【小学校3・4年生向け】夏休みをキッカケに英語を好きになる! おすすめの英語体験とは?[専門家監修]

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“英語”はいまや、小学校で学ぶ人気教科のひとつとして定着してきました。正式な教科名は、3・4年生では「外国語活動」、5・6年生では「外国語」。5・6年生は通知表にも評価がつくようになっています。

また、すでに就学前から習い事などで“英語”に触れているお子さんも多く、グローバル化が進む今、子どもたちにとって“英語”は必要なスキルといえるでしょう。

この先、英語はますます重要になっていきますが、学習と捉えたときに未だ苦手意識を持ってしまう子がいるのも現実です。

ここでは「外国語活動」として英語学習が必修教科となる小3~小4くらいにスポットを当て、英語を好きになるキッカケ作りについて、英語教育のスペシャリスト佐藤久美子先生にお話をうかがいました。

取材・文/こそだてまっぷ編集部

目次

英語ができるとどんな良いことがある?

まず、なぜ子どもたちは英語を学ぶのでしょうか。そしてなぜ学校教育では“英語学習”が必要とされているのでしょう。

その答えのひとつとしては、「多くの国の人と話ができ、直接、異文化に触れることができるようになると、異文化に対する寛容な心が育ち、子ども自身の世界観が広がる」ということがあげられます。

グローバル化が進む今、子どもたちが英語を身に付けることで、子ども時代の今を含め、この先のさまざまな将来の選択肢を広げることができるでしょう。

小3の英語学習って?

学校で行われる英語学習(「外国語活動」)について、国は「言語活動を通して、コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成する」(※小学校学習指導要領解説外国語活動・外国語編)と示しています。

これに基づき3年生の「外国語活動」では“実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う”ということに着目し、「聞く・話す(やりとり)・話す(発表)」の部分で英語に親しみを持てる授業が展開されています。

ですから小3の時点では、“英語で人とコミュニケーションできるようになるための土台をつくる”という段階において、とても重要な時期といえるでしょう。

≪関連記事≫【小3から始まる「外国語活動」】学校の英語学習、どんなことを学ぶの? 家庭で取り組んでおくと良いこととは[専門家監修]

では、子どもが今以上に「英語が好き!」「もっと英語がしゃべれるようになりたい!」、苦手意識がある場合でも「英語って楽しいかも」と思えるには、どうすればよいでしょうか。

英語に興味を持たせるには“長期休み”が絶好の機会!

英語を好きになり、学習への意欲を高めるためにはまず、子ども自身が英語に興味を持つことが大切です。そのためのキッカケ作りを夏休みなどの長期休暇を利用して行ってみてはいかがでしょうか。以下に、オススメの方法をお伝えします。

●絵本シリーズ『オックスフォード・リーディング・ツリー』

国が定めたカリキュラムが存在しなかった1980年代まで、イギリスの約80%以上の小学校で「国語」の教科書として採用されていた絵本シリーズ。かわいいキャラクターたちが登場するユーモアあふれるショートストーリーが、全200話以上収録されています。
英語のレベルが10段階にわかれていて、レベル1+の絵本は1冊平均たった35単語だけで構成した内容になっています。同じ表現が繰り返し登場するため、英語学習を楽しみながら身に付けられる絵本として最適といえるでしょう。

ちなみに1冊の平均語数はレベル2は約60単語、レベル3は約85単語、レベル6は約550単語ほど。6年生までに小学校で学ぶ単語数は約600~700単語といわれていますので、この絵本シリーズのレベル6までを小学生のうちに楽しみながら読むことができたら、学習のペースとしてはとても理想的だといえます。

3年生くらいでこれから英語学習を始めるというお子さんは、一番やさしいレベル1+の絵本から読み始めてみることをオススメします。

簡単に読めるので「もう読み終わった!」「簡単だった!」「おもしろかった!」など、英語に親しみを持ちながら達成感を積み重ねることができます。

●実際に海外でいろいろな経験をつむ「サマースクール」

長期休暇だからこそオススメしたいのは、外国で一定期間を過ごす「サマースクール」です。最大の魅力は、同世代の外国の子どもたちとコミュニケーションをとりながらある程度の期間、生活をともにし多くの経験をつめること。英語を体で感じながら覚え、使えるようになることはもちろん、さまざまな経験を重ねることで子ども自身に新しい感覚が芽生え、意欲的になり、視野も広がることでしょう。

「サマースクール」といっても団体によって活動内容はそれぞれ。スポーツを重視するところや、キャンプなどの野外活動を取り入れているところ、学習を中心とした学校のようなプログラムを用意しているところなど、本当に多種多様。期間も1週間前後のものから1か月以上のものまであります。

また「サマースクール」は旅行ではありませんので、楽しいことばかりでなく苦労もします。クラスによっては、英語がしゃべれない状態で参加してももちろんOK。ただ、共通言語が英語なので「どう伝えよう?」など、子どもはいろいろと考えながら試行錯誤します。これに対し、サマースクールの先生方は“どうしたら子どもたちがお互いに楽しめるか?学びになるか?”を考えながら、しゃべれない子にもきちんとサポートしてくれます。

