お正月に子どもがもらったお年玉、どうしていますか? 「子どもマネー総合研究会」会長の豊田眞弓先生に、お年玉を通した子どもへの「お金の教育」のしかたについてお話をうかがいました。
文/こそだてまっぷ編集部
お年玉をいただいた際のマナーを子どもに伝える
お年玉をいただいたら、まず、本人が相手の目を見て「ありがとうございます」とお礼を言うように事前に話しておきましょう。いただいたその場で促してもよいでしょう。保護者自身も丁寧にお礼を述べ、その姿を子どもに見せることも重要です。礼儀作法という意味もありますが、子どもが「お金はとても大切なもの」という意識を持つためにも、感謝の気持ちを十分に伝えることが大切です。
場合にもよりますが、お年玉をいただいたら、お返しをする習慣があることも教えるとよいでしょう。たとえば、「おじいちゃんにお年玉をいただいたから、この中から〇円をとっておいて、今度のおじいちゃんの誕生日にプレゼントを買ってお返しをしようね」といった言葉をかけ、お返しをすることや人のためにお金を使うことを伝えていきましょう。
お年玉を全額子どもに渡してもいいの?
子どもが親戚などからもらうお年玉は、保護者もありがたいと感じますね。でも、複数の方からいただいて金額がまとまってくると、その対処に悩んでしまうこともあります。お年玉は、普段子どもに与えているおこづかいとは桁が違うことも多いので、注意が必要です。
多額のお年玉をもらうと「これは、全部自分が自由に使えるお金だ。これで欲しいものを買える!」と浮かれてしまう子どももいます。まだお金のことを理解していない小学生に、お年玉を全額渡して自由に使わせるのは考えものです。必ず保護者がかかわって、「お年玉をどのように使うのがよいのか」を子どもとよく話し合いましょう。子どもがお金について学べる絶好の機会として活用することができます。
この後に紹介するのは、お年玉の使い方や管理の提案です。お子さんとの話し合いの際の参考にしてください。
子どもの夢をかなえるための資金に
いただいたお年玉は、将来、子どもの夢をかなえるために使う。そのために何割かを貯金するというのはいかがでしょう。
まずは、子どもとよく話し合ったうえで、いただいたお年玉の総額の2~3割程度を手元に残し、それ以外の金額を子ども名義の口座を作って入金します。このとき大切なのは、子どもが「親にお金を取られた」と誤解しないように十分に説明をすることです。「あなたの口座に入れたお金は、将来、あなたに夢ができたとき、それをかなえるための資金にしようね」などときちんと説明しておきましょう。
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お年玉を12分割して毎月のおこづかいに
将来の夢のための貯金を除いて、手元に残した2~3割のお年玉についても、その使い道を子どもと話し合いましょう。
使い道の例として、それを12分割して、1年間、毎月のおこづかいとして渡すという方法があります。たとえば、もらったお年玉の総額が2万円だったとしたら、手元に3割の6000円を残し、1万4000円を夢をかなえる資金として本人の口座に入金します。手元の6000円を12回に分けて、1か月500円ずつのおこづかいとして与えるという方法です。
お年玉の総額はその年によって異なると思われますので、総額を見て、子どものライフスタイルも考慮しながらその都度話し合うとよいでしょう。
たとえば、子どもが以前から「天体望遠鏡が欲しい」と願っているなら、お年玉の一部を活用しつつ、保護者がその目標に向け、一定期間である程度の金額を計画的に貯められるようにサポートしてもよいでしょう。
お年玉をいただいたら、手元にお金を残すことの意義を子どもに伝えていきましょう。何かあったときのためにお金を常に手元に残しておく習慣を身につけておくことは大切です。
お金の流れを“見える化”する
金融機関に口座を作って入金する際、できるだけ子どもにその行為を見せるために、店舗がある金融機関なら親子でいっしょに足を運ぶようにしましょう。子どもは、自分名義の口座を確認し、通帳に記された数字を見ることでお金の存在を実感しやすくなります(ネットバンクは紙の通帳がない場合がほとんどですが、ウェブ上の管理画面で確認できます)。
キャッシュレス時代の今、お年玉(お金)の流れを“見える化”することはとても重要です。
さらに子どもが理解できる年齢であれば、そのタイミングで「銀行とはどういうものか」「貯金をすると利子がつく」ことなどを適宜教えるのもよいでしょう。
お年玉をもらうことは、お金について学べるよい機会です。親子でたくさん話をして、子どもにとって学びにもなる使い方をいっしょに考えてみてください。
この記事の監修・執筆者
子育て・教育資金アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。経済誌・経営誌などのライターを経て、1995年より独立系ファイナンシャルプランナーに。個人相談やセミナー講師のほか、書籍・雑誌の執筆や監修などで活動。自身の子育ての中で感じたことなどから、子どもの金銭・金融教育をライフワークとして取り組む。大学や短大で非常勤講師も務める。
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