子どもの言葉をぐんぐん引き出す! 言葉を育てる親子あそび

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子どもの言葉を育てていくには、どうしたらよいか、お悩みのママパパは多いのではないでしょうか。
子どもは、遊びを通じて「やりたい!」という気持ちとともに、言葉の世界に足を踏み出していきます。
今回は、楽しく言葉を育てる遊びをたくさん紹介していきます。
言語聴覚士であり、『子どもとのコミュニケーションがどんどん増える! 0~4歳 ことばをひきだす親子あそび』の著者である寺田奈々先生にお話をうかがいました。

お話/言語聴覚士 寺田奈々
イラスト/みさきゆい

目次

奈々先生オススメ! 言葉を育てる親子あそび 6選

◆2~3歳児向け① 「お届けものです!」配達屋さんごっこ

遊び方

「ティッシュをお願い!」「リモコンを置いてきてね」「向こうのお部屋にいるパパに“ごはんだよ”って伝えてきてくれる?」など、ものの配達や伝言をお願いしてみましょう!

ポイント

★運ぶものが変わることで、いろいろな言葉を使うチャンスが増えていきます。楽しく、繰り返し遊びにつき合ってあげましょう。

★「もの」の配達から始め、慣れてきたら「伝言」にステップアップしてもよいでしょう。無理なく難易度を上げることができますよ。

★道具を使ってごっこ遊び風にすると、より楽しく遊べます。たとえば、おぼんの上にものをのせたり、手押し車やかごを使って運んだり…。届けられたら、カードや伝票にスタンプを押すなどのごほうびがあると、より盛り上がります。

《2~3歳児には、こんな遊びがオススメ》

脚力がつき、走ったり、飛び跳ねたりできるようになり、自分の体を動かしたり、移動するのが楽しい時期です。移動など体を動かすことと、言葉あそびを組み合わせてみましょう。

◆2~3歳児向け② 「ごはんをどうぞ」お人形あそび

遊び方

複数のお人形やぬいぐるみで遊びながら、「○○くんが△△したね」「□□ちゃんが××してるよ」などと、おしゃべりをしてみましょう。

ポイント

★お人形あそびはいろいろな文作りの経験を積むのにとても効果的。
 たとえば、電車のおもちゃでは「走る」「止まる」などに動詞が限定されがちですが、人形なら、「ごはんを食べる」「お風呂に入る」「お布団に入る」など、身近な生活でのさまざまな表現をあそびの中で再現することができるからです。

★繰り返しの中で、ものや人物を変えて遊んでみると、さりげなく言葉の練習に結びついていきますよ。

★「このほうがかっこいいよ」「こう言うんだよ」などのように、決まったセリフばかり言わせてしまうのは避けましょう。話しかけすぎに注意し、お子さんが話すのを待つことも大切です。

◆3~4歳児向け① 「○○なもの、な~んだ?」なぞなぞ

遊び方

お子さんが出題する側になってもらい遊びます。
【例】
子「かぶるもの、な~んだ」
親「ぼうし!」

ポイント

★なぞなぞを出題するには、想像する力、それを説明する力が求められます。まずは、ママやパパがお手本を見せ、慣れてきたら交代しましょう。

★日ごろのやりとりでは「やる!」「する!」で通じるので、「食べたい」「遊びたい」など、動詞を省略してしまいがち。そのため、実は「動きのことば(動詞)」を苦手とする子が多い傾向に。「洋服は?」「着る!」など動詞を使ったなぞなぞにも挑戦してみましょう。

◆3~4歳児向け② 「○○みたいな形!」たとえあそび

遊び方

たまたま見つけたものを、ほかのものにたとえてお話してみましょう。
例えば、公園で拾った葉っぱを「おばけみたいな形だね」お散歩で見つけた雲を「きょうりゅうみたいな形してるね」など。
お子さんといっしょに想像を広げてみましょう。

ポイント

★「あの雲、ママはりんごみたいに見えるな~」「パパは車に見えるよ」など、お手本を示しながら、遊びを始めましょう。

★ものをなにかにたとえる発想力は、小学校で学習する“比喩”にもつながります。イメージを広げながらさまざまな言葉に触れてみましょう。

《3~4歳にはこんな遊びがオススメ》

イメージする力を養い、そのイメージしたものを説明する力を育んでいきたい時期。なぞなぞや、「○○みたい」と想像する遊びを通して、さまざまな言葉に触れてみましょう。

◆4~5歳児向け① しりとり

遊び方

言葉の音を分解して、「最後の音」だけを取り出し、その音から始まる言葉を考える「しりとり」。いたってシンプルな遊びに思えますが、実は、頭の中では音を操作する複雑なプロセスがあります。始めは、ルールどおりにならなくても、しりとりっぽくなればOK。気軽に挑戦してみましょう。

