【ダブルバインドとは?】保護者がやってしまいがちなダブルバインドの典型例や子どもへの悪影響を紹介

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「ダブルバインド」ということばをご存じでしょうか? 直訳すると「二重拘束」で、矛盾した2つのメッセージで相手を混乱させることを指します。子育てにおいては、保護者の態度やことばが矛盾していることによって、子どもが混乱してしまう状況のことをいいます。

この記事では、子育て中に起きやすいダブルバインドの具体例や子どもへの影響、ダブルバインドにならないために保護者ができることなどについて解説します。

文/マムズラボ

目次

「ダブルバインド」とは? ダブルバインドの典型例をご紹介

保護者の矛盾したメッセージによって、子どもが板挟みになって混乱してしまう状態を「ダブルバインド」といいますが、保護者が意識せずにダブルバインドの状況をつくってしまうこともあります。

子育て中によくあるダブルバインドの具体例を3つご紹介します。

保護者に聞かれたから希望を言ったのに否定された

保護者が「どこに行きたい? 好きなところでいいよ」「何食べたい? 好きなものでいいよ」と子どもに問いかけるも、子どもが本当に好きなところや食べたいものを言うと「それはダメ! ほかにして」と言ってしまう。

子どもは言われたとおりに希望を言ったのに否定されてしまうと、「自分はなんと答えたら正解なのか?」「保護者が喜ぶ答えを言ったほうがいいのか?」と混乱してしまいます。このような状況が続くと、子どもが自分の意見を保護者に言えなくなる可能性があります。

怒らないと言われたから答えたら怒られてしまった

保護者に「怒らないから正直に言いなさい」と言われたので、子どもが正直に言うと怒られてしまう。

怒らないから、と言われたから答えたのに結局怒られてしまった場合、子どもからすれば「保護者はうそをついた」「信じられない」と感じるでしょう。その結果、親子の信頼関係が崩れてしまう可能性があります。

両親の言うことが違う

母親に「家の手伝いが大事、洗濯物をたたんで」と言われ、父親に「勉強が大事だ、宿題をやりなさい」と言われる。

洗濯物をたたんでいると父親から「宿題は?」と叱られ、宿題をやっていると母親から「手伝いは?」と責められてしまう。

上記のケースでは、子どもは結局、宿題をやればよいのか手伝いをすればよいのか、判断ができず混乱してしまいます。

事実と異なることを伝えて、子どもを脅迫する

勉強をしようとしない子どもに対して「勉強しないで成績が悪い子は進級できないよ」などと言って脅す。

成績が悪いからといって、実際に小学校で進級できないことはありません。事実と違うことを言って子どもを脅迫するのもダブルバインドです。

よく読まれている記事:子どもを「いい子症候群」にさせないために保護者ができることは? 【いい子症候群チェックリスト付き】

ダブルバインドが子どもにもたらす悪影響とは?

ダブルバインドの状態が何度もくり返されたり、長く続いたりすると、子どもにさまざまな悪影響があります。ここからは、どのような悪影響があるのかご紹介します。

子どもが保護者を信頼しなくなる

ダブルバインドをくり返していると、子どもは保護者を信頼できなくなります。

たとえば、保護者が「おもちゃを片づけないなら捨てるよ!」と伝え、実際には捨てないという場合、これをくり返していると、子どもは「片づけなくても捨てられない」と保護者のことばに重みを感じなくなり、信頼関係がうまく築けなくなります。

土台となる保護者との信頼関係が築けないと、将来、ほかの人との信頼関係も築けず、人間関係がうまくいかないといった悩みを抱えてしまいかねません。

子どもが自分で考えようとしなくなる

「欲しいものを選んでね」→「選ぶとNGと言われる」というようなダブルバインドの状況で自分の意見や行動を否定され続けていると、子どもは自分の意思を持ったり伝えたりすることを諦め、保護者の価値観に合わせた選択をするようになります。

自分で考えようという意欲や自己肯定感が低下してしまうため、将来、無気力感や無価値感にさいなまれてしまう恐れがあります。

子どもも脅しのような口調になる

子どもは保護者の言動をまねします。そのため、「◯◯しないと××だよ」という脅迫的なことばを保護者がつかっていると、お友だちやきょうだいに対して脅迫的なことばづかいをしてしまう可能性があります。

