【給食が不登校の原因に】子どもに苦手な食べ物が多いときはどうする?

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子どもによっては、給食が苦手で学校に行きたくないということもあるそうです。
保護者としては、少しでも好き嫌いをなくして給食も楽しみにして学校へ行ってほしいところですが、どのように子どもに勧めればよいのでしょうか?
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。

目次

こちらの関連記事と合わせ、次の中の「3.」について書きます。

  1. 小食で食べる量が少なく残すことが多い
  2. 食べるのに時間がかかり、時間内に食べられない
  3. 苦手な食べ物がけっこうたくさんある

「苦手な食べ物がけっこうたくさんある」場合はどうしたらいいでしょうか?

①ネット検索でレシピを工夫してみる

これについては、日頃から調理方法を工夫するなどして、少しずつ食べられるようにしてあげるといいですね。
 
「子ども 好き嫌い レシピ」などのキーワードでネット検索すれば、いろいろな調理法が出てきます。
「野菜」というキーワードも加えれば、野菜が苦手な子のための調理方法が出てきます。

②子ども本人が調理や栽培に関わる

自分で調理や栽培に関わると食べられるようになることもあります。
 
ある子は、夕食づくりのとき椎茸のへたを取って薄くスライスするお手伝いをしました。
そしたら、保護者が「上手にできたね! 忙しいとき手伝ってもらってすごく助かったよ」とほめました。
 
すると、それまで椎茸をよけて食べていた子が、その日の夕食では椎茸を食べました。
やはり自分がせっかくがんばってスライスした椎茸ですし、それにほめられてうれしかったこともあるでしょう。
 
ある子はトマトが苦手でした。
でも、夏休みに自分でミニトマトを栽培したことがきっかけで食べられるようになりました。
 
これらのことがきっかけで「○○が食べられた」という自信を持ち、給食でも食べられるようになるということはあり得ます。
 
ところで、保護者自身にも食べ物の好みや偏りがありますので、家庭で食べたことのないものが給食で出ることもよくあります。
例えば、家で納豆を食べたことがないので給食でも食べられないという子もいます。
このような場合、単なる食わず嫌いかも知れません。
 
家でもチャレンジしてみたら意外とあっさり食べられるようになる、ということもあり得ます。

偏食を直すために強制するのは虐待

というわけで、子どもの苦手な食べ物については、保護者にできることをしてあげてほしいと思います。
でも、それ以上のことはしないようにしてください。
それは、無理に強制して食べさせることです。
 
保護者や先生の中には、食べる量について強制してはいけないけれど、好き嫌いをなくすため、偏食ををなくすためだったら強制してもよいと考える人もいます。
でも、それは違います。
 
ある男の人は、小学校の給食のとき苦手なバナナを先生に無理矢理食べさせられました。
それがトラウマになり、成人した今でもバナナが食べられないそうです。
 
私の知り合いのAさんという女性は、グリンピースが大嫌いでした。
高校生のときにお母さんがそれを知り、その後は毎日必ずグリンピースを強制的に食べさせられました。
 
その結果Aさんはグリンピースを食べられるようになりました。
でも、大人になった今でもお母さんは恐いという気持ちが抜けなくて、普通の親子のようにお母さんに心を開くことができないそうです。
 
このようなことは実際にあるのです。
個人がある食べ物を生理的に受け付けられないということはありますし、本人にも誰にもわからない何らかの理由で食べられないということもあり得るのです。
 
ですから、無理に強制すべきではありません。
それはやはり人権侵害であり虐待です。

子どもが強制だと感じたら強制になる

でも、だからといって何もしなくていいわけではありません。
まずは先ほど書いたようないろいろな工夫が必要です。
 
そして、「食べてみるとおいしいよ」「栄養満点で体にいいよ」「一口だけ食べてごらん」と推薦してちょっと背中を押してあげることはいいと思いますし、ときには必要なことだと思います。
 
でも、それ以上はいけません。
推薦と強制の区別はしっかりつけてください。
 
「では、区別はどこでつけるのか? どこまでならいいのか?」という疑問が出てくると思いますが、それはマニュアル化できないものです。
というのも、子どもが強制だと感じたら強制になるからです。
保護者は推薦のつもりでも実は強制になっている、ということはよくあることです。
 
そして、子どもがどう感じているかを知るには、子どもの表情や様子をよく見ながら判断するほかありません。
これは万事に共通することで、観察力・理解力のある人こそが、常によき保護者でありよき先生なのです。
 
なお、普段から保護者が厳しすぎて子どもが恐がっている場合は、「保護者の推薦・イコール・保護者の強制」ということになりますから、気をつけてください。

先生の強制から “上手に” 子どもを守ってあげましょう

というわけで、保護者や先生にできることはやってあげましょう。
でも、それ以上はやめるべきです。
 
別にそれが食べられないからといって病気になるわけではありません。
子どものとき食べられなかったけど、大人になったら食べられるようになったという例はいくらでもあります。
 
私も子どものころマーマレードが食べられませんでした。
でも、大人になってからのある日、マーマレードを食べてみたらおいしかったです。
 
学校の先生が強制するような場合は、保護者が子どもを“上手に”守ってあげてください。
 
「保育園(幼稚園)のとき、無理に食べさせようとしたら登園しぶりになってしまいました」という言葉はここでも効果的です。
 
それと、「家でも食べられるように努力しているんですけど…」という言葉も効果的です。
先生としては、「家でも努力してくれているんだから、まあしょうがないか」という気持ちになれるからです。

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。

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