最近、僕の元にはこんな声がよく届きます。
「何をしてもほどほどに満足ですが、幸せかどうかはわかりません」
「どれだけ休んでも疲労感が残ります」
自分なりに毎日がんばっているはずなのに、なぜか手ごたえがなく、溜まっていくのは疲労と漠然とした不安ばかり。
そんな状況に陥っていませんか?
頭のいい人は、さまざまな場面で、戦略的に休んでいます。
休むのは「技術」。
どんな方法かを知り、実践すればいいだけなんで、難しくありません。
みんな、もっと休みましょう。
ひろゆき
※『僕が忙しい現代人に伝えたい 休む技術』(Gakken)より、一部内容を抜粋してご紹介します。
あなたにとっての「1%」はなんですか?

時間、お金、そして心身の健康は各自に与えられた資源です。
これらは無限にあるように見えて、多くの人が考えるよりずっと限られています。
僕がよく話す「瓶の話」をご存じの方もいるかもしれません。
これは、ある大学教授が学生に語った寓話です(ネット上で動画が見られます)。
人生を大きな瓶にたとえるなら、本当に優先したい「大きな石」(教授が使ったのはゴルフボール)から瓶に入れていかないと、日々の些細なタスク(砂利や砂)で埋まってしまい、肝心な大きな石が入る余地がなくなるよ、という人生の教訓です。
この教授が学生に伝えたかったことは、「あなたにとって、人生の大きな石(最も大切にしたい1%)はなんですか?」という問いです。
「大きな石」は家族や友人、信仰、健康、趣味などなんでも構いません。でも、「そもそも自分の人生において最優先したいことは何か?」を即答できる人が、とくに若い人の場合は少ないのではないかと思うのです。
たとえば、もし「庭のある家で子どもが遊ぶ姿を眺めること」が夢なら、家の購入資金をどう稼ぎ、子どもの成長を見守る時間的余裕をどう作るかといったことから逆算して日々の判断を下すべきですし、「会社と家庭、どちらが大事?」と問われたときも「間違いなく家庭です」と迷いなく答えられるはずです。
人生の大きな石が定まっていないと、どうでもいい砂利や砂がどんどん入ってくるだけではなく、自分にとって重要ではない大きな石が人生の大半を占めていきます。
それだけは避けないといけません。
子育てを自分の「承認欲求」を満たす場にしない

フランスでは、子どもの登下校時、親が送り迎えをしなければなりません。犯罪に巻き込まれるリスクが高いからです。日本では、小学生から自分で登下校しますよね。平和で子どもが危険な目に遭いにくいことは喜ばしいと思います。
ただ、日本的な文化背景により、「やらなくてはいけないこと」もたくさんあります。そこは仕事や育児でうまく手を抜くしかないわけですが、そもそも育児に関して日本の親御さんは「やりすぎ」な人が多い気がします。
たとえば子どものお弁当。いまの日本では僕が子どものときにはなかった「キャラ弁」という、親からすれば悪夢のような文化が定着しつつあるわけですが、仕事が忙しい親が睡眠時間を削ってまでわざわざ用意する必要なんてまったくありません。
アメリカの学校で弁当といえば、ピーナッツバターサンドイッチと果物とポテトチップスみたいに2、3分で用意できるものが普通です。
子どもに喜んで食べて欲しいという気持ちはよくわかりますが、時間的、精神的余裕のあるときだけで十分でしょう。
ちょっと気になるのは、「子育てがんばっています!」「こんなに子どもに尽くしています!」というのを過剰にやって、育児で「承認欲求」を満たしていそうな人が一定数いることです。
こういう人ほど、子どもが思ったように育たなかった場合にストレスを溜めまくるでしょうし、うまく育ったとしても「燃え尽き症候群」になるんじゃないでしょうか。
「まわりがやっているから、ウチもやらないと」という人が多いんじゃないですかね。親の見栄や不安で子どもを潰してしまったら、元も子もないですよー。
▶何かを「やめる」のは決してネガティブなことではない「自分は本当は何がしたい?人生は『やめる』だけでうまくいく」の記事もチェック
「学歴」にかけるコストと情熱、コスパ悪くない?

首都圏模試センターによる推計によると、首都圏で私立・国立中学を受験する生徒の割合(受験率)は約18%だそうです。中学受験のために、スポーツや習い事、友だち付き合いを一切やめ、塾漬けの生活を送る小学生がたくさんいるようです。
受験産業は完全に課金ゲームで、中学受験の塾代にかかる費用は、4〜6年生の3年間で約250万円とも言われています。そこまでの莫大なコストをかけても、子どもが受かる保証はありません。
精神的に追い詰められた状態で、時に教育虐待も招き、親子関係が崩壊する話もよく耳にします。遊びたい盛りの小学生が、青白い顔をしながら深夜まで勉強し、さらに中学、高校でも勉強漬け。しかもその勉強といえば、テスト対策の知識丸暗記…。
僕が聞きたいのは、そこまでして受験するメリットって何?ってことです。
子どもが将来、日本で就職するにせよ海外で働くにせよ、「大卒カード」を 持っておくだけで選択肢の幅が大きく変わるという話を僕はよくします。しかし、日本独特の東大を頂点とする受験システム(18歳時点の学力をどこまで高めるかという競争)に関しては、かなり懐疑的な立場をとっています。
親に言われるままに受験して「誇れるのは学歴です!」なんて人材なら、正直まともな企業は敬遠するんじゃないでしょうか。
むしろこれからはAIにはとてもできないような、複雑な問題の解決策を見出すこと、新しい価値を生み出すこと、人間味が武器になるようなこと、誰もやっていないようなことを面白がってやることなど、生きる力や尖った個性が求められてくると思います。
生活の解像度を上げて「小さな喜び」に気づこう

