【防災の備え】子どもでも食べられる非常食の選び方とは?

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【防災の備え】子どもでも食べられる非常食の選び方とは?

集中豪雨や台風、地震などの自然災害は、いつどこで発生するかわかりません。普段から防災意識を高めるのはもちろん、いざというときのために防災グッズを備えておくと、家族を守ることにもつながります。

今回は自宅避難を想定した場合の、非常食・食品ストックで準備すべき量や選び方をご紹介します。子どもでも食べやすい非常食についてもお伝えしますので、参考にしてみてくださいね。

文/マムズラボ

目次

防災用非常食・食品ストックはどれくらいの量を備えるべき?

防災用非常食・食品ストックはどれくらいの量を備えるべき?

防災グッズのなかでも食料品は不可欠なもののひとつですが、重たかったり、かさばりがちだったりします。いったい、どれくらいの量を準備しておけばよいのでしょうか?

過去の災害時の記録によると、災害発生から電気・水道・ガスなどのライフラインが復旧するまでに、1週間以上かかるケースが多いそうです(※1)。また、災害支援物資が3日以上届かないことや、道路や物流拠点などの被災により物流がとどこおり、スーパーマーケットやコンビニなどで販売されている食料品が不足する状況も、1週間くらいは続く恐れがあるそう(※2)。

自宅避難時のことを考えると、最低でも3日分〜1週間分×人数分の食料品をストックしておくことがオススメです。

農林水産省では家庭備蓄の例として、大人2人が1週間過ごすときに必要な食品ストックの量を以下のリストのように示しています。

●食品ストックや家庭備蓄量の目安リスト

<必需品>
・水2L×6本×4箱(飲料水+調理用水で、1人1日およそ3L程度)
… 飲みなれたお茶や清涼飲料水もあると便利
・カセットコンロ・カセットボンベ×12本(1人1週間およそ6本程度)

<主食(エネルギー・炭水化物)>
・米 2kg×2袋(1人1食75g程度)
・カップ麺類×6個
・乾麺(うどん・そば・そうめん・パスタ)
… そうめん2袋(300g/袋)、パスタ2袋(600g/袋)
・パックごはん×6個
・そのほか(適宜)
… 常温保存可能なLL(ロングライフ)牛乳、シリアルなど

<主菜(たんぱく質)>
・レトルト食品(24個)
・缶詰(肉・魚)18缶

<副菜やそのほか(適宜)>
・日持ちする野菜(タマネギ、じゃがいもなど)
・梅干し、のり、乾燥わかめなど
・野菜ジュース、果汁ジュースなど
・調味料(砂糖、塩、しょうゆ、めんつゆなど)
・フリーズドライ食品(インスタントみそ汁や即席スープなど)
・菓子類(チョコレートやビスケットなど)

子どもの場合は、1人につき大人の1/2~2/3の量を用意するとよいそうです(※3)。子どもの人数により必要な数をそろえておきましょう。

また、家族に赤ちゃんがいる場合は、粉ミルクや月齢に応じた離乳食が必要です。食物アレルギーや慢性疾患のほか、高齢など食事に配慮が必要なかたがいる場合は、年齢やそれぞれの事情に対応した食品を備蓄しておくようにしましょう(※4)。

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防災のための非常食の選び方

防災のための非常食の選び方

スーパーマーケットやホームセンターなどでは防災グッズコーナーが設置されていることがあり、非常食やストック用の食料品も販売されています。また、ネットショップでも防災グッズを購入できるところが多くあります。さまざまな種類が売られていますが、選び方のポイントや栄養面に気をつけて、我が家に合うものを選びましょう

1.非常食の種類で選ぶ

災害に備え、各自治体が備えている食料、飲料水等の主な種類は、乾パン、インスタント麺類、米、缶詰(主食)、缶詰(副食)、飲料水です(※5)。

つまり支援物資が避難所に届くまでのあいだに避難所で支給される食品は、上記のようなものに限られることになり、同じような食感や味の食品を食べることが多くなると考えられます。そのため、家庭ではさまざまな種類の非常食をストックしておくとよさそうです。

パン類ならソフトな口あたりのもの、米なら炊き込みご飯やおかゆ、麺類ならそうめんなども主食としてオススメです。(※6)。魚肉ソーセージも、常温で長期保存しやすく非常食に向いています。また、ようかんスイーツなどの缶詰や、フルーツのシロップ煮の缶詰などの甘いものも重宝します。

昔ながらの保存食として信州などに伝わる「氷もち」や、九州でよく食される干しタケノコ漬け物なども非常食として優れているそうです。

2.長期保存できるものを選ぶ

災害はいつ起きるかわかりません。災害のときは食料品を最優先に確保する必要があるため、できるだけ長期間保存できるものを選んでおくと安心です。また、保存食を用意するだけではなく、ストックしている非常食を日常的に食べ、食べた分を買い足す備蓄方法「ローリングストック」を取り入れることもオススメです(※7)。

ローリングストック

「ローリングストック」では、比較的値段が安く賞味期限が短いレトルト食品なども備蓄品として考えます。ストックしている備蓄品は普段のくらしの中で日付が古いものから消費し、消費した量を必ず買い足すことがポイントです。備蓄品の鮮度を保ちながら、一定数量を確保できるのも強みのひとつです(※7)。

さらに、飲料水、ウエットタオル、カセットボンベ、乾電池、使い捨てカイロなど食料品以外でも応用ができます。必要になってから買い求めるのではなく、普段から一定量を家庭に備えておくことで、突然の事態にも備えられそうですね。

