【2023年は卯年】ウサギを知れば[卯年]がもっと楽しくなる!

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【2023年は卯年】ウサギを知れば[卯年]がもっと楽しくなる!

長い耳にくりっとした目、ふさふさした毛に丸みのある体が愛らしいウサギは、昔話や物語にもよく登場する身近な生き物ですね。最近では、ペットとしての人気も高まっています。

2023年は卯年(うどし)ということもあり、ウサギを目にする機会が増えそうです。
ウサギはどれくらいの種類がいて、どのような特徴や習性があるのでしょうか?

文/こそだてまっぷ 編集部

目次

ウサギはどんな生き物?

仲間は世界に約100種

ウサギはウサギ目に属する哺乳類です。世界中に約100種います。
ウサギの仲間はナキウサギ科とウサギ科のふたつに分けられます。ウサギ科にはノウサギ類やアナウサギ類が含まれます。
ナキウサギ科のウサギは、耳や足が短いので、一見するとウサギらしくありません。
単独で山の岩場にすむ種類と、群れで巣穴を掘ってくらす種類がいます。

アジア北部の高山にすむキタナキウサギは、標高が高い山地の岩場に巣穴を作ります。秋から冬にかけてはオスとメスのつがいでなわばりをもち、「キチッ」や「ピッ」という声で鳴きます。

アジア北部の高山に生息するキタナキウサギ
アジア北部の高山に生息するキタナキウサギ

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ウサギ科には、巣穴を作らないノウサギ類と巣穴を作るアナウサギ類が含まれます。
日本の固有種であるニホンノウサギはノウサギ類で、本州や四国、九州に生息しています。夜行性で、昼間は木の根元や草むら、やぶの中などで休んでいます。1年中茶色い毛のものと、冬だけ毛が白くなるものがいます。
ノウサギ類はほとんどが単独でくらします。子どもは発育が進んだ状態で生まれてきます。生まれた時から目が開き、体毛が生えています。

巣穴を作らないニホンノウサギ
巣穴を作らないニホンノウサギ

一般的にペットとして飼われているウサギは、アナウサギから人のくらしに役立つように品種改良されたものです。
アナウサギはアナウサギ類に含まれる唯一のメンバーで、もともとの生息地は西ヨーロッパとアフリカ北西部ですが、現在では人間によって世界各地に放たれ、分布を広げています。野生のアナウサギは迷路のように複雑につながる巣穴を作り、群れでくらします。アナウサギの子どもは巣穴の中で、目も見えず、毛も生えていない状態で生まれます。

複雑な構造の巣穴を作るアナウサギ
複雑な構造の巣穴を作るアナウサギ

ウサギの体のひみつ

ウサギといえば特徴的なのが長い耳。左右の耳はそれぞれ違う方向に動かすことができます。アンテナのように周りの音を集めていち早く危険を察知し、天敵から身を守っているのです。
耳には大切な役割がもうひとつあります。ウサギは長い耳の表面から熱を外に逃がすことで、体が熱くなり過ぎるのを防いでいます。ウサギの耳をよく見ると、たくさんの血管が張りめぐらされていることがわかります。この血管に風を当て、血液を冷やすことで体温が上がり過ぎないようにしているのですね。

ウサギの切歯(せっし/前歯のこと)にも特徴があります。
ウサギの上あごには大きな切歯が2本ありますが、実は、正面から見えない裏側にも、くさび形の小さな切歯が2本生えているのです。上あごの二重になった切歯で、かたい草や枝もかみ切って食べることができるのです。

日本のウサギ・世界のウサギ

日本にくらす野生のウサギは4種類

日本に生息するウサギは、北海道のエゾユキウサギ(ユキウサギの亜種*)とエゾナキウサギ(キタナキウサギの亜種)、本州・四国・九州などのニホンノウサギ、奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギの4種類です。
ニホンノウサギには、佐渡島にすむサドノウサギ、隠岐諸島にすむオキノウサギなどの亜種がいます。
ニホンノウサギとアマミノクロウサギは日本にしかいません。
アマミノクロウサギは木の根元に巣穴を作り、昼間は巣穴で休み、夜になると出てきて草や木の皮などを食べます。国の特別天然記念物に指定されていて、個体数の減少が心配されています。

*亜種とは、同じ種に分類される動物の中で、生息地などによって色や形が少し異なるグループのことを指します。

国の特別天然記念物に指定されているアマミノクロウサギ
国の特別天然記念物に指定されているアマミノクロウサギ

さまざまな気候や環境に適応するウサギ

暑いところから寒いところ、森林の水辺から高山の岩場まで、ウサギは世界のさまざまな気候や環境に適応してくらしています。
たとえば、北アメリカの寒い地域にすむカンジキウサギは、後ろ足がかんじき(雪の上を歩くための道具)のように大きくて長いので、雪の上でも速く走ることができます。
同じ北アメリカでも、夏は暑く、冬は寒い乾燥地帯にすむオグロジャックウサギは、耳がひときわ大きく長いので、より効率よく体の熱を外に出すことができます。

耳が大きく長いオグロジャックウサギ
耳が大きく長いオグロジャックウサギ

家畜化されたウサギ

アナウサギの家畜化(動物を人のくらしに役立つように改良すること)は、肉や毛皮を利用するために6世紀ごろのフランスで始まったと考えられていました。ただし、最近の研究によると、実はそれよりはるか昔から少しずつ家畜化が進められていたようです。
そして、19世紀になると、家畜化されたウサギは、西ヨーロッパやアメリカでペットとして人気が集まりました。
現在では、体の大きさや耳の長さ、毛の色のちがいなどによって50品種以上のウサギが作られています。たとえば、ネザーランドドワーフは小型で毛が短く、おとなしい性格で飼いやすい品種として人気があります。

ペットとして人気のネザーランドドワーフ
ペットとして人気のネザーランドドワーフ

かわいいウサギやユニークなウサギ、いろいろなウサギがいることを知って、お子さんが生き物に興味をもってくれるとよいですね!

ウサギにあやかって、ピョンピョンと跳ねるように飛躍できる1年になりますように。

※ウサギはもちろん、動物を飼うことは大きな責任が伴います。病気やトラブルなどの心配もあるので、安易に飼い始めることはせずに、家族でよく話し合うようにしましょう。

この記事の監修・執筆者

肉食爬虫類研究所代表 富田京一

とみた きょういち/1966年福島県生まれ。爬虫類・恐竜研究家。TCA東京ECO動物海洋専門学校 恐竜・自然史博物専攻講師。おもに沖縄のマングローブ地帯に生息する爬虫類の生態を研究している。

「奥出雲多根自然博物館」「恐竜王国2012」など博物館や博覧会の監修、『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』など映像作品の時代考証も行ってきた。

著書に『そうだったのか! 初耳恐竜学』(小学館)、『恐竜は今も生きている』(ポプラ社)、『日本のカメ・トカゲ・ヘビ』(山と溪谷社)、監修書に『あたまがよくなる! どうぶつクイズ』(Gakken)などがある。

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