【存在感が薄い】パパの不在が家庭に与える影響とは

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【存在感が薄い】パパの不在が家庭に与える影響とは

育児に協力的なパパが増え、学校行事などでパパの顔を見る機会も多くなっているようです。では、パパが日常的に育児に参加することには、どんなメリットがあるのでしょうか?
現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。

取材・執筆:坂本洋子

目次

運動会、個人面談などに参加するパパは昔より増えている

子育てに積極的なパパが増えていると聞きますが、学校行事への参加度は、実際のところ増えているのでしょうか?

舟山先生は「これまでの経験からしか述べられませんが」と前置きしたうえで、「以前よりも、学校公開日にいらっしゃるお父さんたちが増えたように思います」と話します。

「個人面談についても、両親で、あるいはお父さんだけが来ることも、少しずつではあるけれど増えているような印象です。特に、お母さんが仕事で出張しているので、お父さんがいらっしゃる、というのは、私が教員になった当初はほとんどありませんでした。社会参画のあり方も変化してきているのだと感じます」(舟山先生)

行事への協力に積極的なパパも増えているようです

「運動会では多くのご家庭でお父さんも応援に来ていますし、そのあとのテントやポールなど重い物の片付けなどにも、率先して参加してくださる方が多いです。そういときは、必ず子どもたちに『校庭を見てください。みなさんのために、お父さんやお母さんが手伝ってくださっていますよ』と言います。そうやって改めて学校側の感謝の気持ちを伝えることで、子どもたちにも、こうやって色々な人たちの協力があって、学校行事が行えて、自分たちもそこに参加することができるのだという姿勢を学んでほしいと思うからです」(同)

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ぜひ実際に学校に行って、我が子の周りまで見渡してみて

こうした形でお父さんが学校に関わることには、さらに直接的なメリットがあると舟山先生は続けます。

「まず、子どもの友だちやその保護者、担任と顔なじみになることはとても大事だと思います。行事などを通じて、担任以外の教職員ともコミュニケーションが取れたら、さらに良いです。なぜなら人は、よく知っている人に対し、不信感や敵対心を抱きにくいからです。でも何より、『子どもと子どもの周囲の情報』を共有できることが一番のメリットです」(同)

例えば学校でトラブルがあったとき。普段は育児に参加していないパパが突然出てきて事態が悪化するというケースもあるそうですが、ここぞとばかりに乗り込んで来るパパの表情は険しく、不信感や敵対心に満ちていることが多いそう。

「本来、トラブルがあったときの話し合いというのは、本人たちの言い分だけで進めるのではなく、周りの友だちなど周辺の情報についても学校と家庭で共有して、はじめてできるもの。話し合いの目的も、誰かを一方的に糾弾するのではなく、それぞれ足りないところを補い、齟齬を正してよい方向へ向けるべきものだと思います」(同)

しかし多くの場合、ママが教育を任されていて、学校に関する情報を持っているのはママだけ。さらに、夫婦間での情報共有がなされていないことが多いため、こうした事態が起きるのではないかと舟山先生は指摘します。

「夫婦間で子育てについてたくさん話をしているという方でも、共有している情報は『自分の子ども』についてだけということが多いのではないでしょうか。大切なのは、学校が持っている『学校での子どもの情報』や『周りの友だちの情報』も取り入れ、そしてそれを夫婦で共有すること

自分の子どもを守るための一番の近道は、その周りの人たちも大切にすることです。わが子の学校に行ったことがないというパパも、ぜひ学校に来て、学校の中での子どもをよく見ていただけるといいと思います」(同)

意外に大きい、パパの不在が家庭に与える影響とは

お父さんが家事・育児に消極的な家庭では、お母さんが不安を抱き、それが子どもに伝わるという負の流れが起こることもあると感じているそう。

お父さんが『いない』のではなく『存在感が薄い』家庭では、ママも不安定になりがちなようです。我が子について悩んだり、心配事があるとき、同じ立場に立って相談できる一番の相手はお父さんのはず。しかし、その連携が取れないとなるとお母さんとしては不安になります。その不安がフラストレーションとなって、我が子や学校、さらには子ども同士でトラブルが起こった場合にその相手などに、強く出てしまうのかなと思います」(同)

家族にとって、それだけパパの存在は大きなものだということかもしれません。ちなみに、舟山先生によると、学年や兄弟姉妹の有無にもよりますが、子どもたちにパパとママのどちらが好きかと尋ねると、数としてはほんの少し「パパが好き」の割合が高いように思うとのこと。

「お母さんは日常の生活に関わる分、こまごましたお小言を言わざるを得ず、うるさがられることもあるからでしょう。お母さんは、ある意味ソンな役回りかもしれませんね」(同)

また、パパの役割が一番発揮されるのが、最も大変だと言われる思春期だと舟山先生。

「もしかしたらその時期のために、お父さんは存在している…と言ってもいいのかもしれません。早い子で4年生くらいから始まる思春期。まだ先のことと思われるかも知れませんが、小さい頃から子どもに対してどのように関わっているかが、後々に大きく影響してきます。ということで、まずは小学校の行事にもたくさん参加してみてください。パパにとっても新しい発見や、楽しいことがきっとあるはずです」(同)

今現在のことだけでなく、先々の成長を見越しても、パパが積極的に育児に関わることは大きな意味があるのですね。「うちはママが子育て担当だから…」と決めつけるのはもったいない! ぜひパパも機会を見て、学校に足を運んでみてはいかがでしょうか。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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