人生に勝ち負けなどありません。誰かと比較するものではなく、自分が幸せを感じることができればそれで十分です。
いまの生活に幸せをあまり実感できず、不満や焦りばかりが募っている人は、実際に不幸なことがたまたま重なっているケースもあるでしょうが、「幸せを感じる感度」が鈍っているのかもしれません。
幸せとは主観的なものなので、自分が置かれている環境のなかでも、いまはそれに気づいていないだけで、実は幸せを感じられる要素はたくさんあるはずです。
いま幸せの感度が鈍っている人はどうすればいいか? それは自分の生活の解像度を上げること。「毎日を丁寧に生きる」と表現してもいいでしょう。
僕が自炊を勧めるのも、スーパーで旬の野菜を買ってきて、自分なりにいろいろ考えながら料理をつくり、時に反省をしながらじっくり食べるという行為が、生活に彩りを与えてくれるからです。タイパ重視でコンビニ弁当をかき込むような生活をしていると、その感覚は味わえません。
一時的に仕事や育児が忙しくなることは仕方がないかもしれません。でも、身の回りのちょっとしたことに意識を向ける余裕がないと感じたら、少しだけペースを落としてみたらどうでしょう。
いつもはコンビニでパパッと済ませている買い物を、スーパーに行って旬の食材を買ってみる。 子どもがお絵描きをしていたら、一緒になって絵を描いてみる。ひと駅前で降りてみて、歩きながらゆっくり風景を眺めたり、何種類の花を見つけられるか数えてみる。
のんびり過ごして、見つけられる幸せもあるんじゃないでしょうか。
幸せの種なんて、そこら中に落ちていますよー。
いちばん大切な「1%」は、「あなた自身」だったりします

日本人って本当に真面目で謙虚です。
超個人主義で「主張しないと死んじゃうの?」という人たちばかりのフランスに住んでいると、なおさらそう感じます。
でも、外から眺めてみると、正直、勝手気ままなフランス人のほうが幸せそうに見えるのです。
それはみんな「自分のため」に生きているからなんだと思います。
日本は「みんなのため」が強いですよね。そのため「自分」を犠牲にしがちで、しんどさを抱えることも多い。 悪いこととは言いませんが、もうちょっと自分勝手に、ラクに生きてもいいんじゃないかなーと思うんです。

定価 1,650円 (税込)
自分にとって大切な1%を優先して、それ以外の99%は潔く捨て去ろう―それが、この本で僕が伝えたかったことです。
「技術」と書きましたが、「勇気」とか「覚悟」に近いかもしれません。
実際に、毎日人生の残り時間は確実に短くなっています。どこかで勇気を出して「自分にとって大事なこと」「捨ててもいいこと」を決めて、少しずつ変わっていかないと、いつまでも自分の人生を取り戻すことができません。
あなたもそろそろ「自分第一」の人生を考えるときが来たんじゃないでしょうか。
この本でちょっとでも自分中心になって、元気になるといいですね。
僕が忙しい現代人に伝えたい 休む技術
【もくじ】※一部抜粋
●第1章 頭のいい人ほど「戦略的に」休んでいる
・賢い人は「お酒が飲めないキャラ」を演じる
・「人生の9割」は捨ててもいいこと
・「気にしているのは自分自身」を検証してみる
●第2章 「仕事」を休む技術 初級編
・社会人にとって大事なのは「アウトプットにムラがないこと」
・「失敗を恐れるな」にだまされてはいけない
・諸悪の根源「睡眠不足」
・「人付き合いが苦手な人は三流」のウソ
・「お試し就職」もアリ
●第3章 「仕事」を休む技術 上級編
・転職活動、もっとお気軽に
・「AIは手抜き」とか言っている旧世代こそ、仕事をさぼっている
・答えが出ない不安について考えてもムダ
・「強制的に感情をオフ」する手段を身につける
●第4章 「人間関係」を休む技術
・「友達100人」つくる必要、ありますか?
・「いい人」のコスト高すぎ問題
・「嫌われる練習」をしよう
・いちいち「相手の領域」に踏み込まない
●第5章 「お金儲け」を休む技術
・「金持ち競争」は早く降りたもの勝ち
・捨てるべきはプライドではなく「虚栄心」
・存在をアナウンスしてくれない「公的な補助金」
●第6章 「家族」を休む技術
・夫婦生活で守るべきは「空間」と「時間」
・子育てを自分の「承認欲求」を満たす場にしない
・「学歴」にかけるコストと情熱、コスパ悪くない?
●第7章 「老後の不安」を休む技術
・「地方でのんびり暮らし」のすすめ
・「土いじり」「子どもとの交流」をライフワークに
・寂しさを解消するカギは「頼られること」
この記事の監修・執筆者
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。
1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。
YouTubeの公式チャンネル登録者数は160万人。動画再生回数は2億回以上(2025年9月時点)。Z世代から最も支持されているインフルエンサーの1人でもある。
仕事で日本とフランスを行き来したり、世界の果てに置いていかれたりと忙しい日々を過ごすが、疲れをいっさい溜めず、心身ともにパーフェクトな健康状態を保っている。
『僕が忙しい現代人に伝えたい 休む技術』「僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方」(共にGakken)が発売中。
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