幼児教育無償化の意外な落とし穴!  ~専門家がお金の活用法をアドバイス

更新日: 公開日:

昨年の10月から幼児教育無償化がスタートしました。実際にスタートしてみると、どんな影響があったのでしょうか? 対象家庭の保護者164人にアンケートで、生の声を聞いてみました。また、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美先生のアドバイスも必見です!

お話:氏家 祥美
イラスト:あね子

目次

幼児教育無償化の意外な落とし穴!  ~専門家がお金の活用法をアドバイス

「変化があった」家庭と「変化がなかった」家庭はほぼ半々

「変化があった」家庭と「変化がなかった」家庭はほぼ半々

「幼児教育無償化で生活に変化がありましたか?」という質問では、「あった」と答えた人は約半数でした。具体的には、

他の兄弟の習い事を増やすことができた

以前よりも食費にお金をかけるようになった

外食が増えた

車を買った

など、「生活に余裕ができた」と実感している人が多いようです。

無償化によってういたお金の使い方について、氏家先生は「現在の生活を変えるだけではなく、今のうちに将来の教育準備をすることも大切」といいます。子どもが中学生以降になると、塾代などでさらに費用がかかるので、貯めるのはどんどん大変になるそう。今の生活を充実させることだけを考えていてはいけないようです。

一方で「なかった」と答えた人は、

無料になった保育料以外に教材費や設備費など、無償化の対象にならない費用も意外とあったから

長男は認可外で無償の対象ではなく、補助もこれまで市からもらっていた額と同額。次男は認可だが、給食費や施設維持費がかかり、私の会社からの補助がうけられなくなった

など、「無償化対象以外の費用がかかる」ことを指摘する意見が多いようです。以前から園にかかるすべての費用が無償化になるわけではないことは報道されていましたが、実費の金額が意外にかさんだり、補助金が減額されたりなどで、ありがたみが半減してしまったのでしょう。

将来大学に行かせたいと思ったら…18歳になるまでに最低300万円を準備

将来大学に行かせたいと思ったら…18歳になるまでに最低300万円を準備


私立大学4年間にかかる学費は平均で約550万円

入学までに300万円を準備しても、残りのお金は250万円。

1年で62.5万円が家計から出ていく計算です。

300万円を18歳までに貯めるのは、どうしたらよいでしょう。

誕生から18歳まで、毎月1万円をためても216万円。まだまだ足りませんね。

そこで、幼児教育無償化をきっかけに、さらに月額2万5000円を貯蓄に回せば、3年で90万円がたまり、300万円をクリアできます。そう考えると、幼児教育無償化は、将来の学費を一気に貯めるチャンスと言えそうです。

アンケートへの回答では?

「幼児教育無償化もいいけれど、保育士問題のほうが心配」という意見も少なくありませんでした。

近所の幼稚園のプレ幼稚園が入りづらくなっている

利用する人が増えて近所の預かり保育が使いづらくなった

もともと激務でお給料も高いとはいえない先生方への影響が気になる

など、幼稚園・保育園への入園希望者が増えたり、預かり保育を利用しやすくなったりしたことで、保育士への負担が増加傾向にあるという側面も。

キャリアフィールド株式会社の調査によると、31.5%が“幼児教育・保育の無償化をきっかけに保育園や幼稚園を利用しようと思った”と回答しています。(「幼保無償化に伴い、幼稚園や保育園などの施設利用が増加」より)

「幼児教育無償化が始まって予想外だったことは?」という質問には、以下の声が多く聞かれました。

・一度費用が引き落とされてから、あとから返されるシステムのため、結局用意しておかないとダメ

・一旦振り込んで数か月後に振り込まれるので、お金の管理がしにくい

・0~2歳児は、保育料も高く、受け入れ先が少ないのに、対象となるのは住民税非課税世帯のみとわかってがっかり

これに対して氏家先生は「後から返金されるシステムは不便で使いづらいかもしれませんが、幼児教育無償化がなかったものとしてお金を貯めようと考えれば便利。返金先を、普段使わない口座に指定しておけばどんどん貯められそうです」とアドバイス。

最初からなかったものとして、振り込まれても、手をつけないでおくのもアイデアですね。

幼児教育無償化で浮いたお金は、将来のたくわえに!

幼児教育無償化で浮いたお金は、将来のたくわえに!

最後に、幼児教育無償化を無駄にしないコツについて、氏家先生にアドバイスをいただきました。

「実際に幼児教育無償化が始まって、“開始前に比べて毎月いくらの支出減になった”という具体的な数字が見えてきた頃だと思います。

毎月決まった日にお金が口座から引き落とされる積み立てなら、手間なくお金が貯められます。最近は銀行の「自動積立定期預金」や、投資信託の利益が非課税になる「つみたてNISA」など、積み立ての方法も多様化しています。幼児教育無償化でできた余裕の半額を貯蓄に回すなど、今の楽しみだけでなく、将来のたくわえも両立させてください」

始まったばかりの「幼児教育無償化」。子育て世代にとってはありがたい制度なので、無駄にならないよう、活用したいものですね。

ファイナンシャルプランナー ハートマネー代表 氏家 祥美
子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持つ。講演活動も積極的に行い、お金だけじゃない「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポート

この記事の監修・執筆者

元デザイナー あね子

2010年生まれのメイ子ちゃん、2014年生まれのマイちゃん、旦那さんと4人家族の主婦。ブログ「いっちょまえ姉妹を育てています」で育児に奮闘する日々を連載中。
HP
http://aneko-ikuji.blog.jp/

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

あわせて読みたい

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

関連記事

この記事の監修・執筆者の記事