【これからの時代に必要とされる「インクルーシブ教育」とは?】目的やメリットを知って子どもの世界を広げよう 

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【これからの時代に必要とされる「インクルーシブ教育」とは?】目的やメリットを知って子どもの世界を広げよう 

現代社会では、これまで以上に多様性を表現することや大切にすることが求められています。今後、そのような社会で生活する子どもたちにとって重要なものとして注目されているのが、インクルーシブ教育です。

今回は、そもそもインクルーシブ教育とはなんなのか、なぜここまで注目されているのかを解説していきます。

文/マムズラボ

目次

インクルーシブ教育とは?

インクルーシブとは、英語の「inclusive」、訳すと「包括的な」「いろいろなものを含んだ」という意味のことばです。 

つまりインクルーシブ教育とは、国籍・人種・言語・性差・経済状況・宗教・障害の有無などにかかわらず、「すべての子どもが共に学び合う」教育のことを指します。 

今回は主に、子どもにとっていちばん身近な社会である学校でのインクルーシブ教育について考えていきます。 

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インクルーシブ教育の目的

SDGs「持続可能な開発目標」ということばを最近よく耳にしますが、実はインクルーシブ教育もこのSDGsの一環です。SDGsの理念を示した文章の前文にある、「すべての国と人びとが協力しあうこと」「だれひとり取り残さないこと」をかなえることがインクルーシブ教育の大きな目的であるといえます。 

では、具体的にはどのようなことをめざしているのでしょうか。

共生社会を形成することをめざす

現代は、多様性が大切だとされる世の中です。さまざまな点で自分と違う人たちと共生していくためには、物事に対しての先入観や、これはこうあるべきだという決めつけなどが染みついていない時期からの学びや環境が大切であるといえます。

全員参加型の社会を形成するために、できるだけ早い時期からのインクルーシブ教育が必要なのです。 

みんなが同じ場所で学び合うことをめざす

説明したようなインクルーシブ教育と聞くと、障害や性別、国籍の違いなどが思い浮かびやすいかもしれません。しかし、そういった違いでなくとも、得意・不得意の差、好き嫌いの差、性格の違いなど、同じ教室にいる一人ひとりに違いがあるのは当然です。 

学校は、塾や習い事などとは違い、似たような目的を持った子どもたちが集まる場所ではありません。字を読むのが苦手、計算が遅い、運動が苦手などの理由で学習についていけない場合もあれば、逆に自分の能力より低いレベルでの学習を強いられる場合もあります。 

そのような違いを持つ子どもたちをレベルごとに振り分けるのでなく、同じ場所で学ぶからこそ感じられることがあるでしょう。自分と違う人たちと関わり、同じ場で学ぶことで、インクルーシブの精神を学ぶことが重要なのです。 

学びやすい環境を整えることをめざす

インクルーシブ教育を経て、道具や環境などを工夫しながらいっしょに学びやすい環境をつくっていこうという気持ちが育ちやすくなります。 

身近な例だと、近視の子どもが眼鏡をかけたり、黒板に近い席に座ったりして勉強しやすくしますよね。読み書きが苦手な子が音声で読み上げる支援機器を使ったり、体育のスポーツのルールを体に不自由がある子どもも参加できるように変更したり、教師だけでなく子どもたちもいっしょに環境づくりについて考える姿勢をめざします。 

インクルーシブ教育のメリット

インクルーシブ教育には、さまざまなメリットがあります。詳しく解説していきます。 

お互いの違いを知る機会になる

相手をよく知らない、または知ろうとしなければ、自分の主観のみで物事をとらえ、偏った思考になる可能性があります。しかし、相手を知ることで理解が深まり、多方面から物事をとらえられるようになります。 

自分と違う体や考えなどがあることを知っておくだけでも視野が広がるため、さまざまな違いを持つ子どもが同じ環境にいることはかなり有意義であるといえるでしょう。

お互いを尊重する心・思いやりの気持ちが芽生えるようになる

自分や相手の得意・不得意などの特徴を知ることで、お互いに不足している部分を補い合う精神が自然に身につきます。たとえば、学校生活において、力のある子が重い荷物を持つ、足が遅い子は速い子と同じチームにしてバランスを取るなど、全員が楽しむためや偏った負担を失くすためにはどのような工夫をしたらよいか考えますよね。 

インクルーシブ教育をしていく中で、自分が誰かを助ける、または助けられるという経験がふえ、助け合いの心が育っていきます。

多様性を体感的に学べる

これまでの教育にも道徳や総合的な学習で、個人の違いや助け合いについて学ぶ時間は設けられていました。 

しかし、インクルーシブ教育を行うことで理屈や知識としてだけでなく、上記のような機会を学校生活の中で何度も経験できます。クラスメイトが支援機器を使っている理由を理解したり、誰かが困っていることに対してクラスで解決策を考えたりと、経験値として学びになるのです。

インクルーシブ教育を理解し、身近なものとしてとらえよう

インクルーシブ教育ということばになじみがないかもしれませんが、それほど難しい問題ではありません。わが子が学校だけでなく、保育所・幼稚園などでさまざまな違いを持つ子どもがいることに気づいて関わりを持てているなら、その環境の中での成長を見守っていきましょう。 

また、子どもにとっては家庭内の環境が世の中の基準となります。家族間でも、お互いの得意・不得意や特徴をあらためて伝え合うことで、共生社会を学ぶチャンスになります。家族みんなで家族の個性や得意なことなどを話し合ってみてはいかがでしょうか?

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