ポイント

★相手と交互に話すため、コミュニケーション能力のUPにもつながります。

★音を意識するようになると、不明瞭で言い間違いが多かったことばが、少しずつはっきりしてきます。そして、読み書きを学ぶための大切な準備にもつながっていきますよ。

◆4~5歳児向け② 写真や動画を見て、思い出おしゃべり

遊び方

お出かけ先などで撮った動画や写真を見返しながら、おしゃべりしてみましょう。
「これはお店で風船をもらったね」
「公園でブランコしたね」

など、いっしょに思い出を見返して、できごとを説明します。

ポイント

★親が先回りして理解してしまうため、お子さんが説明する経験を十分に積むチャンスを奪ってしまっていることがあるかも!? 写真や動画で振り返って、意識的に思い出を話す時間をとってみましょう。

《4~5歳にはこんな遊びがオススメ》

過去の経験や将来の予定、自分が経験していないエピソードなど、目の前にないものについて説明したり、詳しくものごとに注目できるようになる時期。これらの力は、学習能力にもつながる力です。きっかけがないと説明が難しいため、はじめは目の前に手がかりとなるものを用意して会話を広げるとよいでしょう。

言葉を引き出すための、親が意識したい3つのポイント

【その1】親も子も、同じものに注目してから

コミュニケーションにおいて、相手と同じものに注意を向けている状態にあると、相手にも自分と同じものを見て、伝え合いたいという気持ちが芽生えます。

しかし、幼い子は、まだ、目の前にあることしか話せません。たとえば、親が「見て、電車が来たよ!」と声をかけたときに、子どもが別のものを見ていては、言葉は引き出せません。

幼児期は、同じものを見ていることを確認した上で、会話をすることが大切です。お話しするときは、同じものに注目している状態から、会話を始めてくださいね。

【その2】間違いを指摘せず、“さりげなく”正解を伝える

言葉の間違いを「違うよ!」と指摘するのはNG。言葉の発達に必要なのは、トライ&エラーをたくさん経験し、言語を獲得していくことです。間違いに神経質になりすぎず、自由なお話を楽しむことを大切にしましょう。

子「お散歩  行く!」
親「お散歩  行こうね」

このように、さりげなく正しい言葉に直すようにしましょう。そうすれば子どもの気持ちを萎縮させず、会話の流れを邪魔せず、正しい音を子どもの耳に届けることができます。

【その3】質問攻めには注意!

大人が考えた質問は、実は子どもが本当は話したいと思っていることとずれていることがあるかもしれません。話題を広げてあげたいという気持ちはわかりますが、質問は少し控え気味に。

たとえば、
子「ねえねえ、きょう、これ作ったんだよ」
親「だれ先生に教えてもらったの?」「友だちはどんなの作ってた?」
などと質問攻めしてしまうと、子どもが本当に話したかったこととズレてしまうかもしれません。

「そうなんだ、作ったんだね」などと、お子さんが言ったことを、そのまままねし、お子さんが話し出すのを少し待ってみましょう。

奈々先生からのメッセージ

言葉を育てるために一番大切なのが、お子さんの“やりたい!”という気持ち。自分が一番好きなこと、興味があることが「言葉」を伸ばす一番のきっかけです。大人にとってはささいなことかもしれませんが、そこは否定せずに見守ってあげてくださいね。

また、間違った言葉の使い方をしていると、どうしても直したくなってしまいますが、「間違える」ということは、言葉を獲得し始めたサイン。間違えた数だけ、トライしたのだと捉えると、気持ちが楽になりますよ。それに、どうしてこんな間違いをしたんだろうと、その背景をよくよく分析してみるのもおもしろいものです。親子で楽しみながら、言葉を育んでいってくださいね。

この記事の監修・執筆者

「ことばの相談室ことり」主宰/言語聴覚士 寺田 奈々

総合病院、プライベートのクリニック、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務し、年間100症例以上のことばの相談・支援に携わる。臨床のかたわら、「おうち療育」を合言葉にコトリドリルシリーズを製作・販売。専門は、お子さんのことばの発達全般・吃音・発音指導・学習面のサポート・失語症・大人の発音矯正。

ことばの相談室ことりHP
https://stkotori.com/

Instagram
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