小3~4くらいのお子さんで「サマースクール」への参加は初めてでしたら、期間は2~3週間前後がオススメです。いきなり長い期間を設定すると、お子さんに負担がかかることもあります。2~3週間でも、子どもは少しずつ英語が聞き取れるようになります。ただし、話せるようになるには2か月以上必要です。

●少数で会話を楽しめる「オンライン英会話レッスン」

外国の方と話をしてみたいけれど、まずはマイペースでスタートしたいというお子さんには「オンライン英会話レッスン」がオススメです。

オンラインの良いところは、いつでもどこでも受講できる点です。夏休みなどの長期休暇中、ごきょうだいの予定や、お仕事の都合、帰省などでスケジュールが立て込んでいても、比較的休まずに英語学習を続けることができるでしょう。

また、英語で話さなければならないことで、先生との1対1では緊張してしまうというお子さんの場合は、複数名(生徒)対1名(先生)というスタイルを選択することもできます。複数名なら他のお子さんの様子も参考にしながら、無理なく参加できるでしょう。

オンラインの場合、費用も比較的リーズナブルなことも多く、気軽にそしてコンスタントに通いやすいというメリットもあります。

【kimini 学研のオンライン英会話】

●海外の雰囲気を堪能できる「オンライン海外旅行」

最近は、オンラインで海外の雰囲気を楽しんだり、現地とオンラインで結び、海外の人と話をしたりすることができる「オンライン海外旅行」というサービスもあります。
 
一例を挙げると、3回コースになっていて、1、2回目は海外の方に質問する練習を講師とします。そして3回目は現地の実際のガイドの方とオンラインを通して話すことができます。ガイドの方が、例えばオーストラリアやフィリピンにいて、街を案内しながら子どもたちに質問をしたり、逆に子どもたちから質問したりすることも可能です。スーパーマーケットや駅、カフェなどを実際にガイドが紹介しながら歩くので、子どもたちはすっかり外国の街を歩いている気分になれます。「この国の人たちは英語を話しているんだね」「海外旅行したときに英語が話せたら、とっても楽しそうだよね!」など、見ていてワクワクする体験を自宅でさせてあげるのも、いいのではないかなと思います。

英語塾や習い事を始めるときのチェックポイントは?

夏休みなどの長期休暇になると、夏期講習・特別講座・体験教室など、塾や英会話教室の入塾・入室のキッカケとなるキャンペーンなども目立ってくる頃です。

このとき保護者の多くは「とにかくオールイングリッシュが良さそう」「日本人より外国人の講師がいい」などとお考えになる方も多いのではないでしょうか。

しかし選ぶ基準・ポイントにしていただきたいのは以下の3点です。

① 見学は数か所行って比較する
塾・教室によって、雰囲気や先生もさまざまです。今はネットで多くの情報が手に入るので、条件面などからすでに決めている場合もあるかもしれませんが、もし近隣で通えそうなところがほかにもある場合は、ぜひ複数箇所見学をして、そのうえで比較してみましょう。
“行ってみたら印象が違った”“こっちもいいかも”という発見があるかもしれません。お子さんの意見も、ぜひ聞いてあげてください。

②子どもと保護者の英語経験・レベルに合わせる
限られた時間のなかで先生ときちんとコミュニケーションがとれるかどうかがとても大切です。どんなに英語のシャワーを浴びたとしても、子ども側が“先生の話が速すぎる”“難しくて理解できなかった”で終わってしまうと、あまりにもったいなさすぎます。必ず、今のお子さんの英語レベルに合った教室・コースを受講するようにしましょう。

また、塾や教室の方針によっては、保護者側にも英語でのコミュニケーション(会話・書類)を求められる場合があります。宿題が出た場合、楽しく取り組めるレベルかどうか、子どもに質問されたときに保護者がサポートできるかどうか、という点も考えてみましょう。

③お子さんに選択肢を与えてあげる
複数箇所見学に行くと、子ども自身で「ここがいい!」というところが出てくるでしょう。そんなときはお子さんの意見を尊重してあげましょう。英語だけでなく、他のことでもいえることですが、自分で選んで決めるということもまた大切です。その後、継続するモチベーションにもつながります。保護者が良いと思った施設や先生・講師の方と、お子さんの相性が必ずしもベストかどうかはわかりません。子どもが安心して楽しく英語を学んでいける環境は、保護者の考えだけでなく、子どもといっしょにさがしてみましょう。


ここまで、お子さんが英語を好きになるために保護者の方ができることをお伝えしました。この夏休みをキッカケに、親子で楽しみながら英語に触れてみてはいかがでしょうか。お子さんが小さい時に親子で英語を楽しんだ経験は、きっと将来の英語好きにつながると思います。

この記事の監修・執筆者

玉川大学・玉川大学院名誉教授 佐藤 久美子

津田塾大学学芸学部卒、同大学院文学研究科博士課程修了。ロンドン大学大学院博士課程留学。言語心理学、英語教育専攻。長年に渡り、子どもの言語獲得・言語発達の過程、母子相互作用の影響などの研究に取り組み、その科学的なデータに基づく英語教育の指導法・教材開発を推進している。NHKラジオ「基礎英語」講師、NHKEテレ「えいごであそぼ」の総合指導をはじめ、『新レインボー小学英語辞典(小学生向辞典・事典) 』(Gakken)、『イラスト図解 小学校英語の教え方25のルール』(講談社)など、監修した書籍、著書多数。

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