秋の味覚として親しまれている「栗」。
今回は、旬を迎えた「栗」について、「健康」をテーマにした料理教室や食育を推進するNPO「食育暮楽部(くらぶ)」を運営する森野恵子先生に伺いました。
文/こそだてまっぷ編集部
古くから日本で親しまれてきた栗
縄文時代から大切な食料だった
栗は古くから日本で栽培されてきました。縄文時代の大規模な集落跡が見つかった青森県の三内丸山遺跡からも、栗が出土しています。集落の周りに栗林をつくり育て、大切な食料のひとつとして利用していたと考えられています。
栗名月を見上げよう
日本には、十五夜(旧暦8月15日の夜)に次いで、十三夜に月見をする風習があります。十三夜は旧暦9月13日で、収穫時期を迎える栗や豆を月に供えることから、栗名月、豆名月とも呼ばれます。十三夜は少し欠けた満月にほど近い月です。2024年は10月15日(火)が十三夜なので、ぜひお子さんといっしょに月を見上げてみてください。
十五夜と十三夜のどちらか一方の月見しかしないこと、または、十五夜だけ月見をして十三夜にしないことを「片月見」といい、縁起がよくないこととされています。できれば両方とも見たいものですね。
栗の特徴と栄養
食べているのは種子の部分
とげとげとしたイガに包まれた栗ですが、私たちが食べているのは果実の中の種子の部分です。
イガはほかの果物の皮に当たる部分で、その中の栗が果肉と種子です。表面の固い鬼皮が果肉に当たり、鬼皮をむくと出てくる薄い渋皮は種皮(種子を包む皮)です。渋皮に包まれた中身が種子の子葉で、糖質の一種であるでんぷんでできています。この質のよいでんぷんを主に食べています。
栄養価の高い栗
栗は栄養価が高い食材です。成長期のお子さんに必要な栄養素が多く含まれています。ぜひ食事や間食に積極的に取り入れましょう。
[栗に含まれる栄養素]
糖質(炭水化物)…栗に含まれる糖質(炭水化物)は分解や吸収が早いのが特徴で、即効性のあるエネルギー源になります。
ビタミンB1…糖質を分解して、エネルギーとして消費するために必要なビタミンB1が豊富に含まれています。
ビタミンC…抗酸化作用があり、風邪などの病気に対して抵抗力を高める効果があります。
カリウム…体内の余分な塩分を排出するはたらきがあります。
葉酸…貧血を予防する効果があります。
食物繊維…腸内環境を整える効果があります。
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旬の栗を手軽に食べよう!
栗を味わう「ゆで栗」
栗のおいしさをシンプルに味わえるのがゆで栗です。
店頭に生栗が出回る短い期間しか食べられないので、ぜいたくなおやつになりますね。
生栗は、鬼皮にツヤやハリがあるものを選び、穴や傷があるものは虫食いの可能性があるので避けましょう。ずっしりとした重みがあるものがよいでしょう。
用意するもの(4人分)
生栗 500g
つくり方
①生栗を沸騰したたっぷりのお湯に入れ、30分ほどゆでます。
②ゆであがったら、包丁で半分に切ります。スプーンで中身をすくいとって食べましょう。
むき栗で簡単に「栗ごはん」
鬼皮と渋皮がむいてある市販のむき栗で、栗ごはんが簡単につくれます。
用意するもの(4人分)
米 2合
水 360mL
むき栗 200gほど
塩 小さじ1
ごま塩 適量
つくり方
①米をとぎ、白米を炊くときの水加減で30分ほど浸水させます。
②炊飯器の内釜に①と塩を入れて軽くまぜます。
③②にむき栗を並べて、炊飯します。
④栗ごはんをよそったら、ごま塩をかけます。
甘露煮で豪華に「白玉栗ぜんざい」
瓶詰やレトルト食品で市販されている栗の甘露煮を使えば、手間をかけずにいつものデザートが華やかに、おいしくなります。
用意するもの(4人分)
白玉粉 200g
水 300 mL(白玉用 200mL ぜんざい用 100mL)
つぶあん 200g
栗の甘露煮 適量
つくり方
①ボウルに白玉粉を入れ、水(200mL)を3回ほどに分けて加え、混ぜながら固さを調整します。耳たぶほどの柔らかさでひとまとまりになったら、それ以上は水は加えません。
② ①を直径2cmほどの団子に丸めます。
③鍋にお湯(分量外)を沸かして②を入れ、浮き上がってくるまで2〜3分ほどゆでます。その後、氷水を入れたボウルにとって冷やし、ざるに上げて水を切ります。
④鍋につぶあんと水(100mL)を入れて火にかけ、混ぜ合わせながら弱火で温めます。
⑤器に③と④、栗の甘露煮を盛り付けます。
ほかにも、栗の甘露煮はクレープの具材に使ったり、アイスクリームにのせたりと、さまざまなアレンジに使えるので、工夫してみてください。
今回は旬を迎えた栗について紹介しました。
市販のむき栗や、栗の甘露煮も上手に取り入れながら、ぜひお子さんと生栗をゆでて味わう機会もつくってみてくださいね。
この記事の監修・執筆者
「健康」をテーマに、料理とテーブルコーディネートの教室を行う。企業主催の親子クッキングや、住宅展示でのテーブルコーディネート、セミナー講師、TV番組の撮影、飲食店やホテルでのフードコーディネート、メニュープランニング、雑誌・広告での撮影(料理作成・フードスタイリング)、盛りつけ指導など”食”に関わるものをさまざまな角度からコーディネート。
平成16年からは、暮らしを楽しみながら食育を推進する団体「食育暮楽部(くらぶ)」を設立し、地域でできる食育に取り組み中。
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