中学受験を目指す小学生は、学年が上がるにつれて通塾回数も増え、塾と習い事の両立に悩むことが多いのではないでしょうか。
もちろん、習い事を辞めれば勉強時間は確保できます。でも、お子さんが納得しないまま塾を優先すると、かえって受験勉強に悪影響を及ぼすこともあります。
今回は、中学受験と習い事について、続けるコツや辞めるタイミングなど、親子で話し合うポイントについてご紹介します。
小学生はどんな習い事をしているの?
習い事をする小学生は年々増加
最近の小学生の習い事事情を見てみましょう。
最新の『小学生白書』(学研教育総合研究所 2023年10月調査)によると、「学校以外で行っている習い事はない」と答えた小学生は全体(小学1年生~6年生)で22.9%でした。前回(2022年調査)の結果は27.5%だったので、今回と前回とでは、何らかの習い事をする小学生が増えたことがわかります。全学年を通じて、「水泳」「英会話」「音楽教室」の人気が高いです。
【小学1年生~4年生の習い事のランキング】
1位 水泳
2位 英会話教室
3位 音楽教室(歌や楽器など)
4位 受験のための塾・学校の補習のための塾
【小学5年生・6年生の習い事ランキング】
1位 受験のための塾・学校の補習のための塾
2位 水泳
3位 英会話教室
4位 音楽教室(歌や楽器など)
『小学生白書』(学研教育総合研究所 2023年10月調査)より
また、「受験のための塾・学校の補習のための塾」に通う生徒が、全体で3位から2位と順位を上げ、5年生と6年生では1位になりました。中学受験対策を含めて、教科学習への関心が高まっていると考えられます。
通塾を始めたきっかけ・理由
「習い事を始めたきっかけ・理由」を聞く質問では、「子どもが行きたい・やってみたいと言ったから」という答えが上位に入る習い事が多く、「受験のための塾・学校の補習のための塾」については1位でした。2位は「継続する力・習慣を身につけたいから」、3位は「将来役立つから」と続きます。
調査結果からは、お子さんの意欲を重視するおうちの方の姿勢がうかがえます。
習い事との両立はどう考える?
スケジュールが厳しくなったら話し合う
中学受験と習い事の両立を悩み始めるきっかけの多くは、「通塾が増える」「宿題など学習の時間が増える」ことで、習い事にかける時間や労力の余裕がなくなることでしょう。
特に、夏休みなどの長期休暇には、塾の特別講習があるので、習い事の予定と重なってしまうことも。だからといって、お子さんと話し合わずに、塾の予定を優先してしまうのはオススメできません。お子さんが「今までがんばってきた習い事なのに」「受験直前まではやりたかったのに」とネガティブな気持ちになってしまうと、親子関係が悪化したり、受験勉強に集中できなくなったりすることもあります。
一方で、お子さんの気持ちを優先するあまり、無理して習い事を続けていると、「学習時間が確保できずに、成績が上がらない」「受験勉強も習い事も中途半端になってしまう」という状況になりかねません。
中学受験への向き合い方は、学年によって変化するものです。塾に入ったばかりの3年生、4年生は、まだ受験勉強に慣れる段階ですから、好きな習い事をできるだけ両立することをオススメします。習い事が気分転換になって、よい作用を生む場合もあります。
5年生、6年生と学年が上がると、どのくらい受験勉強に時間を当てるべきかが見えてきます。そこでスケジュールが厳しくなってきたという場合は、長期休暇中の講習や模擬試験、学校説明会など、中学受験に関する行事などを申し込む前に、中学受験と習い事をどう両立させるか、お子さんと時間をかけて話し合いましょう。
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「習い事を辞めるか続けるか」話し合いのポイント
お子さんと習い事について話し合うときは、次のようなことを大切にしてください。
(1)習い事を続けたい理由を明確にする
(2)習い事の目標を具体的に立てる
(3)学習時間を確保する方法を考える
(4)習い事を続ける条件となる目安を決める
(1)習い事を続けたい理由を明確にする
どうして続けたいのか、どのくらい意欲があるのか、お子さんの考えを聞きましょう。
場合によっては、「受験期間は休会して、受験が終わったら復帰する」「受験期間中は、習い事の頻度を落として、試合や発表会、進級試験などは参加しない」など、習い事の比重を小さくする提案を受け入れられるかどうかも、いっしょに考えましょう。
(2)習い事の目標を具体的に立てる
「◯級まで進級したら休会する」「今年度の発表会に出たら、習い事の回数を減らす」「夏休みの大会に出たら辞める」など、具体的に習い事の目標を立てるのも、受験勉強への移行がスムーズになるコツです。
(3)学習時間を確保する方法を考える
月間の予定がわかるスケジュール表を作り、学校の予定、塾と習い事の予定などが見渡せるように書き込みましょう。そして、塾の宿題に取り組む時間、習い事の練習をする時間なども書き込んで「見える化」をしていくと、具体的にどのくらいの時間が必要か実感できます。
お子さんにとって、無理のない、負担の少ないスケジュールを立ててみてください。
(4)習い事を続ける条件となる目安を決める
塾で行われる毎月の実力テストや、年に複数回行われる模擬試験などで、目標とする順位や偏差値を決め、それが達成できれば習い事も続けるなどの目安を決めてもよいでしょう。その場合も、おうちの方の一方的な基準ではなく、お子さんと話し合って、納得した上で目標を決めることをオススメします。
習い事を受験に生かすには?
中学受験にはさまざまなタイプの入試があります。スポーツや芸術など、習い事で力を入れてきたこと、経験したこと、達成したことなどを、受験生がプレゼンテーションする「自己アピール型入試」もその1つです。プレゼンテーションとあわせて、基礎的な学力をはかる教科の試験や作文、面接が課されることが多いです。
また、英会話教室や英語塾で学んできたお子さんにオススメなのが「英語入試」です。英語1科目型、英語が試験科目で選べる英語選択型、英検などの英語資格の取得で加点や優遇措置がある英語資格利用型の入試などがあります。
志望する学校の入試に、お子さんががんばってきた習い事が生かせる入試形式があるか、ぜひ調べてみてください。
中学受験期は、お子さんの心の成長にも大切な時期です。反抗期が始まるお子さんも多いでしょう。中学受験と習い事のバランスを考えることは、お子さんが自分のやりたいことについて考え、しっかり取り組めるようになるためのよい機会です。おうちの方は、お子さんがよりよい選択ができるようなサポートを心がけたいですね。
この記事の監修・執筆者
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