「1歳になったら○○できるようになる」などと書かれているネットやSNSの情報を見て、『自分の子はまだできない』と不安になったり、焦ったりしている保護者も多いのではないでしょうか。
あたりまえですが、子どもの成長の速度や特徴はひとりひとり違います。
大事なのは、他の子と比べない親自身の「物差し」を持つことだそうです。
げんきこども園理事長の向井秋久さんの書籍『子どもが伸びるほめ方 子どもが折れない叱り方』から一部内容を抜粋してご紹介します。
文/こそだてまっぷ編集部
他人の物差しで子どもを測っていませんか?
「よその子は歩いてるのに、うちの子はまだ歩かない」「母子手帳にはこう書いてあるのに、うちの子はまだできない」など、「誰か」や「誰かが決めた基準」と比べて評価することで、焦りが生まれ、ボーッとする気持ちの余裕が消えてしまいます。
比べるというのは、どちらがいいか、優劣をつけるということです。「人より頭がいいほうがいい」「きれいだからいい」「かっこ悪いからあかん」「せめて●◎大学は行ってほしい」……それぞれ、これはこれで大事なのですが、そんなふうに比べる価値観には自分軸がありません。
「勉強ができたら幸せになる」とか「お金持ちになったら幸せになる」というような、世間の標準という基準、外側から与えられた価値観の物差しだけで測っています。
そういった言葉に思い当たることがあるとしたら、もしかするとまだ親御さん自身に自分軸が確立していないのかもしれません。きちっとした自分の基準が持てずに、他人の物差しで子どもを測っているのですから、子育てがしんどくなってしまうはずですよね。
人と比べてしまうように仕向けられている現代社会
しかし現代社会は、どうしても人と比べてしまうように仕向けられています。今の日本で生きる私達は、競争からは抜け出すことができません。よい例がSNSです。常に他人の生活や、ライフスタイル、関係のない子どもの成長などを見せられたら、意識してしまうのは無理もありません。
競争に勝ちたくてライバルを蹴落としたり、勝っているふりをするため着飾ったり……心に鎧を着けてしまいがちです。そんなふうに常に人と比較しながら自分の中で戦いをしている人生には、安らぎや幸せは感じられないですし、本当の意味で落ち着いた生き方ができません。
そんな中でも子ども達は、自然体でキラキラしています。
人と比べないで生きていく方法を、私たちは子ども達から学べるのかもしれません。
自分の物差しは、ぶれない判断基準
親御さんは、自分の物差しを一刻も早く身につけることをおすすめします。
自分の物差しを持つこと、それが人間としての成熟です。人としてのあり方と言ってもいいでしょう。
自分の物差しがない状態でお子さんをほめたり、叱ろうとするとき、外側からの価値観を借りる必要があります。借り物はどうしてもぶれてしまいます。
自分の物差しはぶれない判断基準になります。
これまで、たくさんの親御さんたちに接してきましたが、自分の物差しを持った親御さんに育てられたお子さんは、自立して海外留学など自由に旅立っていくことが多いです。
まずは親御さんが自分の物差しを持つことが、お子さんの可能性を伸ばすために重要なのです。
この記事の監修・執筆者
29歳で園長に、36歳で2代目理事長に就任。約40年間、大阪府で幼児教育の現場に携わる。現在、大阪にて、こども園を5園、認可保育園を1園運営。実際に自身も現場に日々顔を出し、子どもたちと触れ合っている。また、一般財団法人ほめ育財団が提唱する「ほめ育」を園に取り入れ、テ
レビでも「ほめ育導入園」として取り上げられ、注目を集める。ほめて育てる「ほめ育」導入園としては、日本一の規模を誇る。モットーは、「どんな子供も唯一無二の天才性を持ち生まれてくる」。
「子どもが伸びるほめ方 子どもが折れない叱り方 日本一ほめる保育園に教わる」(Gakken)が発売中。
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