「アクティブラーニング」ってどういうこと? 子どもの「考える力」や「主体性」を伸ばす一つの方法

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「アクティブラーニング」ってどういうこと? 子どもの「考える力」や「主体性」を伸ばす一つの方法

これからの時代を生きていく子どもたちに、大事な力といわれているのが、「考える力」や「主体性」です。自ら能動的に取り組む姿勢を育てるために、「アクティブラーニング」という学びの方法の一つも注目されています。

今回は、「アクティブラーニング」とはどういった学びなのかも含めて、子どもの「考える力」や「主体性」を育むためのポイントを、千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生に伺いました。

目次

これからの子どもに必要な「考える力」や「主体性」とは?

「考える力」や「主体性」は目に見えにくいため、育っているかどうかが判断できず、

戸惑っている方も多いでしょう。

大人は、目に見えるものにとらわれがちです。例えば、ひらがなが書ける、なわとびが跳べるといった、「○○ができること」は目に見えて成長がわかるため、「その力がついた!」と判断し、喜びます。

一方、目には見えない、数値では計れないけれど、子どもが将来生きていく上で大切な力が、「考える力」や「主体性」などの「非認知能力」であり、クローズアップされ続けています。

他にも、思いやりや集中力、粘り強さなど、どれも大事な力ですが、数値では計れませんね。子どもの言動などから、以前よりそうした力がついてきたかな、と感じ取るしかありません。少し難しいかもしれませんが、一番身近なママパパがこうした成長を感じ取れるよう、注意して関わってあげてください。

「アクティブラーニング」とは、能動的に学ぶ方法。幼児期は遊びを通して

これからの時代、子どもたちが自分の人生を自分の力で歩んでいくためには、言われたことをそのままやる、といった受け身な態度では困ります自ら主体的に取り組む必要があります。

子どもの「主体性」とは、「自分で考え、自分で行動し、自分で責任を取ること(人のせいにしない)」です。

学びでも、与えられた知識をただ覚えるだけの学習は、あまり必要とされなくなっています。インターネットなどが普及し、情報化が進んだ社会では、パソコンがあれば答えがすぐわかります。AIなど人工知能が発達すれば、「知識を覚えて必要なときに提示する」だけの仕事なら、コンピュータ任せにできてしまうのです。

これからは、ただ知識を得るだけではなく、自分で考え、判断していくことが求められます。

それを学ぶための一つの方法が「アクティブラーニング」です。

「アクティブラーニング」は、学習者が能動的に学ぶ学習方法で、子どもが自ら考えたり、友だちと相談したりしながら、問題に取り組んでいくことです。

乳幼児期は、遊びを通して体験から学びます。遊びに能動的に取り組み、人と関わり、より楽しくするために工夫することが求められます。

たとえば、新聞紙があったとします。それで何ができるか、手でひねったり、丸めたり、振ったりしながら考えます。試行錯誤しながら、発見していく過程が学びです。新聞紙をねじってリングにすれば、輪投げもできるし、車のハンドルに見立てて運転ごっこもできるでしょう。

家庭でできる、子どもの「考える力」を伸ばす方法

子どもの「考える力」「主体性」を伸ばすために、ママパパができる方法を紹介します。

0・1歳児:愛情を言葉とスキンシップでたっぷり

自己肯定感を高める!

「赤ちゃんだから、どうせわからない」と思わないでください。この時期から愛情をたくさん注ぎ、「自分は大切な存在だ!」と実感できることが、自己肯定感を高めます。言葉にして「大好き」と言ったり、抱きしめてスキンシップを図ったりすることも大事です。

おもちゃや絵本などを自分で選ぶ!

常に親がおもちゃや絵本を与えるのではなく、「どれがいいかな?」と言って、2~3つの中から選ばせるとよいでしょう。自分で考え、判断するきっかけになり、自分の考えが尊重されることも感じ取れます。

2・3歳児:言葉のシャワー&できることは自分でする

言葉のシャワーをかけましょう!

どんなことを言えばいいのかわからないときには、子どものしていること(遊びでも食事や着替えなどでも)を実況中継のように話してみましょう。自分の行動をママパパが言葉にしてくれることで、行動と言葉がつながったり、認められていると実感できたりします。

自分でできることは自分で!

いろいろできるようになってくる頃です。トイレや食事、着替え、歯みがきなど、子どもができそうなことは、できるだけ挑戦させてみましょう。時間がかかることも多いでしょうが、自分ですることで、有能感を育むことにつながります。最後までできなくても、できたところについては、しっかりほめてあげましょう。

※有能感とは、「自分には能力があるぞ」感じること。「今はできなくても、少し大きくなったらきっとできるぞ」という、自分を信じる気持ちです。「どうせぼくなんか…何をやってもダメなんだ」などといった思いと対極にあるものです。

4・5歳児:自分で選ぶ経験&時間を意識した生活を

自分で選ぶ経験を増やす!

洋服を選ぶ、食事のメニューを決める、お手伝いに挑戦するなど、どれ(何)にするか、どうするかを、自分で選んで実行する機会を増やしましょう。

時間を意識する!

時計を示して「長い針が6になったら、お風呂に入ろうね」といった感じで声をかけます。今していることと、次にする行動の見通しを立てられるようになります。子どもも急に遊びを中断されてとまどうこともなく、親子ともにストレスが軽減されます。

小学校での学びにつながる、「絵本の読み聞かせ」と「寝る前のお話タイム」

年長さんの場合、小学校入学後に、「ちゃんと勉強についていけるかしら?」と心配される方も多いでしょう。入学後の学びにつながる、以下のような方法がおすすめです。

絵本の読み聞かせ

想像力を育むことにつながり、言葉をインプットすることができます。また、親が「子どもと一緒に絵本の世界を旅して、ともに楽しむこと」は、重要な体験になります。「親との濃密な時間」が十分にある子どもは、自分から進んで絵本を読むようにもなります。

寝る前に、今日の楽しかったことを話す!

寝る前のゆったりとした時間に「今日楽しかったこと、お話して!」と言って、子どもと一緒に1日を振り返ってみましょう。楽しいと思ったことを言葉にして表現することで、話す力や語彙(ごい)も増えていきます。

子どもが自分で考えるチャンスを、親が奪わない

親は、子どものためにと、つい先回りをしてしまうことがあるかもしれません。でも、それが子どもの考えるチャンスを奪ってしまうことも。

できるだけ親が決めずに、子どもに判断させる機会を設けるようにしてみてください。

「こんなとき、○○(子どもの名前)なら、どうする?」と、ゲームのように楽しみながら行うとよいでしょう。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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