みなさんは民主主義の社会に暮らしています。
民主主義とは、みんなに関わることはみんなで決めるということです。
民主主義の社会に暮らす私たちは、自由な選挙を通じて、自分との考え方の近い候補者や政党に投票することができます。
現在の日本の何が問題であり、何が必要なのかをぜひ考えてみてください。
そんなあなたはきっと、民主主義の良き一員になれるはずです。
自分たちのことを自分たちで決めていく、そのような経験がきっとあなたを待っています。
※『選挙、誰に入れる? ちょっとでも良い未来を「選ぶ」ために知っておきたいこと』(Gakken)より、一部内容を抜粋・編集してご紹介します。
選挙に行くのは何のため?

日本では、政治の決定権は国民にあります。これを「国民主権」と言います。
しかし、国民全員で話し合うのは難しいので、私たち国民の代表者が政治を行います。
その“私たちの代表者”を選ぶのが「選挙」です。
政治をちょっとでも良くするために選挙がある。

日本の政治は、立法権をもつ国会、行政権をもつ内閣、司法権をもつ裁判所の、3つの機関を中心に行われています。
国政選挙の場合、私たちは国会議員を選び、そして、国会で定めた法律に基づいて内閣や裁判所が動きます。
つまり、政治を形づくるのが選挙であるといえるでしょう。このしくみは、地方選挙でも同じです。
このように、選挙は、政治を自分たちの手でつくり、そして、政治をちょっとでも良くつくり変えていくためにあるのです。
そもそも、政治って何?

私たちはみな、多かれ少なかれ税金を納めています。
また、大人は、医療保険や年金保険などにかかる社会保険料というお金も納めています。
これらのお金は、社会保障を含む公共サービスの提供などに使われます。
その使いみちは、国民の代表者である国会議員が話し合いをして決めています。
政治とは、簡単に言うと「みんなが納めたお金をどのように使ったら、みんなが豊かに暮らせるか」を考えることです。
政治とは、お金の使い方を決めること。

つまり、選挙に行くことは、「お金をこう使ってほしい」「こういう使い方はしてほしくない」などと注文をつけることだといえるでしょう。
政治とは、お金の使い方を決めること。この原則をおさえておけば、政治がぐっと身近なものに思えてきませんか?
日本の選挙のしくみを教えて!

日本では、衆議院と参議院で、選挙の仕組みが異なります。
衆議院

衆議院議員選挙では、小選挙区制と、全国を11のブロックに分けた比例代表制が採用されています。候補者は両方に立候補できます。
参議院

参議院議員選挙では、1つまたは2つの都道府県の単位で代表者を選ぶ選挙区制と、全国をひとつの単位とした比例代表制を同時に行います。
日本の投票制度の工夫
日本には、投票日前にも投票できる「期日前投票制度」や、選挙期間中に仕事や入院などで指定地域以外にいる人が滞在先や郵便などで投票できる「不在者投票」などがあります。
こうした制度によって、選挙に参加できない人をなるべく減らす工夫をしています。
若者の投票が社会を変える?

現在、若者(10代、20代、30代)の投票率が低い状況が続いています。
これは深刻な問題です。なぜなら、政治家は選挙で投票してくれる人を見て、政策を決めるからです。
若者が投票に行かないと、政治家は高齢者向けの政策を優先しがちになるでしょう。すると、若い世代・現役世代への支援や未来の社会への投資が後回しにされ、将来に向けた計画や改革が滞りがちになるかもしれません。
投票は「若者も政治に無関心ではない」というメッセージになる。
しかし、若者の投票率が上がると、政治家たちも若者の声を無視できなくなります。投票率アップは、「若者も政治に無関心ではない」という強いメッセージにつながります。
たとえ自分の選択に自信がなくても、選挙に行って投票するという行動そのものが、日本の社会を変える力になるのです。
日本の選挙権年齢と被選挙権年齢は?

日本では、2016年から公職選挙法が改正され、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。
この引き下げによって、若い世代が積極的に政治に参加することが期待されています。
被選挙権も、一定の年齢以上のすべての国民に認められています。
被選挙権年齢の引き下げ
日本で25歳以上の国民に被選挙権(選挙に立候補する権利)が与えられたのは、第二次世界大戦後の1945年です。(※参議院議員、都道府県知事は30歳以上)
それ以降、被選挙権年齢は変わっていません。
現職の国会議員は40~60代が多く、なかには80代の人もいます。高齢になってもくり返し立候補して当選する人もいるため、世代交代が進みません。
地方議員も高齢化が進み、人口が減少していることなどから議員のなり手が減っています。
そのような状況に対して、「18歳から選挙権があるのだから、被選挙権年齢も引き下げよう」「被選挙権年齢を下げて、若者の意見を政治にもっと反映させるべき」という声もあります。
まず必要なのは、世界と日本の現状を知ること

現代の世界は大きく変わりつつあります。
かつては、すべての国が早かれ遅かれ、いつかは民主化するという期待もありました。それに対して今ではどうでしょうか。
世界を見ても、目立つのは独裁的指導者たちです。いわゆる先進民主主義国と呼ばれる国々においても、「ポピュリスト」と呼ばれる政治家が増えています。
民主主義はゆきづまってしまったのでしょうか。
その間、新型コロナウイルスの感染拡大、ロシア・ウクライナ戦争に続き、現在では中東でイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が続いています。気候変動問題をはじめとして、各国が協力しながら取り組まなければならない問題が山積しているにもかかわらず、世界は対立に満ち満ちています。
これからのグローバルな秩序はどうなってしまうのでしょうか。多くの皆さんが不安に感じているはずです。このように世界の未来は見通しにくくなり、不確実性が増しています。
だからと言って、私たちには何もできないのでしょうか。そうではないはずです。
まず必要なのは世界と日本の現状を知ることです。そのためには、さまざまな問題や課題について、正確な情報を得ることが大切です。

定価 1,760円 (税込)
そのためにこそ、この本があります。本書を読んでいけば、私たちは多くの問題に直面しているけれど、それらが決して解決不能ではないことがわかるはずです。
未来に向けての勇気を持つために、一緒に考えていきましょう。
選挙、誰に入れる? ちょっとでも良い未来を「選ぶ」ために知っておきたいこと
この本は、税金、社会保障、給与、エネルギー、多様性、選挙のあり方など、ちょっとでも良い未来を「選ぶ」ために知っておいてほしい様々なテーマを、豊富なデータと図解でわかりやすく解説しています。
各章では、政治のさまざまなテーマについて、データを用いて世界と日本を比較しています。日本の政治をグローバルな視点で見つめられるので、政治について多角的に考える力を養うことができます。
各章の内容は下記のとおりです。
1章 「暮らし」を考える(税金、社会保障、少子高齢化など)
2章 「働き方と経済」を考える(給与、働き方、貧困など)
3章 「多様性と人権」を考える(選択的夫婦別姓、死刑制度、同性婚など)
4章 「環境問題」を考える(エネルギー問題、原発、海洋プラスチックなど)
5章 「政治のしくみ」を考える(民主主義、投票率、政党など)



この記事の監修・執筆者
1967年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、同大学院法学政治学研究科で博士号を取得、千葉大学をへて、現在は東京大学社会科学研究所で教育・研究にあたっている。その間に客員研究員としてフランスやアメリカにも滞在した。今は民主主義の政治思想史の研究を進める一方で、岩手県の釜石市や島根県の海士町などで地域調査を行い、地域の民主主義を考え続けている。朝日新聞や東京新聞をはじめ、いろいろな新聞に定期寄稿していることでも知られる。『選挙、誰に入れる?』(Gakken)が発売中。
こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