【1学期に友達ができなかった】友だちがいたほうが良いという考えは大人の固定観念

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【1学期に友達ができなかった】友だちがいたほうが良いという考えは大人の固定観念

入学時、多くのママパパが気にすることの1つに、子どもの友だち関係があります。
夏休みまでに仲のよい友だちができず、「いじめられないか」などと、心配されている方もいるかもしれません。
今回は、子どもの「友だち関係」について現役小学校教諭の舟山由美子先生にお話を伺いました。

目次

友だちが「できる」時期は人それぞれ

まず、友だちができないと心配されているママパパには、「友だちは作るものではなく、できるもの」であって、大人が考える世界と子どもの世界とでは違うことがある、と考えていただければと思います。

友だちがいたほうがいいという考えは、この時期の子どもにとって、大人の固定観念の押しつけになることもあります。もちろん、友だちはいたほうが良いのですが、「しかるべき時期」が来ないと友だちはできないように思います。また、その時期は、子どもによっても違います。

それがいつごろかというと、「自分が自分である」という自我が芽生え、「自分」と「他者」を区別して考えられるようになる時期と言えばいいでしょうか。1年生でも、まるで自分のことしか目に入らない子もたまにいます。そういう子は、友だちという存在がまだあまり必要ではないため、「友だちを作りなさい」といったところで時期尚早です。今はゆっくりと見守る時期だと考えるとよいと思います。
1学期は、学校生活に慣れるのに精一杯な子もいたでしょう。子どもは夏休み明けにまた新たな成長の時期に入ります。まずは夏休みを存分に味わわせてください。

関連記事:【仲良しがいないけど大丈夫⁉】学校でひとりでいることが好きな子どもへの接し方とは

1年生の場合「いじめ」より「意地悪」のケースが多い

子どもの友だち関係で、親にとってもっとも心配なのが「いじめ」の問題でしょう。
「いじめ」には厳密な定義があり、文部科学省のホームページでも確認することができます。

でも私は「いじめ」と「意地悪」を区別して考えた方がいいと思っています。もちろん、1年生でいじめがないとは言いませんが、多くのトラブルは「意地悪」からです。意地悪な気持ちというのは、どんな人間にもある感情です。大人ですら持て余すこの感情を、1年生の子がコントロールできないことは当然あるでしょう。しかし、子どもは純粋です。きちんと話せば「悪かった」と思う気持ちになることも多いのです。

我が子が泣いて帰ってくると、「いじめられた!」と思ってしまいますが、一度落ち着く意味も込めて「意地悪されちゃったか…」とつぶやいて、さてどうするか、と考えた方がよいと思います。なぜそうなったのかを子どもに聞いたり、担任の先生と確認したりして、問題を大きくしない方向で考えてみてください。「意地悪」から「いじめ」に発展しないうちに解決するようにしていきましょう。

集団生活だからこそ、トラブルの解決法を学ぶ

とはいえ、いじめに限らず、人と人がかかわり合う以上、友だち関係で何かしらのトラブルが起きる可能性はゼロではありません。
私たち大人は、トラブルがない状態がよいと思ってしまいます。特にわが子には悲しい思いをさせたくないし、苦しい体験はかわいそう、と思うのが親心でしょう。けれども、トラブルや行き違いが起きたとき、どのように解決し、折り合いをつけるかを学ぶことに、集団生活を送る意味があるのだと私は思います。親の心配は尽きませんが、まだ起きていないことを思い悩まずにどんと構えていきたいものです。

夏休みの友だち関係、ここに注意

夏休み中、友だち同士でのトラブルでよく耳にするものの1つは、お金の貸し借りの問題です。「わが子にはお金を持たせないから大丈夫」とは言いきれません。さまざまな事情でそういう家庭ばかりではないからです。

物をもらった、借りたという物品に関わるトラブルも多く起こります。日頃から子どもの様子をよく見ていて、見慣れないものを持っていたり、帰宅してご飯を食べないなど、いつもと違う様子が見られたら注意が必要です。また、よそのお宅に行ったら、どんなものをいただいたのか、をしっかり話せるように伝えておくことが大事ですし、必ずお礼の連絡を入れるなど、親としての「大人の対応」も必要です。

また、帰宅時間が遅くなり、保護者が心配するというケースも長い休みにはよく聞かれます。ほとんどの学校では、子どもだけで家電量販店や大型店舗などの商業施設に行ったり、自転車で出かけたり、お金の貸し借りやおごったりすることは、「夏休みのきまり」で禁止事項にしています。そして保護者会で周知徹底をはかったり、夏休み前の児童集会でも生活指導から何度も念を押して話しますが、それでもトラブルが起きることはあります。

1年生はまだそうでもありませんが、上の学年になるに従って、大きな問題も起きやすくなります。そうした意味でも、1年生のうちから、こうしたことをご家庭でもしっかりと言っておくことが大事だと思います。

まずは家庭でのきまりごと、つまり遊びに行くときは、どこに、誰と、何時まで、というのをしっかり言わせて、守らせるようにすることが大切です。このあたりがしっかりしていると、トラブルはかなり避けらると思います。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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