ほかの家はどうしてる? 我が家のボーダーライン〔第2回〕子どもが見たがる番組、見せたくないときどうする?:専門家アドバイス編

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前回は、子どもに見せている番組、見せたくない番組についてのアンケート結果をご紹介しました。見せたくない番組は理由を説明する、親と一緒に見る、などの対処法が寄せられました。今回は、子どもの心理・教育に詳しい竹内エリカ先生に、子どもに見せる番組選び方や見せ方についてお話をお伺いしました。

イラスト:北村友紀  文:こそだてまっぷ編集部

目次

最近放送される報道番組では、戦争など過激なものがあります。気になるママやパパも多いようですが、幼児期に見せても大丈夫でしょうか?

子どもの年齢と個性から判断を

竹内先生—戦争の報道を見せること自体は悪くないと思いますが、見せるかどうかの判断基準は2つあります。

ひとつは、子どもの年齢です。

3歳くらいは、実際の自分の生活とテレビなどで目にした情報が脳の中で混乱する“ファンタジー期”と呼ばれています。このころの子どもは、現実とそうでない世界の出来事や、昨日と今日の記憶が交じっていたりします。この時期に過激なものを見るとトラウマになってしまう可能性があるので注意が必要です。

目安は、4歳を過ぎたころ。記憶力の発達が著しく、ルールなどが理解できるようになり、善悪もわかってきます。昨日・今日・明日などが会話に出るようになったら、記憶が整理できるようになった証拠。そこが判断基準になります。

連日報道されているような過激な番組を見せるのであれば、その時期が来てからが望ましいでしょう。

もうひとつは、個性です。

過激なシーンを気にしない子や「どうしてこうなるの?」「どっちが悪いの?」「ぼくはこう思う」など疑問や意見を持っている子であれば、見てもいいと思います。

一方、他人が怒られているのを見て自分も傷つくほどデリケートな子は、そういった報道・映像を見ると、悲しくなって心に残ってしまうことがあるので、注意が必要です。

親が見せる意思があり、かつ、お子さんの年齢と個性から、見せていいかどうかを判断するといいでしょう。

人気番組のなかには、辛口発言や自虐ネタで笑いをとったり、殺人などの怖いシーンがあるもの、暴力やいじめ、ラブシーンなど、子どもに見せることをためらうものもあったりしますが、迷ったときはどうしたらいいでしょうか。

親が見せるか見せないかを判断してOK

竹内先生—基本的に親がで決めてかまいません「なんか嫌だな」とちょっとでも違和感を感じたら見せなくていいです。その理由も子どもに話しましょう。それ以外の場合は、子どもの年齢や個性で判断してください。

性教育は低年齢化しているので、見ている途中で予期しないキスシーンがあった場合は、そのまま見せてもかまいません。そのときは「特別な人とだけするんだよ」と教えましょう。

また、ママとパパで見せたい番組と見せたくない番組が違う場合は、その理由をお互いに話し、相手が見せたとしても口を出さないことです。ふだんから信頼関係を大事にしましょう。

子どもに見せたくない番組を、友だちが見ているからという理由で見たがることがありますが、そういうときはどうしたらいいですか?

見せたくない理由を子どもに伝え

竹内先生—たとえお友だちが見ていたとしても、「この番組は暴力的だし、やさしくない行動をするから、お母さんは見てほしくない」などと、見せたくない理由をはっきり伝えます。

それでもお子さんが「見たい」と言うのであれば、きっと理由があるはず。それを聞いたうえで判断しましょう。見せることにした場合は「わかった。見てもいいけれど、これは絶対にやってはいけない行動なんだよ。まねしてはダメだよ」と親の意見を伝えるようにします。

それを納得したうえで見るのであれば、お子さんにとってはいい機会になります。できれば一人で見せるのではなく「これはやってはいけないよね」と親子で会話をしながら見るようにしましょう

番組の影響を受け、やってほしくない行動をまねしたり、友だちとふざけたりしたらどう対処すればいいでしょう?

やめるようにはっきり注意して

竹内先生—できれば、その場で「やめなさい」と言ってください。子どもの行動を完全ん位制限することは不可能で、どうしても友だちの悪ふざけに乗ってしまうこともあります。やってほしくない行動については、お子さんに「まねしないでね」と言い続けます。可能ならば、お友だちも一緒に「ふたりともそういう乱暴なことはやめてください」と注意してほしいところ。もしそれが難しければ、帰宅後に「ああいう乱暴なことはやめてね」と伝えてもかまいません。

子どもの発育発育に対し、番組内容が幼すぎたり、逆にまだ早いと思うときは、見るのをやめさせるべきですか?

子どもにとって害があるかないかで判断

竹内先生—どちらの場合も、子どもにとって有害か否かが基準になりますその番組に対して親が、害があると判断したら見せない。害はないと判断したなら、子どもの希望どおり見ていいと思います。

インターネット環境が身近な子どもたちは、すぐに検索方法を覚え、見せたくないものを簡単に目にできてしまいます。そのときは隠れてではなく、親公認で見るようにし、「映像の中でつくりあげられたもの現実とは違うからね」とその場で伝えるようにしましょう。

番組を見せる・見せないの判断は基本的に親次第。子どもの年齢と性格を見極めて判断しましょう。そして、見せたくないときは、その理由をきちんと子どもに伝え、子どもが見たい理由も聞いて対処すること。そうやって親子でしっかりコミュニケーションをとりながら、番組を楽しめたらいいですね。

この記事の監修・執筆者

幼児教育者。一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長 竹内 エリカ

たけうち えりか/幼児教育者。一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長。2児の母。

お茶の水女子大学大学院修士課程修了。20年にわたり講演・作家業をメインに多動症・不登校の克服、giftedと呼ばれる子ども達の心のケアなど育児・教育の専門家として約2万人の親子と関わる。「男の子の一生を決める0〜6歳までの育て方」他著書多数。

HP
https://linktr.ee/takeuchi_erika

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