3.食べなれているものを選ぶ

被災したショックや避難生活のストレスから、食欲が低下することもあるかもしれません。また過去に被災した家庭で、備蓄食を子どもが食べなれていないために苦労した経験をもつ保護者もいます。

日ごろから子どもが食べなれているものを備蓄しておき、緊急時でもいつもと同じように食べられるようにすることも大切です。

4.できるだけライフラインを使わずに調理できるものを選ぶ

将来的に発生が予想されている首都直下地震の被害想定では、ライフラインが復旧するための目標日数として、電力は6日、上水道は30日、ガスは55日と想定されています(※8)。

長期にわたって電気、水道、ガスが使用できない状況が続くことを考え、できるだけライフラインを使わずに調理できる食料品をストックしておきましょう。

また、ライフラインが途絶えた状況で食料品を温めたり、お湯を沸かしたりするときは火が必要です。「食品ストックや家庭備蓄量の目安リスト」の<必需品>にもある「カセットコンロ・カセットボンベ×12本(1人1週間およそ6本程度)」を用意するのも、忘れないようにしましょう。

さらに、水不足や上下水道の使用禁止などの事態が起きる可能性もあります。食器が洗えない状況になることを考え、洗い物が少なくて済む食料品を選ぶとより安心ですね。

迷ったらコレ! 子どもでもおいしく食べられる非常食は?

迷ったらコレ! 子どもでもおいしく食べられる非常食は?

子どもは味覚が未発達であることから、苦味、酸味、辛味が苦手で、固いものや噛みにくいものも嫌がると言われています(※9)。つまり苦味、酸味、辛味が少なく、柔らかく食べやすいものが非常食としてオススメです。

1.アルファ米のごはん

炊いたごはんをそのまま急速乾燥した「アルファ米」は、水やお湯を加えるだけで食べることができます。白いごはんのほか、五目ごはんやわかめごはん、チキンライスなど種類も豊富です。鮭、わかめなどの具材を混ぜ込んだおにぎりタイプや、白がゆや具材入りのおかゆもあるので、子どもや家族の年齢に合わせて選ぶことができます

調理器具や食器などを使わず、手も汚さずに食べられるように工夫されている商品もあります。

2.長期保存できるパン

パンを缶詰や袋詰めにしたもので、3年~5年程度の長期保存ができるパンです。子ども向けには口あたりが柔らかく、食べなれたパンに近い食感のものを選ぶのがオススメです。

被災時にはジャムなど味を変えられる食品が確保しにくいため、味が付いていたり具材が混ぜ込んであるものなど、いくつかの種類をそろえておくのがよさそうです。

3.調理済みカレー

子どもが好きなカレーは、非常食としても安心してストックできる食料品のひとつ。ただし、調理済みで常温でも食べられるものや、甘口タイプを選ぶようにしましょう。

非常食によってはご飯とルーがセットになったものもありますが、ルーだけのものに、アルファ米のごはんや長期保存が可能なパンを組み合わせても、おいしく食べられます。

4.汁もの、スープ

温めずにそのまま食べられるレトルトスープや、お湯を注ぐだけで完成するフリーズドライ食品のスープも、保存食に向いています。みそ汁、中華スープ、洋風スープと味もさまざまにそろっているので、子どもの年齢を問わず、なじみのある味や好きな味を見つけられそうです。

5.パスタ

非常食として販売されているパスタのなかには、ゆでるためのお湯が沸かせない環境でも、お湯や水を入れるだけで食べられるタイプのものがあります。普段の食事でもなじみのあるトマト味やコーンクリーム味、カルボナーラなどのほか、きのこなどの具材が入っているものなど種類も豊富です。

短めのパスタを使用しているものが多く、子どもがスプーンで食べることもできるのもうれしいポイントです。

防災用非常食は子どもの目線で選ぼう

防災用非常食は子どもの目線で選ぼう

子どもは、食品の味だけではなく食感やにおいも気になることがあります。防災グッズとしての非常食選びに迷ったら、ぜひ「子どもでもおいしく食べられるもの」という視点で選んでみてくださいね。
子どもの年齢に合わせて食べなれた保存食を選んでおくと、被災時でも食事をとることができるはずです。

【引用】
(※1)農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(1)」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter01.html
(※2)農林水産省「災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう」
https://www.maff.go.jp/kinki/syouhi/mn/iken/attach/pdf/01nendo-1.pdf
(※3)神奈川県山北町「災害時の備え~非常食~」
http://www.town.yamakita.kanagawa.jp/cmsfiles/contents/0000003/3583/jouhou020.pdf
(※4)農林水産省「要配慮者の方がいる世帯の家庭備蓄実践事例」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/jirei.html
(※5)総務省消防庁「平成29年版 消防白書 備蓄物資・備蓄倉庫等の状況」
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h29/chapter1/section6/para2/46056.html
(※6)警視庁「備蓄食料」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/saigai/yakudachi/food/stockpile/index.html
(※7)日本気象協会「ローリングストックについて」
https://tenki.jp/bousai/knowledge/49a23a0.html
(※8)首都直下地震の国の復興対策に関する検討の視点について|内閣府
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/syutohukkou/pdf/sankoshiryo_5.pdf
(※9)NHKエデュケーショナル すくコム「子どもが苦手な食べ物トップ3!アンケート調査結果と専門家の意見まとめ」
https://www.sukusuku.com/contents/57217

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