たとえば、「このおもちゃ貸してくれる?」と普通に言えばよいことも、「このおもちゃ貸してくれないといっしょに遊ばないよ!」といった脅し口調で話すようになってしまう可能性があります。

ダブルバインドにならないために保護者ができること

では、ダブルバインドにならないために保護者はどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

子どもの考えに共感する

子どもの考えに共感し、子どもの意見を尊重する姿勢を示すことで、ダブルバインドの状況を回避できます。

たとえば、スーパーで保護者が「なんでも好きなお菓子買っていいよ」と言い、保護者が想定したよりも値段が高いお菓子などを子どもが持ってきた場合、どうしたらよいでしょうか?

お菓子の値段を見てすぐに保護者が「これはダメ」と言ってしまうと、ダブルバインドの状況になってしまいます。「高いから」と理由を説明すれば、子どもも理解できるかもしれませんが、最初に言った「なんでも好きなお菓子を買っていい」と矛盾するため、納得できない思いが残ります。

よりオススメしたい対応は、子どもの気持ちに共感することです。「これはとてもおいしそうだね!でも少し高いから、特別なときにしようか。〇〇円くらいで選んでもらえるかな?」などと、理由と保護者が購入可能な金額を伝えることで、ダブルバインドの状況を回避でき、子どもも納得できます。

まずは、子どものことばを否定せず聞くことを心がけましょう。

あらかじめルールを決める

保護者と子どもの間でルールを明確にし、そのルールに沿って注意や声かけをするようにすることもポイントです。保護者の行動もルールに沿うことで、子どもは混乱しなくなります。

先ほどのスーパーでのお菓子の件では、以下のようなルールが考えられます。

・事前に「〇〇円まで」と決めておく
・この棚あるいは、このゾーンから選ぶ

このようにルールを決めて事前に伝えておけば、ダブルバインドの状況を防げます。

Iメッセージでストレートに伝える

「Iメッセージ」とは、自分を主語にして自分の気持ちを相手にうまく伝えることです。「お母さんは宿題をしてほしい」「お父さんは部屋を片づけてほしい」など、自分を主語にして気持ちをストレートに伝えることで、ダブルバインドを避けることができます。

保護者が「宿題しないなら教科書を捨てるよ」と言うとき、本当に伝えたいのは「宿題をしてほしい」ですよね。この伝え方を改善する際、Iメッセージで伝えるようにしてみてください。

省略せずに伝える

先ほどのスーパーでのお菓子の件では、保護者が「言わなくても〇〇円くらいのお菓子を選ぶだろう。子どもでもそれくらいわかるだろう」と勝手に思い込み、子どもに予算額を伝えなかったことでダブルバインドの状況をつくってしまいました。

相手が大人なら、多少省いて伝えても意図を察してくれますが、子どもは意図をくみ取る力がまだまだ養われていないので、ことばどおりに受け取ってしまいがちです。誤解させないためにも、子どもに対しては、意図が伝わりやすいことばで丁寧に伝えるようにしましょう。

子育て中の保護者はダブルバインドに注意しよう

子育てをしていると、保護者が無意識にダブルバインドの状態をつくり出してしまうケースもあるでしょう。しかし、ダブルバインドの状態に置かれた子どもは、ストレスをため込むだけでなく、人の顔色をうかがうようになったり、保護者に対して不信感を抱くようになったりと悪影響を受けます。

一度や二度なら問題ありませんが、くり返すのはよくありません。日々のことばづかいや言動がダブルバインドの状況になっていないか振り返ってみましょう。

この記事の監修・執筆者

曽田照子

作家/子どもへの言葉かけ、「子育てNGワード」の専門家。「言葉」を扱うコピーライター経験から、子育て中の子どもへの言葉かけに関心を持つ。
三人の娘の子育ての実感(成功も失敗も)を活かした書籍を執筆している。
『お母さん、ガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気をなくす言葉66』
『決定版 ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』

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