとつ」として、ぜひ、親子ですてきな読書の時間を設けてください。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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