子どもが生まれると、それまでの生活になかった「育児」という大きな役割がふえます。そこで悩みのタネとなりがちなのが、仕事をどうするかということ。仕事も続けたい、子どもとの時間も大切にしたいと悩むかたも多いでしょう。
今回は、その両立に役立つ制度や育児と仕事の両立に疲れたときの対処法をご紹介します。
文/マムズラボ
育児と仕事の両立に役立つ制度
かつての「女性は育児、男性は仕事」という風潮はずいぶんと薄れてきており、共働きの世帯がふえ、それに関連する制度も充実してきています。
育児と仕事を両立できるように、国や企業が設けている制度をご紹介します。詳しい条件や金額などの詳細は、各自治体や施設によって異なる場合がありますので、確認してからご利用ください。
育児休業や時短勤務
労働基準法、および育児・介護休業法の規定により、企業は産休・育休や時短勤務の希望を認めることが義務づけられています。
短時間勤務制度
育児中の時短勤務(短時間勤務制度)は、従業員に3歳未満の子どもがいる場合、1日の労働時間を短くしたり労働日数を減らしたりできる制度です。この制度を利用するには、以下の条件に該当していなければいけません。
・3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと。
・日々雇用される従業員でないこと。
・1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
・労使協定により適用除外とされた従業員でないこと。
(※1)
産後パパ育休制度
また、令和4年10月より、「産後パパ育休制度」も設けられました。ママは出産後8週まで産休を取ることができますが、その8週間の期間内で、パパも4週間まで育休の取得が可能となる制度です。
フレックスタイム制
少し似た制度でフレックスタイム制があります。一定の期間、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業時刻や終業時刻、1日の労働時間を決められる制度です。
1か月単位で労働時間を調整できることが特徴で、勤務先が導入している場合は活用してみるのもオススメです。
子ども・子育て支援新制度
子ども・子育て支援新制度とは、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援拡充や質の向上を図るための制度です。この制度は、子どもたちがよりすこやかに育つことをめざして支援をしています。
具体的には保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育と4種類の施設を設け、希望者が入園できるような対策が取られています。ただし、待機児童問題などにより、保育所などの選択肢が少ない地域もあることが課題です。
保育料は市区町村ごとに異なりますが、3〜5歳は保育料が無料で利用できるようになっています(子ども・子育て支援制度の対象とならない幼稚園は月額上限2.57万円)。
子育て支援施設
子育て支援施設には、地域の子育て支援センターやファミリー・サポート・センターなどがあります。
子育て支援センター
子育て支援センターとは、乳幼児の子どもとその保護者が交流を深める場です。育児相談や情報提供、季節のイベントなどが行われており、育児をしている保護者どうしがつながることもできます。公共の施設や保育所、児童館などの身近な場所でこれらのイベントなどを行っていることが多いです。
ファミリー・サポート・センター
ファミリー・サポート・センターは厚生労働省が運営し、子育て世帯を援助したい会員と、援助の手を借りたい会員をつなげる組織です。事前の登録や打ち合わせ、利用料金はありますが、保護者の私用などで子どもの送迎や預け先が必要なときに利用可能です。
民間の子育て支援サービス
民間の子育て支援サービスとして、ベビーシッターや病児保育など、民間の法人が行っているサービスもあります。
ベビーシッター
ベビーシッターは、保護者が外出する際に、自宅などでシッターが子どもの世話を行うサービスです。在宅ワークの保護者が利用することもふえています。
対応可能な年齢は0〜12歳ごろまでと幅広く、まだひとりでお留守番が不安な小学生の子どもにも対応してくれます。
病児保育サービス
仕事をしていると、急な子どもの体調不良で出勤をためらうことがありますが、そんなときに頼れるのが、病児保育サービスです。
病児保育サービスとは、病気などで集団保育が困難な子どもを扱ってくれるサービスです。看護師が常駐していたり施設によっては一部の感染症でも対応してくれたりと、保護者が安心できる環境を用意してくれる施設も多いです。
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育児と仕事の両立に疲れたときの対処法
育児と仕事、どちらも心身ともに疲れる大仕事なので、両立させることは本当に大変でしょう。続いては、育児と仕事の両立に疲れてしまったときの対処法をご紹介します。
「ひとり時間」を確保する
ひとりの時間をつくることはかんたんではないかもしれませんが、ときには家族に子どもを見てもらったり、ベビーシッターに頼んだりひとり時間を確保することも大切です。映画やエステ、カフェなど、のんびりできる時間が持てると、かなりリフレッシュできます。
ただ、「子どもを長時間預けるのは不安」「出かけることすら気が重い」ということもあるでしょう。そういうときは、子どもが寝ている時間に趣味に打ち込んだり、子どもがごきげんなときに好きな動画を観たりなど、「自分だけ」の時間を見つけてみてくださいね。
完璧を求めない・ がんばりすぎない
家はきれいにしておきたい、子どもにとってすてきな保護者でいたいなど、理想の家庭像や自分像を持つのはすばらしいことです。しかし、仕事も育児も家事も完璧にしようとすると、ムリが生じかねません。
「明日に回せばいい」「しなくてもいい」という家事を見つけるだけでも、気持ちの面でずいぶんラクになります。たとえば、「リビングだけきれいならいい」「掃除はしたから洗濯物はたたまなくていい」など、優先順位を決めてみましょう。
「夫婦で得意な家事を分担する」「手を抜いていい場所を決める」「家事をしないで休む日を決める」など、がんばるところと手を抜くところを決めてしまうのがオススメです。
自分にご褒美をあげる
仕事では、評価されたり報酬をもらったりして、自分ががんばったことが報われていると感じることも多いでしょう。しかし、育児中は常に子どものために動き、家にいるときは自分のことはあと回しという状態になっていませんか? とくにワンオペ育児の時間がふえると、家事や育児をしても誰にも感謝されず、ただただ疲れが溜まっていくだけの日もあります。
そんなときには、ぜひ自分自身へのご褒美を用意してあげてください。甘いスイーツを食べたり、気に入った服を買ったりなど、定期的に自分が笑顔になれるご褒美を用意し、リフレッシュしてくださいね。
自分をねぎらいながら、育児と仕事を両立させよう
「仕事と育児の両立」といいますが、そのほかにも家事や地域の行事への参加など、やるべきことは数多くあります。すべてがんばると疲れるのも当然で、それゆえに休息を取ることが大切なのです。必要に応じて制度やサービスに頼りながら、育児と仕事から離れて自分自身のために使える時間を少しでも確保しましょう。
「仕事と育児」という大きな役割をこなしている自分をしっかりとねぎらいながら、育児の喜びも仕事のやりがいも、両方感じて暮らせるといいですね。
【引用】
(※1)厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
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