4月から始まった新生活に慣れた頃、長期休暇を挟むとなんとなく憂鬱になってしまう。
大人でも経験があると思いますが、子どもたちも同じような症状がでることがあるそうです。
親としてできることはあるのでしょうか? 教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
疲れて玄関のドアも開けられなかった1年生の子
これはあるママさんに聞いた話です。
ママさんはスーパーで買い物中に、1年生のわが子が2,3人の友達と下校しているところを見ました。
強い日差しの中を歩いているのを見て、
「そうだ、大好きなオレンジジュースを飲ませてあげよう」
と思いついて買い足しました。
マイカーで帰宅する途中にも歩道を歩く子どもたちの横を走り抜けました。
「うちの子なんだかフラフラしてるな」
と感じましたが、大して気にも留めずに帰宅しました。
そして、オレンジジュースを冷やして子どもを待っていましたが、いつまでたっても帰ってきません。
「おかしいなあ……。どうしたんだろう。寄り道でもしてるのかな」
と思いながらも、またしばらく待っていました。
でも、いつまでたっても帰ってきません。
それで、迎えに行くことにして玄関のドアを開けようとしました。
ところが、いつもは何の抵抗もなく開くドアがものすごく重いのです。
ドアの外に何か荷物のようなものが置いてある感じです。
ママさんは、ちょっと開いたドアから外を見て、びっくり!
そこには、カバンを背負ったまま丸くなって眠りこけるわが子の姿があったのです。
おまけに玄関にたどり着く前に庭の小池に落ちたらしく、片方の靴と靴下が濡れていました。
すでに体力と気力を使い果たし、玄関を開ける力も残っていなかったのでしょう。
やっと玄関までたどり着いてほっとした瞬間、睡魔に勝てなくなったのかも知れません。
「半分寝ながら歩いていたのかも……。危ないなあ。これからしばらくは迎えに行った方がいいかしら」
ママさんはなんだか心配になってきました。
五月病の記事:【小児科医監修】知っておきたい! がんばり屋さんに多い、子どもの五月病
家でリラックスして英気を養えば学校でがんばれる
5月下旬や6月初旬に運動会を行う学校が増え、その場合5月のこの時期は練習の真っ最中です。
それで子どもたちはけっこう疲れています。
特に1年生はそうです。
1年生は、4月のはじめから新しい環境の中で大いに緊張して過ごしてきました。
その疲れが出るころに運動会の練習が始まります。
さらに、新しい友達とのよそゆきの関係が終わり本音が出始めるころでもあります。
それで、人間関係のトラブルも起き始めるころです。
運動会がない学校でも、そして、1年生でなくてもこの時期は疲れが出ます。
いわゆる五月病です。
ですから、子どもたちの心身のケアに心を配ってあげてください。
家ではリラックスして過ごせるようにしてあげましょう。
家で英気を養えば、学校で大いに張り切ってがんばることができます。
夜は9時までに寝かせましょう。
無理な要求はしないで、いろいろなことを大目に見てあげてください。
ママの小言が多いと子どもはストレスを溜め込みます。
そのストレスが友達とのトラブルにつながることがよくあります。
子どもの話は共感的に聞いてあげましょう。
ママに共感的に聞いてもらうことでストレスが発散できます。
小学校の運動会って楽しいなあ、と思えるようにしてあげて
学校の先生たちにもお願いです。
この時期の1年生に過度な要求は禁物です。
練習が多くなりすぎないようにしてください。
9月や10月に運動会を行う場合と比べて、同じ1年生でもできることは半分と思った方がいいでしょう。
この時期の1年生はまだまだ年長さんレベルです。
もしかしたら、年長さんのときよりほんの少し幼くなっているかも知れません。
ちょっとした赤ちゃん返りです。
小学校の最高学年でとてもしっかりしていた6年生が、中学1年生になると急にかわいらしくなるのと同じです。
これは会社の新入社員にもあります。
練習中に砂いじりしていても叱らないでください。
うまく並べなくても許してあげてください。
小学校の運動会って楽しいなあ、と思えるようにしてあげてください。
そうすれば、小学校も先生も大好きになります。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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